異世界
鳥のさえずりが聞こえる。
その他にも水が流れる音や、木々の木の葉が風によって擦れる音も聞こえた。
「う、くそ・・」
俺は今まで意識を失っていたようだ。
頭が激しく痛むが、その他に痛むところがない。
きっとここは病院で、緊急手術で奇跡的に助かったのだろう。
ああ、神様感謝します。
激しい頭痛が収まってきたところで、俺は目をゆっくりと開けて体を起こした。
あれ、なんか体が拘束されている気が・・・・
体をよく見ると、なぜかシートベルトがしっかりと装着されているではないか。
そしてなぜ、俺は車の中にいるのだろうか。
そしてなぜ、目の前に巨大な大木が存在しているのだろうか。
「・・・・えっと、なんじゃこりゃ」
状況がまるで理解できない。
俺は確かダンプカーと正面衝突したはず。
あの勢いじゃ生きている訳がない。
ということはここはあの世というやつか?
いやいや、なんであの世に車も一緒に来てんねん。
そして見たところ、車も外傷はない感じで、エアーバッグすら出ていない。
「夢でも見てんのか?」
試しに俺は自分の頬を思いっきりつねってみた。
が、痛いだけで夢オチということはなさそうである。
とりあえず、外に出てみるか。
俺はドアを開けて、ゆっくりと車の外に出る。
ひんやりとした空気が心地よかった。
「一体どこやねん、ここ」
バイパスにの下に落ちたとしても、こんな大森林なんかあるはずなく、第一に俺と車が無傷でいられるはずがない。
「あ、そうや。警察に電話しやんと」
俺は慌てて車内に置いていたスマートファンを手に取った。
110・・・っと。
プルルルルルルルルル・・・・
ガチャ・・
《おかけになった電話番号は・・・・》
「警察の電話番号が使われてないとか、ありえんやろ!!」
俺は通話を切ると、再度かけなおした。
だが、結果は同じだった。
その後、親や友人、バイト先と色々なところに電話をかけてみたが、すべて繋がらず、俺はだんだん不安になってきた。