prison
「お、おい! 何やねん!離せや、こら!」
「黙れ!暴れるな、この魔物の手先め!」
「なに訳分からんこと言ってんねん!警察呼ぶぞ、こら!」
俺はなぜか分からないが、拘束されていた。
手首には堅い藁で出来たロープを巻かれ、両脇には屈強な外人のオッサン二人。
村の中心より少し離れた、煉瓦造り小さな小屋へと連行中である。
正直、何が何だか訳が分からず、ただ必死にもがくしか出来ない。
それに余りにも急な出来事だったので、足がすくんでオッサンたちに引きずられる感じで小屋の中に入れられた。
って言うかもろ牢屋やん、ここ。
ガチャン・・・
頑丈そうな鉄格子の扉が閉められると、オッサンのうち、一人は外に出ていき、もう一人は中に留まった。
「おい、これって誘拐ってやつやろ!監禁するつもりか!? 俺、そんな趣味あらへんぞ!」
こんな不細工なオッサンにF○CKされるくらいなら、死んだほうがましだ。
「ふん、いくら吠えたところで今更無駄だ。貴様は公開処刑をされるのだからな」
不適な笑みを浮かべながら、オッサンは言う。
公開処刑!? 新手のプレイか?
つか、つくづく日本語上手いな、このオッサン。○ーブ・スペクターより発音上手いし。
「意味分からんわ!ってか、ここどこやねん!?教えろや、ハゲ!」
「だ、誰がハゲだ!!口を慎め、この魔物の使い魔めが!」
「そうゆう危ない妄言はやめろ!いい年こいてよ!」
「っ!、その減らず口、二度ときけないようにしてやる!」
オッサンはそう言うと、おもむろに腰に携えていた棍棒みたいなものを手に取ると、牢屋の鍵を開けて中に入ってきた。
「な、何するつもりやねん!?」
「フン、すぐに分かる・・・」
ドス・・・
「ぐはっ・・・」
言葉にならないような痛みが全身に響いた。
腹を見ると棍棒が、鳩尾あたりにめり込んでいた。
息ができひん・・・・
俺はその場にしゃがみ込む。
「どうした。先ほどの威勢はどこへ消えた?」
ドガ・・・
「うぐっ!」
今度は背中に衝撃が走った。
「お前らのような汚らわしき存在は全て滅べばいいんだ!」
オッサンが何かを叫んだかと思うと、再び衝撃が。
今度は顔面だ。
どうやら足で蹴られたらしい。
俺はそのまま仰向けになり、倒れ込む。
「はは、このままじゃ俺が処刑しちまいそうだぜ。だからな、もうちょっとねばってくれなきゃ困るんだよ!」
オッサンはそう言いながら、俺の腹を思いっきり踏みつけた。
「っっっ!!!」
胃から何かが逆流してきた。
我慢できずに、その場に吐いてしまった。
「・・・汚い奴め」
オッサンが棍棒を大きく振り被った。
っと、そのとき。
誰かが小屋の中に入ってきた。
「おい、そろそろ集会の時間だ。施錠して直ちに礼拝堂に集まれ」
オッサンはそれを聞くと棍棒をゆっくり下ろして、不敵な笑みを浮かべた。
「助かったな? でも覚悟しておけ。次はもっと痛めつけてやるからな」
そう言い残すと、オッサンは俺の血のついた棍棒を投げ捨てると、牢屋の鍵を閉めて外へと出ていった。
「くっ・・クソが・・・」
俺はただ呻くことしか出来なかった。