エピローグ:KAITO視点(現世)
ドーム公演のアンコールが終わり、熱気冷めやらぬ楽屋。
『STAR LIGHT』のセンター、KAITOは一人、鏡の前で深く息を吐いた。
「……お疲れ様、KAITO」
「ああ。今日も、最高の景色だった」
マネージャーから手渡されたスマホ。習慣的にチェックするのは、自分の名前ではなく、あのハッシュタグだ。
#KAITOに届け幸せの輪
数ヶ月前、あらぬデマで心が折れそうになっていた自分を救ってくれたのは、事務所の対応でも、自分の実力でもなかった。
それは、事故で亡くなった一人の熱狂的なファン――田中美咲が遺した、あまりに真っ直ぐな「愛の言葉」だった。
『私たちはKAITOくんの努力を知ってる。だから、大好きな気持ちでトレンドをいっぱいにしませんか?』
彼女の呼びかけから始まったその「輪」は、今やアンチの毒をすべて消し去り、ファンの間では「美咲さんの遺志を継ぐ」という聖域のような連帯感を生んでいる。
(……田中美咲さん。君に、何度救われただろうな)
一度だけ、彼女のことを覚えている。
ハイタッチ会で、震える手で「生きててくれて、ありがとうございます」と泣きそうな笑顔で言った女性。
自分の存在を肯定されるより先に、僕の存在を拝むように全肯定してくれた。
ふと、楽屋の窓から見える夜空を見上げる。
最近、不思議な夢を見るのだ。
どこか遠い、中世のような異世界。
そこで、自分にそっくりな王子が、金髪の美しい女性と幸せそうに笑っている。
その女性の瞳は、いつか見た彼女の瞳と同じ、輝くような「熱」を帯びていて。
「……もし、あっちの世界があるなら」
KAITOは、ふっと優しく微笑んだ。
「そこでは、もう『壁』になんてならないで。誰よりも幸せに、愛されて笑っていてほしい」
その言葉が、次元を超えてリリアーナに届いたのかはわからない。
ただ、その瞬間に空から一片の花びらが舞い降り、KAITOの肩に優しく触れた。
彼女が異世界で咲かせた「徳の花」と同じ、芳醇な香りを残して。
――君が僕を推してくれた分、今度は僕が、君の人生を応援しているから。
現世と異世界。
二つの場所で、幸せの輪は今日も静かに回り続けている。
これにて『徳積み聖女のオタ活無双』、完結です!
「推しが自分を覚えていてくれる」という、オタクにとって最高の救いをお届けできていれば幸いです。
これにて『徳積み聖女のオタ活無双』、完結です!
「推しが自分を覚えていてくれる」という、オタクにとって最高の救いをお届けできていれば幸いです。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
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また別の物語でお会いしましょう!




