14 生成者
すみません、本当に遅くなりました。
「あ、あの!」
帰ろうと教室から出ようとしたときに声をかけられた
「どうか、しましたか?ミレイさん」
「あ、えっと⋯その⋯」
ここまで圧倒的なコミュ障ムーブはなかなか見れないな
「ま、魔法を⋯教えてくれませんか!」
「使えるように⋯ということでしょうか」
「は、はい」
ふむ、確かに十分な魔力がありながら使えないというのも気になる。
まぁ初等部は先行して学習していたこともあって暇だ。
「いいですよ。とはいえ今から魔法訓練場を確保できるのでしょうか⋯」
魔法訓練場は申請式で放課後にはすぐに埋まるという話をニーシャ兄上から聞いている。校内案内でも言っていた。
「とりあえずダメ元で申請しに行きましょうか」
「は、はい」
「私もお供いたしますわ」
私たちは職員室に申請しに行くことになった。
「メアリ・ハル・ネーデル様でしたら卒業までご自由に第一訓練場をお使いいただけますよ」
「は?」
思わず素が出てしまった。一体何を言っているんだ?
「どういうことですか?」
「学園長、そして副学長の連名で許可が降りています。放課後限定にはなっていますが、申請無しで使用していただけます」
「⋯⋯⋯」
間違いない
「すみません。副学長室ってどこでしたか?」
「ここを───」
その後爆発音と共に副学長室が吹き飛び、瞬時に修復されるという怪奇現象が発生したのはまた別のお話。
「気を取り直して、早速始めましょうか」
「は、はい!」
「あまりにも容赦ありませんでしたわ⋯」
使えるのならばありがたく使うことにしよう。ということで私たちは第一訓練場にやってきた。
マーシャがなにか変なことを言っている気がするが気のせいだろう。
「ではミレイさん。初級魔法でいいのでなにか魔法を使ってみようとしてくれませんか?」
「⋯はい」
あまり乗り気ではないようだが、私に言われるまま魔法を使うために魔力を動かし始めた。
研究者志望なだけあって理論的な、丁寧な魔力運用をしている。戦闘魔法を使うような魔法師はここまで丁寧な魔力運用はしない。
もっとも私は効率を求めて最適化を突き詰めた魔力運用をしているのでミレイ程度ならまだまだなのだが。
今のところ問題なく魔法は発動しそうだ。非常に丁寧にやっているせいで発動まで時間がかかりそうだが。
「い、いきます!」
術式を見るに水属性初級魔法か。嫌な記憶が蘇るな。
高まった魔力はなんの現象も起こすことなく、霧散してしまった。
なるほど⋯
「いつも⋯こうなるんです⋯」
今にも泣くんじゃないか?といった様子のミレイ。
「なるほど。マーシャさんはなにかわかりましたか?」
「全くわかりませんわ。完璧な術式でしたのに」
普通ならわからないだろうな。なぜならミレイの魔法発動には何一つ問題がないのだから。
「ミレイさん。今から言うことはあなたにとっては凄くショックなことかもしれません。聞きますか?」
「⋯⋯⋯」
少し悩んでいるようだ。確かに内容次第では夢が潰えるかもしれないからな。
「聞き⋯ます⋯。聞かなければ、何もわかりませんから⋯」
⋯良い覚悟だ。
「まず、結論から言います。ミレイさん、あなたは魔法が向いてません」
「ッ⋯」
「出力が絶望的に向いてません。既存の通常魔法を使うことは不可能だと思います」
「そん⋯な⋯」
絶望しているといったところか。だが、あくまで出力に関しては、だ。
「諦める必要はありませんよ」
「⋯え?」
「あくまで出力が向いてないだけです。魔法は出力するだけではないでしょう?」
「⋯⋯⋯あ」
「付与魔法、身体強化。出力以外にも魔法は色々あります。あなたの場合特に付与魔法が突出しているんだと思います」
「付与⋯魔法⋯」
付与魔法はあまり重要と見られていない。そのため付与魔法師は地位が低い傾向なのだが、ミレイの場合そんじょそこらの付与魔法師とは次元の違う付与魔法が使えるだろう。生成型の魔力特性でありながら、付与魔法適性が高いというのはなかなか珍しい。
「魔法を付与する、という形さえ取ればおそらくなんでもできると思いますよ」
「⋯⋯出力型の魔法を付与する⋯とかですか?」
「できると思いますよ」
この世界はよくある魔法スクロールなどは全くと言っていいほど普及していない。そもそも攻撃魔法を物に付与しようという考えが無い。
だがミレイは私の言葉からすぐに出力型魔法の付与を考えた。なんだただの天才じゃないか。
「⋯⋯⋯色々考えてみます!今日はお時間を頂きありがとうございました!」
そう言うとそそくさと走って行ってしまった。
「やぁ二人とも。彼女はどうしたんだい?えらく興奮していたようだが」
「ちょっと道筋を教えてあげただけですよ」
「ふむ。よく分からないが、彼女が自身の夢に近づけるのであれば良いことだろう」
それはそれとしてなぜ殿下がここに⋯
「殿下はなぜここに?」
「君たちがここに居ると聞いてね」
居ると聞いてなぜ来るのか。
「⋯メアリ嬢、私と一戦願えないだろうか」
「はい?」
何を言っているんだこの第二王子は。
「なななな、何を言っていますの!?」
「何って、言葉のままだよ」
「そ、そういうことではありませんわ!」
「そうですよ殿下。万が一怪我をされたとなれば大問題になりますよ⋯」
「戦いだと言うのに怪我をせぬという方が難しいであろう。それにもし怪我をしても君が治してくれればよい」
「⋯⋯⋯⋯」
この狂戦士め⋯自分の身分を自覚しているのか?
「流石に決闘にはしたくないのだが⋯」
「わかりました。わかりましたから手袋を仕舞ってください」
この第二王子どこか頭がおかしいんじゃないか⋯しかたない。できる限り手加減をすることにしよう。
「メアリ嬢は剣が使えるらしいね。剣もありにしようか」
「⋯⋯わかりました」
魔法学園の訓練場ではあるが隣に剣術学園があることもあり、少しだが訓練用の剣も置いてある。私はその一つを手に取り、殿下と向かい合う。
「いいね。君とは一度、やってみたかったんだ」
第16話の執筆に非常に時間がかかり、第14話の投稿が遅くなってしまいました。申し訳ありません。




