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左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!  作者: 武蔵野純平
第六章 スタンピード

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第99話 実食! プレミアム・ロースト・オークジェネラル

 冒険者ギルド長のババさんが呼びかけると、バリケード作りに参加していた人がワラワラと集まってきた。


 俺たちはマジックバッグから次々とオークを放り出す。

 放り出されたオークは、解体に手慣れた冒険者がすぐに解体してくれる。


 いつの間にか石で組んだ竈が沢山出来上がり、子供たちが木切れを薪として積み上げる。

 火魔法を使える者が竈に火を入れて、すぐにバーベキューが始まった。


「何だか妙に連携が良いな!?」


「みんなお肉が大好きなんだよ~♪」


 俺の驚きにソフィーがストレートな回答を寄せた。

 そうか! そういうものか!

 何であれ町の一体感が高まるのなら俺としてはオーケーだ。


「オーイ! リョージ! 肉を焼くんだって?」


 ガイウスもやって来た。


「木を切りに森に入ってたんだが、バーベキューが始まると聞いてな!」


 誰かがガイウスたちを呼びに走ったらしい。

 いや、まあ、構わないが、連携良すぎだろう!


「じゃあ、ガイウスは解体を手伝ってくれ。とっておきがあるんだ」


「とっておき!? 何だ!?」


「これだ!」


「うお!?」


 俺はマジックバッグからオークジェネラルを取り出した。


「オークジェネラルか! しかし、真っ黒焦げだな……。食えねえだろ?」


 ガイウスはガッカリしている。

 だが、この黒焦げこそが美味しさの秘訣だ。

 俺とソフィーは顔を見合わせてニンマリと笑った。

 ガイウスは俺とソフィーを見ていぶかる。


「おい! 何だよ? 二人してニンマリしやがって!」


「ふふん♪ ガイウスのおじちゃんはわかってないな~♪」


「ガイウス。この黒焦げの中に美味しい部分が残っているのさ」


 ガイウスは興味が湧いたらしく、黒焦げのオークジェネラルを叩きだした。


「本当か? 黒焦げにしか見えねえぞ?」


「プレミアム・ロースト・オークを知ってるだろ?」


「ああ、一回食わせてもらった。まさか!?」


「そう! この黒焦げ状態から切り出すんだ!」


 ガイウスが雷に打たれたように、ハッとして声を発した。


「つまり、プレミアム・ロースト・オークジェネラルってことか!?」


「正解! まあ、そんなわけで、旨いものが食えるから手伝えよ」


「任せとけ!」


 早速、オークジェネラルの解体に入る。

 俺とガイウス、怪力二人組でオークジェネラルを動かして鎧を脱がせた。

 鎧の下も黒焦げである。


「リョージ。そこに寝かせて」


「洗うのは私が水魔法でやります」


 アシュリーさんとマリンさんが解体用のナイフを手にして、俺に指示する。

 この二人もいつの間にか、解体に参加したな。

 プレミアム・ロースト・オークジェネラルを食い逃さない算段だろう。


 俺とガイウスは、アシュリーさんの指示でオークジェネラルを地面に寝かせ、切り出しやすいようにオークジェネラルの体を抑える。


「どれ、私も手伝おう」


 聖サラマンダー騎士団団長のフレイルさんである。

 さらっと解体に入って来た。

 絶対にプレミアム・ロースト・オークジェネラルを食い逃さないつもりだ。


 みんな食い意地が張っている。


「これ以上、人が増えると一人が食べる分が減る! 急ぐぞ!」


「「「「「はい!」」」」」


 フレイルさんの掛け声でオークジェネラルの解体が進んだ。

 オークジェネラルは普通のオークより大きいので、可食部分も多い。

 ローストビーフ状になった肉を切り出すと、通常のプレミアム・ロースト・オークの二倍あった。


「おお! これは食べ応えがありそうだな!」


「おとーさん! 美味しそうだよぉ!」


 ソフィーはプレミアム・ロースト・オークジェネラルを見て、ヨダレをたらさんばかりだ。


 料理法はシンプルに串焼きにした。

 切り分けたプレミアム・ロースト・オークの肉を鉄串に刺して焼き、塩でいただくことにした。


「「「「「いただきます!」」」」」


 プレミアム・ロースト・オークジェネラルを一口。

 柔らかい……。

 口の中でホロホロと赤身肉が崩れ、シッカリとした肉の旨味。

 続いて脂の甘味が口の中に広がる。


「これは旨い!」


「すごいおいしい!」


 ソフィーも目を大きく開いて、肉の旨さに驚いている。

 俺もソフィーも平凡な言葉しか出て来ない。

 あまりの美味しさに、言葉が浮かんでこないのだ。


 ガイウスも一口食べて驚いている。


「マジかよ! こんな旨い肉は生まれて初めてだぜ!」


 シスターエレナ、マリンさん、アシュリーさんも、プレミアム・ロースト・オークジェネラルの串焼きを手に、ほうっと息を吐いている。

 旨さに蕩けているな。


 凄いのは聖サラマンダー騎士団団長のフレイルさんだ。


「大精霊と精霊のお導きに感謝を……」


 何か祈りを捧げているぞ!


 プレミアム・ロースト・オークジェネラルは、笑顔を通り越して感動を俺たちに与えた。

 そしてフレイルさんには、感動を通り越して信仰を与えたらしい。


「ねえ! おとーさん! 今度、ラーメンに入れてみようよ!」


「おっ! そうだな! 薄く切って入れたら、美味しそうだな!」


 これだけ美味しい肉なのだ。

 肉に負けない美味しいスープのラーメンを発注端末で発注しよう。


 醤油……、味噌……、タンメンのような塩も良い……。

 ソフィーに何味のラーメンを食べさせるか考えるのは楽しい。


 周囲でも思い思いにバーベキューを楽しんでいる。

 新たにここサイドクリークの町に来た冒険者も、町の人たちとバーベキューをすることで交流が持てている。


 オークを提供して良かった!



 食事を進めていると、俺たちから少し離れたところでスマートフォンの着信音が聞こえた。

 誰のスマートフォンだろうと見回すと、冒険者ギルド長のババさんがスマートフォンを二本の指でつまみ上げた。


「ババです。どうした? えっ!? ダンジョンが!? うん……うん……」


 ババさんが誰かと話している。ただ事ではない雰囲気だ。

 俺たちは顔を見合わせうなずくと、ババさんのそばに移動した。


「わかった! すぐ応援を送る!」


 ババさんは、通話を終えると、緊迫した表情で周りに告げた。


「ダンジョンで魔物が大発生して上階に向かっている。ダンジョン内は撤退戦の最中だ。応援を出すぞ!」

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