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命を賭けた資源革命

俺、ユート・フォン・アルテア、元社畜の転生王子。【物質変換】のチート能力で石ころをパラジウムやリチウムに変え、ガルディアの貿易圧力を跳ね返し、裏切り貴族をぶっ潰してきた。アルテアの街には笑顔が戻り、国庫は潤い、国民は「ユート様!」と俺を讃える。メイドのリアの「ユート様、信じてます!」って笑顔が、俺の心を支えてきた。

でも、俺の体はもうボロボロだ。

「うっ……くそっ、もう限界か……!」

自室の鏡に映るのは、幽霊みたいな顔。【物質変換】の代償で、鼻血は日常、意識が飛ぶのも当たり前。医者の宣告通り、命はあと数週間。

「俺が死んだら、アルテアはどうなる……? リアや国民、守れるのか……?」

夜、ベッドで震える俺に、神様(らしき何か)の声が響く。

*「代償は命だ。最後の選択をしろ。」*

「ふざけんな! 俺は諦めねえ!」

そこへ、リアがそっと入ってきた。

「ユート様、国民みんなで準備してます。ガルディアとの最終交渉、絶対勝ってください!」

彼女の涙と笑顔に、俺の心に火が点いた。

「リア、ありがと。俺、絶対アルテアを救う。命懸けでな!」


---



翌朝、緊急の報せ。ガルディア帝国が「最終通告」を突きつけてきた。

「王子殿下! ガルディアが全軍を国境に集結! パラジウムとリチウムの全生産権を要求! 従わなければ、魔導砲で王都を吹き飛ばすと!」

宰相のジジイが真っ青で叫ぶ。魔導砲――リゼットが言ってたリチウム駆動の超兵器。あれ一発で、アルテアは終わる。

「リゼットめ……ここまでやるか!」

ガルディアの魔術師リゼットは、パラジウムの秘密を盗んだだけでなく、アルテアの新素材「バイオ燃料」の試作を奪おうとスパイを送り込んでた。国内の貴族も一部がまだザワついてる。くそっ、時間ねえ!

「リゼットを王都に呼べ。最後まで交渉で決着つける!」

数日後、謁見の間にリゼットが現れた。黒いローブに不敵な笑み。後ろにはガルディアの皇帝直属の将軍、ガルス。こいつ、ガチの武闘派だ。

「ユート王子、最後のチャンスよ。パラジウム、リチウム、バイオ燃料、全部ガルディアに差し出しなさい。さもなくば、魔導砲でアルテアは灰よ。」

リゼットの言葉に、貴族たちが震える。ガルスの剣がキラリと光る。リアが俺の手をギュッと握る。

「リゼット、脅しはもういい。ガルディアの魔導兵器、俺の新素材なしじゃ動かねえよな? 戦争するなら、お前らの工場も全部止まるぜ。」

リゼットが目を細める。

「ふふ、確かに。でも、ユート王子、貴方の命はあと何日? 死んだらアルテアはどうなるのかしら?」

その言葉に、心臓がキリキリ。くそっ、俺の弱点バレてやがる!


---



交渉室、緊張が張り詰める。現代知識をフル回転だ。ガルディアの魔導砲はリチウム依存度が高いが、効率が悪い。バイオ燃料なら10倍の出力が出せる――これはブラフだが、試作段階のデータをチラつかせればイケる。

「リゼット、戦争は両国にとって損だ。提案がある。アルテアはバイオ燃料の共同開発をガルディアに持ちかける。利益は折半。魔導砲は国境から撤退。どうだ?」

リゼットが笑う。

「共同開発? 面白いけど、ユート王子、貴方の命が持つかしら? 能力の代償、知ってるのよ。」

「!? どうやって……!」

「ガルドの裏切りで、貴方の秘密はバレてるわ。命を削る能力、使えなくなったらアルテアは終わりね。」

ガルスが剣を握り、「さあ、降伏しろ」と迫る。貴族たちが「王子、譲歩を!」と叫ぶ中、リアが叫んだ。

「ユート様を信じて! 国民はみんなユート様の味方です!」

その声に、俺の心が震えた。国民の顔、リアの涙、全部が頭を駆け巡る。

「リゼット、賭けようぜ。俺が今、この場でバイオ燃料の試作を完成させる。成功したら、ガルディアは戦争を放棄。失敗したら、俺の命をくれてやる。」

謁見の間が静まり返る。リゼットが目を輝かせる。

「面白い! いいわ、受けて立つ!」


俺は震える体で立ち上がり、【物質変換】を発動。ゴミの山からバイオ燃料を生成するイメージ。だが、頭が割れるような痛み、視界が真っ暗に。

「うああっ……!」

鼻血がドバっと流れ、倒れそうになる。リアが「ユート様!」と叫ぶ。国民の声が遠くで響く。「王子、頑張れ!」

「まだだ……俺は、負けねえ……!」

現代知識を総動員。バイオ燃料の分子構造を脳に叩き込み、命を削る覚悟で変換。光が弾け、緑色の液体が現れた。

「できた……バイオ燃料だ!」

リゼットが試作用の魔導装置でテスト。結果、出力はリチウムの12倍。彼女の顔が青ざめる。

「こ、こんなものが……!」

ガルスも唸る。「こいつ、本物だ……。」

「リゼット、約束だ。戦争はなし。共同開発の契約書、用意しろ。」

リゼットが悔しそうに頷く。「……負けたわ、ユート王子。貴方、ほんとに命懸けね。」


---



交渉成立。ガルディアは魔導砲を撤退させ、バイオ燃料の共同開発契約を結んだ。アルテアの経済は一気に跳ね上がり、国庫は100年分のパラジウムとバイオ燃料でウハウハ。国民は「ユート様! ユート様!」と大歓声。

だが、俺の体はもう動かない。交渉後、倒れた俺は医務室へ。医者が首を振る。

「王子殿下、奇跡的に生きてますが……もう能力は使えません。」

命は助かった。けど、【物質変換】はもう使えない。神様の声が最後に囁いた。

*「代償は払われた。新たな道を歩め。」*

ベッドの横で、リアが泣きながら手を握る。

「ユート様、生きててよかった……! もう、無理しないでくださいね。」

「ハハ、リア、ありがと。けど、まだ終わらねえよ。」

能力は失ったが、現代知識と国民の力がある。アルテアはバイオ燃料で大陸一の経済大国へ。ガルディアも、俺の交渉術に頭が上がらねえ。

バルコニーで、リアと並んで街を見下ろす。

「ブラザーたち、俺はやってやったぜ。アルテアを救って、ボロ儲けだ!」

国民の笑顔、リアの笑顔。俺のチート人生、これからも続くぜ!



続く

最後まで読んでいただきありがとうございました。次の話も楽しみにお待ちください

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