表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/56

43 魔力の枯渇はよろしくない

「まず最初の確認です。ご主人様は現在、空腹ですか?」

「大丈夫だ。減ってない」


 手を当てて確認したが、腹の虫は騒いでいない。


「では、始めましょう」

「ちょっと待った。俺が空腹かどうかは、意味あるのか?」

「今から行うのは、ご主人様の中にある魔力を、ご主人様が感じ取る練習です。しかし、それがスムーズにいくかどうかはわかりません。手こずった結果、魔力が枯渇してしまう可能性もあります。もし仮にそうなった場合、魔力の代替品として、ご主人様の体内エネルギーを消費することになります」

「体内エネルギー?」

「脳みそを動かす力、内臓を動かす力、身体を動かす力。ありていに言えば、生きるために必要な力の総称、と捉えていただけばよろしいかと。そして、それらを消費してしまうと、体に異常をきたすこともあります」

「そりゃそうだろうな」


 聞いただけで、大事なモノだと認識できる。


「けど、そこまで恐れるモノでもございません。体内エネルギーが欠けたとしても、日常生活に支障をきたさない場合は、多々あります。ご主人様も一度は確認したことがありますので、ご納得いただけますよね」


 ??


 そんな出来事に遭遇した記憶はない。

 もっというなら、魔法使いとの思い出がない。

 あったとしても、王宮ですれ違ったくらいだ。

 俺が密に接した魔法使いがいるとするなら、パルマが最初だ。


「あっ!?」

「気づかれましたか?」

「もしかして、あの食事の量は、体内エネルギーの枯渇が原因だったのか?」

「正解です」


 拍手してくれたが、外れていてほしかった。

 あの量を食べなければ回復しない状況下にいた証拠であり、苦境以外のなにものでもない。


「大丈夫なのか?」

「大丈夫です」


 満面の笑みと力こぶを作るような仕草は、ウソとは思えなかった。

 顔色もいいし、無理もしていなさそうだ。


「ならよかった」

「ありがとうございます。それもこれも、全部ご主人様のおかげです」

「いや、俺はなにもしてないぞ」

「奴隷のわたしを競り落とし、お腹いっぱい食べさせてくださいました。あの食事のおかげで、わたしの魔力は回復したのです」

「そうだったのか」

「正直、野盗に襲われたときも奴隷商の館で監禁されているときも、食事はおろか寝床もひどい有様でした。魔力で肉体を保護しなければ、死んでいたかもしれません」


 淡々と話す姿は真実味に溢れているのと同時に、そうなってもよかった、というようにも聞こえる。


「わん」


 近寄った子ナイトウルフが、パルマに優しく体をすり合わせた。


「ありがとうございます。けど大丈夫ですよ。わたしは元気に生きていますし、これからもご主人様のために生きますから」


 本音は自分本位に生きてほしいが、パルマがそれを選ぶなら文句はない。

 大事なのは、人生の満足度だ。


「とはいえ、魔法を使うのは考えものだな」

「大丈夫です。最初に言いましたが、何かあったらわたしがサポートします。けど、万が一体内エネルギーを消費して空腹になった場合、すぐに補給はできませんので」

「なるほど。もし仮に今俺が空腹だったら、より大変なことになるわけだ」

「ええ。わたしがいなければ、最悪死ぬかもしれません」

「わんわん」


 子ナイトウルフがかぶりを振っている。

 自分もいるし、なにかあったら任せとけ! という意思表示だと思うが、心許ないのも事実であった。

 けど、その心意気を無下にしてはいけない。


「なにかあったら頼むな」

「わん!」


 真っ直ぐ目を見る俺に、子ナイトウルフが強くうなずいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ