最終話:徳を積みすぎた聖女の、その後の推し活(結婚生活)
最終話:徳を積みすぎた聖女の、その後の推し活(結婚生活)
「リリアーナ、あまり動き回らないでくれ。そのドレスは重いだろう?」
アルフレッド王太子の優しい声が響く。
ここは王宮の大聖堂。今日は、私と殿下の結婚式――もとい、前世の私からすれば『推しの生涯独占契約締結記念式典』当日だ。
鏡に映る私は、最高級のシルクと宝石に彩られている。
だが、私の心境は相変わらずだった。
(……待って、今日の殿下の軍服姿、エグくない? 肩幅のライン、勲章の配置、そして何よりその『愛する妻を見守る慈愛の眼差し』……。一億ポイント加点。無理、尊死する)
「殿下、少し離れてください。その、あまりの輝き(ビジュアル)に私の心臓がオーバーヒートを起こします」
「はは、結婚してからも君は相変わらずだね。だが、そんな君だからこそ、僕は一生飽きることがない」
殿下が私の頬を撫でる。
認知どころか、今や私は公式の『最愛』。
前世で積んだ「徳」が、今世で「王妃」という最高ランクの報酬になって返ってきた。
ふと、窓の外に目を向ける。
城下町では、私たちの成婚を祝う民衆が花を撒き、笑顔で溢れていた。
その光景は、いつか現世で見た**#KAITOに届け幸せの輪**のタグが作った光景と、どこか似ていた。
そう。あのアンチ――佐藤香織が墜ちた地獄の裏側で、現世の『幸せの輪』は今も消えていない。
私が死んだ後も、KAITOくんはファンに守られ、元気に活動を続けているらしい。
美咲として遺した言葉が、今も誰かの「愛」を支えている。
その事実が、この世界で生きる私に、何よりの勇気をくれる。
「……リリアーナ、何を考えているんだい?」
「……いえ。ただ、徳を積んで、誰かを好きでいて、本当に良かったなと」
私が微笑むと、殿下は満足そうに頷き、私の手を取った。
そして私たちは、光り輝く大聖堂の扉を開ける。
降り注ぐ拍手と歓声。
私は誓う。
王妃になっても、私の「推し活」は終わらない。
この素晴らしい推し(旦那様)が、世界で一番幸せでいられるように。
私はこれからも、隣に立つ「壁」として、全力で徳を積み、彼を愛し抜こう。
――あ、でも殿下。
初夜の前に、今のその『誓いのキスの後の照れ顔』、肖像画家にフルカラーで描かせて、国宝として保存してもいいですか……?
「……おねだりがそれか。……ああ、好きにしていい。君の願いなら、なんだって叶えよう」
推しからの全肯定ファンサ(愛)に包まれて。
徳積み聖女の、騒がしくも最高に幸せな日々は、これからもずっと続いていく。
(完)
本編完結です!「壁」になりたかったオタクが、推しの隣を勝ち取ってしまいました。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この後、二つのエピローグ(現世のKAITO視点・妹視点)を更新して、この物語は幕を閉じます。
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