表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第1話:推しの幸せを願って徳を積んだ結果、死にました


 私は、いわゆる「強火」のアイドルオタクだった。

 応援しているのは、アイドルグループ『STAR LIGHTスターライト』の最強マンネ、KAITO。

 「KAITOくんの笑顔こそが、この世の正解」

 推しの幸せを願い、毎日こつこつと「徳」を積む。それが私の聖戦ライフワークだ。

 道に落ちているゴミを拾い、電車では光の速さで席を譲り、コンビニの募金箱には小銭を全投入する。

 すべてはただ一つ――神席コンサートチケットを当選させ、推しに健やかなファンがいると証明するため。

 「推しには、ただ幸せでいてほしい。恋愛感情? 恐れ多い。私は客席の隅で光るペンライトを振る『壁』になれればそれでいい」

 だが、世の中には私の美学を汚す存在がいた。

 通称、粘着アンチの『STL運営ウォッチ★元KAITO担』。

 「元ファン」を自称し、自分の歪んだ主観でKAITOくんのデマを撒き散らす厄介者だ。

 『KAITOって実は性格悪いよw』『今日のライブ、やる気なさすぎて幻滅』

 ……黙れ小僧。

 私は即座に、公式のデータと愛ある言葉でタイムラインを浄化する。

 汚い中傷が一つ描かれるなら、私はその千倍の「愛」を叫ぶ。

 それが私の、アンチに対する真っ向勝負だった。

 そんなある日、ついに奇跡が起きた。

 第一希望・最前列当選。

 「徳」がカンストした瞬間だった。

 「ありがとう……世界。……これで、死んでも――」

 フラグだった。

 喜びの絶頂で膝から崩れ落ちた帰り道。暴走トラックから子供を突き飛ばし、私の意識は白く弾けた。

 最後に思ったのは、「血まみれの私をKAITOくんに見せずに済んで良かった」ということ。

 ……次に目を覚ましたとき。

 私は、豪奢な天蓋付きベッドの上にいた。

 「リリアーナ様! お目覚めですね!」

 鏡を覗き込めば、そこには金髪碧眼の超絶美少女。

 どうやら私は、前世で積みまくった「徳」のボーナスとして、高スペックな伯爵令嬢に転生したらしい。

 だが、推しのいない世界なんて、酸素のない宇宙と同じだ。

 そう絶望していた私だったが、王城の夜会で“その人”を見た瞬間、心臓が爆ぜた。

 「……っ!?」

 凛とした眉、涼やかな目元、そして少し寂しげな微笑み。

 そこにいたのは、前世の推し・KAITOと瓜二つの第一王子、アルフレッド殿下だった。

 無理。尊い。顔面が世界遺産。

 あの一歩引いた佇まい、KAITOくんが「自信がない」とこぼしていたあの夜の横顔そっくりじゃない……!

 感極まってその場に四つん這いになりたい衝動を、伯爵令嬢の矜持で抑え込む。

 よし、決めた。この世界でも私は「壁」になる。

 匿名(名もなき令嬢)として、彼の幸せを全力で守り抜く――!

 そう決意した直後だった。

 王子の隣にしなだれかかる一人の令嬢を見て、私の全細胞が警鐘を鳴らした。

 「殿下、私だけは分かっております。皆様、殿下の努力を理解していないのですわ……」

 その、耳障りな甘ったるい声。

 自分の主観をさも真実のように語り、相手を精神的に依存させる手口。

 魂の形が、あの最悪のアンチ『STL運営ウォッチ★元KAITO担』と完全に一致した。

 (お前……この世界でも、推しに粘着するつもりか……!?)

 冗談じゃない。

 今度の推しは、王宮という閉鎖空間で逃げ場がないんだ。

 あんな毒虫に、これ以上KAITO(王子)の心を削らせてたまるか。

 私は扇で口元を隠し、冷徹な令嬢の笑みを浮かべる。

 前世で積み上げた「徳」が、私の体内で膨大な魔力へと変換されるのを感じた。

 「……そこをどきなさい、泥棒猫。そこはあなたの居座る場所じゃないわ」

 推しの幸せ(メンタル)は、私が守る。


強火オタクvs最凶アンチ、異世界の第二ラウンド。

 ――まずは、その汚い口を封じさせてもらうわね?

最後までお読みいただきありがとうございます!

推しへの愛(徳)を積みに積んだ結果、異世界へ飛ばされてしまった美咲。

次話、ついに**「推しソックリな王子」と最悪の再会を果たした「前世のアンチ」**が登場します!

オタクの知識と徳の魔力で、不浄なノイズをどうなぎ倒していくのか――。

「面白そう!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、**ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)**で応援いただけると、執筆の『徳』が溜まって更新が早まります!

次回の更新もぜひお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ