11 支配者の魔力
更新空いてしまいました。文字数が増えると時間がかかってしまいますね。
今更ですが、執筆しているのは投稿話より2話先です。なのでその2話先の執筆が遅いと投稿も遅くなってしまいます。
マーシャに魔力増強の訓練をつけ始めてかおよそ半年が経過した。
ネーデル領はまだ雪が降っている。
マーラカルト王国は緯度が高めなのだ。
「まだですわ!」
庭ではマーシャとお母様が魔法戦をしていた。
一週間ほど前からお母様に頼んでマーシャの相手をしてもらっている。
お母様も魔力が増えてから使う機会が無かったので、割とノリノリで戦ってくれている。
私は治癒魔法が使えることもあり、常にその戦いを見ている。もっぱらお母様しか見ていないが。
お母様は魔法師の冒険者としては珍しいソロで活動していたらしく、二つ名が付いていたそうなのだが、絶対に教えてくれない。本人曰く黒歴史なんだそうだ。
ソロで活動していただけあって一対一は流石といえる強さだった。
もちろんマーシャにはまだ何も教えていないので完全な評価は出来ないが⋯
戦いながらもマーシャにアドバイスをしているので余裕はありそうだ。
「そこまでにしましょうか」
そろそろマーシャに本格的な指導をしてもいいだろう。二人の戦いを止める。
「いいところでしたのに」
「そろそろマーシャさんには戦い方を教えようと思いまして」
そう言うとマーシャの表情が嬉しそうな顔をする。
「⋯魔力増強訓練自体は続けますよ。あれはずっとやるものです」
マーシャの顔が暗くなった。コロコロと元気なものだ。
「お母様、私と戦ってもらえますか?」
「あら。あなたなら本気でも良さそうね?」
「構いません」
「いいわ。一度やってみたかったのよ。あなた、剣しか私の前でしてくれないから⋯」
娘と戦いたかったとかいう親は普通なら問題だがお母様だからな⋯
「マーシャさん、合図をお願いします」
「わかりましたわ。では⋯⋯開始!」
開始と同時に魔力領域を展開する。
「『ファイア──』あら?」
ファイアランスを発動しようとしたのが不発になったのを不思議がるお母様。干渉して消してやったのだ。
その後もお母様はいくつかの魔法を発動しようとしたが全て不発に終わった。
「あらら⋯なにかしてるわね?メアリ」
まぁ気付くか。
「マーシャさん」
「は、はい!」
気を抜いてたな⋯
「これが私の、そしてあなたの、戦い方です」
同時に魔法陣を20ほど展開する。
「⋯⋯全て本物ねぇ」
「今回は、フェイクはありませんよ」
「⋯⋯⋯⋯」
冷静に魔法陣を見抜くお母様と唖然としているマーシャ。
全ての魔法陣から同時にあらゆる属性の魔法を出す。
「これは⋯難しいわね⋯」
お母様は対処に動くが⋯
「⋯魔法が使えないんじゃ詰みじゃない」
「これが支配者の戦い方です」
支配者の魔力。単純な魔法出力は器用貧乏と言わざるを得ない。だが魔力領域の中なら別だ。
「魔法が使えなきゃ魔法師は無力ね。降参よ」
「ありがとうございましたお母様」
「⋯⋯⋯⋯」
マーシャはまだ唖然としている。
「マーシャさん」
「はっ!なな、なんですか!?」
「驚きすぎです。それにこの戦い方はあなたもできるようになります」
「⋯え?」
お前の戦い方だと言っただろう⋯
「私とあなたは同じ魔力特性なんです」
「魔力特性⋯?」
「はい」
私はマーシャに魔力特性の説明をした。お母様も興味津々で盗み聞きしていた。
「それで⋯私の魔力特性があなたと同じ支配者の魔力ということですの?」
「はい。ですが支配者の魔力の戦い方である魔力領域の展開には魔力量が必要です」
「それでずっと⋯」
マーシャの場合特に魔力が低い。だからパワーレベリングと言わざるを得ないやり方をしなければ、二年という期間では何もできない。
正直十歳の身体には負担が大きいとは思うが⋯
マーシャの目標を達するにはこうでもしないと間に合わない。
「ですのでマーシャさん。あなたに課題を出します」
「!」
「この世に存在する魔法をすべて覚えてください。使えなくても大丈夫なので、とにかく術式を理解し覚えてください」
「⋯⋯はい?」
無茶振りなのは分かっているが支配者の魔力による領域を使った戦いはどれだけ魔法を知っているかだ。
すべての魔法を覚えるといった姿勢で臨まなければならない。
「⋯やってやりますわ!魔法、覚えてやりますわ!」
「その意気です」
マーシャはそう意気込むと書庫に向かっていった。
「なーんにも出来なかったわ。支配者の魔力、ずるいわね」
「魔力領域自体はお母様でも展開できますよ」
「そうなの?」
「はい」
「誰か教えてくれたりしないかしら?」
こちらをチラチラ見ながらそういうお母様。
「⋯教えましょうか?」
「あら、いいの?」
「⋯えぇ」
元冒険者というだけあって強かな人だ。この強かさは見習いたい。
「あ、メアリ」
「はい」
「私の魔力特性って分かったりするのかしら」
お母様の魔力特性か⋯
「お母様の魔力特性は放射型ですね」
「なるほどね〜。ちゃんと魔法師向きの特性なのね」
「基本的に特性を知らなくても自ずと向いてる職に就くことになりますから」
極めて行くと大きな差になる。特性を判別する道具などは存在しないが、最終的には特性に合った職に就いているようだった。
「となると、あなた達の支配者の魔力という特性は同じ実力だと放射型の私より魔法の威力が低いということ?」
「そうなりますね。ですがそれもやりようです」
「確かにあなたの魔法は私よりも昔から強かったものね」
他世界の魔法から術式を一部引っ張ってきて独自に改良しているからだ。術式の偽装が面倒ではあるが発動速度などで便利なので使っている。
「マーシャちゃんはどれくらい強くなるかしら。ミレーヌ侯爵とお話したけれど、マーシャちゃんのことをずっと馬鹿にしていたから」
「ミレーヌ家の次男でしたか?マーシャの一つ上の。ミレーヌ家で過去最強と言われてるそうですが⋯」
「そうね。私も見たことあるけれど確かに強いわね」
お母様が認めるほどとは⋯まぁどうでもいいが
「でもあれよ?年齢の割に強かったというだけで今はどうか知らないわ。まぁ学園も注目しているようだから、実力は高いでしょうね」
「そうですか。でも関係ありませんよ。マーシャの方が強くなるので」
「凄い自信ね」
マーシャのポテンシャルは高い。今までいろんな世界で何度も弟子のようなものは持ったことがあるが、マーシャは別格のポテンシャルを持っている。
「支配者とは、支配するから支配者なんです。支配者の戦い方とは、相手に何もさせずに完封すること。魔力領域、言い換えれば支配領域とも言えます。支配している領域で自由にさせることはありません」
「なるほどね⋯確かに私も手も足も出させてもらえなかったわ⋯」
だが相手の術式がわからない、つまり魔法を知らなければ完封することは不可能だ。だからマーシャにはあのような課題を出した。マーシャなら学園で使われる程度の魔法は覚えられるだろう。
割と雑にあしらってはいるが期待はしているのだ。マーシャがこの家に居るという現状も気に食わないしな。
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その日の夜、マーシャから魔法書片手に質問攻めを受けた。
課題を言い渡した後、分からなかった魔法を私に聞くために栞を挟んでいたみたいだ。
質問に答えたあと、いつも通り魔力増強訓練を行った。
慣れてきたのかお見せできないようなことはならなくなってきた。
魔力量もそこそこ増えてきて、分かる人が見れば驚くだろう。
だがここからだ。そろそろ大きく増え始めるはず。そうなれば次の訓練だ。
もっと更新頻度を上げたいと思う自分の心となかなか執筆の進まない自分の頭の板挟みになっています。
頑張ります。




