表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/138

番外編16-3

「なら、話してもいいかなぁ。前にねぇ、ウチのチームでもさぁ、ストックしてたチョコがなくなったんだよぉ。でね、ヤハギが見たんだってぇ」

「み、見たって何を?」

「深夜、リビングで半透明の女の子が、チョコレート齧ってたってさぁ」

「ば、バカバカしい。寝ぼけてたんだよ。いや、ヤハギが食べちゃったとかじゃないの」

「ヤハギがさぁ、こんな酷い嘘をつくと思うぅ?」

「それは……」

 

 ヤハギはソバカスがチャームポイントの快活な少女。

 陽気で明るく、お喋り好き。

 コトミほどではないが、誰とでも相性の良いタイプだ。

 体力は平均より少し劣るが座学は優秀。学年でトップ二割に入る。

 

「出来心ってのもあるけど」

 

 言ってはみるが。

 

「ヤハギに限ってはないだろうね」

「ホントにマジでビビってさぁ。しばらく一人で眠れなくなってさぁ。毎晩、アタシの部屋に押しかけてきて大変だったんだよぉ。メイク落とせなくてさぁ。肌がボロンボロンになってさぁ」

「どうしても素顔は見せないんだ」

「あはは。まあねぇ。コンプレックスってのは、そういうもんだしぃ」

「まあ、それはともかく、リビングの幽霊なんて」

「その話なら、ウチも聞いたことあるよ」

 

 割り込んできたのは双子のひとり、さっきと同じジャージ姿だが。

 アオイが売店に行っているとすると。

 

「アカネ、どうかした?」

「ん。アオイを探しにね。ちょっと謝らないといけないことがあって」

 

 どうにも歯切れが悪い。

 

「なにぃ? プリンが出てきたとかぁ?」

 

 茶化すイスズに、アカネは力なく頷いた。

 

「そうなんだよ。冷蔵庫に入ってた。勘違いだったみたい」

「いくら間抜けな双子でもさぁ、そんな勘違いするぅ?」

「でも、冷蔵庫に入ってたんだよ。昨日は確かになかった気がするんだけどさ」

「ふうん。不思議なこともあるもんだねぇ」

「それよりアカネ。アオイなら売店に行ったよ。急げば追いつけるんじゃないかな」

「あ、そうだった。じゃあ、またな」

 

 駆け出したアカネの姿が視界から消えてから。

 

「ソネザキ、さっきの続きなんだけどさぁ。ウチらのお菓子もさぁ。次の日に見つかったんだよねぇ。これって変じゃね?」

「それは……」

 

 ソネザキにも思い当たる節がある。

 少し前、旧友のハヤテから届いたアイスケーキが消失したのだ。

 ハヤテのイタズラで決着したはずが、翌日冷凍庫に入っていた。

 

 気味悪がりつつも、ドルフィーナが毒見した後、みんなで食べた。

 

「全部が全部、気のせいで済むのかねぇ」

 

 イスズの呟きに、ソネザキはぶるっと肩を震わせた。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ