表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第4話:その捏造、私が論破いたします


 

数日後。ついにエルザが動いた。


 王城の小広間、貴族たちが集まる公式な場で、彼女は震える声を芝居がかって響かせた。

「殿下! 信じがたいことですが、リリアーナ様が殿下を呪い、王位を簒奪しようと企んでいる証拠を見つけましたわ!」

 広間がざわめく。

 エルザの手には、私が昨日拾ったあの「偽造手紙」が握られていた。


(……はい、きました。前世でも見たわ。推しのサインを捏造して『極秘交際発覚!』とかやってたデマサイトの手口そのものね)


 アルフレッド殿下は、表情を一切変えずにその手紙を受け取った。

 手紙には、私の筆跡に似せた歪な文字で『殿下が失脚すればいい。私が実権を握るのだ』という物騒な内容が記されている。


「リリアーナ、これは君の書いたものか?」

 王子の視線が私を射抜く。

 エルザが勝ち誇ったように口角を上げた。

「間違いありませんわ! その紙からは禍々しい呪いの魔力さえ感じられます。リリアーナ様、何か言い訳は?」


 私は優雅に一歩前へ出た。


 言い訳? いいえ、これは**「検証」**の時間よ。

「殿下、その手紙を少し拝見しても? ……ふむ、なるほど。筆跡は確かに私に似ておりますわね」

 私は手紙に指を触れ、溜め込んだ「徳」を一気に流し込んだ。


 徳積みスキル発動――【真実のフォレンジック(鑑定)】。


「……えっ!? 手紙が、光って……?」

 エルザが動揺する。

 私の指先から放たれた聖なる光が、手紙の文字を「層」のように分解して宙に浮かび上がらせた。

「皆様、ご覧ください。この手紙には三つの『嘘』が刻まれています。第一に、インク。このインクには私の魔力ではなく、エルザ様が先月購入された限定品の『毒蠍の涙』が混じっていますわ」

「なっ……なぜそれを!?」

「オタク――いえ、淑女たるもの、他家の買い物リスト(公式供給)の把握は基本ですわ。第二に、筆跡。文字のハネが、私の癖ではなく、エルザ様が極度の緊張時に書く癖と完全に一致しています」

 私はさらに光を強める。

「そして第三。この手紙に込められた『呪い』ですが……。私の『徳』がそれを反転させ、**『書いた本人の声』**を再生いたしますわ」

 その瞬間、手紙からエルザの声が朗々と響き渡った。

『ふふっ、これでリリアーナは終わりよ。殿下は私のもの……。偽造なんて簡単だわ!』

「ひっ……あああああ!!!」

 エルザは顔を真っ白にしてへたり込んだ。

 前世でボイスレコーダーやスクショでアンチを追い詰めた私に、捏造なんて100年早いのよ。

「……エルザ・フォン・公爵令嬢。君の醜い企みはすべて明らかになった」

 王子の声は、氷のように冷たかった。

 即座に衛兵がエルザを取り押さえる。彼女は「私は、私は殿下のために……!」と叫びながら連行されていった。


(よし、ざまぁ完了。これで今度こそ、私は『名もなき守護壁』に戻れる……!)


 安堵して退出しようとした私の前に、アルフレッド殿下が立ち塞がった。

 ……あれ? なぜか殿下の顔が、さっきの冷徹さとは打って変わって、熱っぽく上気している。

「リリアーナ。君は……そこまで僕を守ろうとしてくれていたのか。僕の買い物リストや筆跡、癖まで、すべて把握しているほどに……」

(……あ、やばい。ストーカーだと思われた!?)

「い、いえ殿下! これはあくまで、不審な動きを察知するための、健全なリサーチでして!」

「健全……? いや、これほどの執着、愛以外の何物でもないだろう。……リリアーナ、僕は君が怖い。そして、君から目が離せないんだ」

 殿下が、私の髪を一房掬い上げ、その先に唇を落とした。

 

(待って、認知を飛び越えて『推しの激重ファンサ』が直撃したんですけど!?)

 私は顔面を林檎のように真っ赤に染め、その場から猛ダッシュで逃亡した。



「捏造ログの公開処刑」いかがでしたか?

前世の恨みも含めて、この世界でのざまぁ完了です!ですが、王子の「重すぎる勘違い」に拍車がかかってしまいました。

次話、ついに物理的な危険が王子を襲います。お楽しみに!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ