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左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!  作者: 武蔵野純平
第六章 スタンピード

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第92話 オークの集落

 俺たち威力偵察隊は、魔の森に踏み込んだ。


 魔の森は巨木が立ち並び視界が悪い。

 木々が太陽の光を遮り、昼でも薄暗い。

 不気味である。


 魔の森に入ってしばらく、真っ直ぐ歩く。

 十分ほど歩いたが魔物と遭遇していない。


 スタンピードになると魔物が増殖し、大集団で人に襲いかかるというが、本当にスタンピードが起るのだろうか?


 そんな風に考えてしまうほど、魔の森の中は静かだった。


 俺は先頭を歩いていたが、特に何も異常を感じなかった。

 振り返って、フレイル団長に指示を仰ぐ。


「魔物はいませんね。どうしますか? このまま真っ直ぐ進みますか?」


「ふむ……。強い気配は、森の奥の方から感じるが……。ハインリッヒ、探ってくれ」


「承知しました。お任せを」


 フレイルさんが、聖サラマンダー騎士団の男性に探れと指示した。

 後方にいた白いローブを着た男性が俺の前へ出てくる。

 ハインリッヒさんだ。


 きれいにそろえた髪とヒゲ。

 三十才くらいだろう。

 なかなかダンディー男性だ。


 ハインリッヒさんは、手にした長い杖を掲げると風魔法を発動した。

 ハインリッヒさんの杖からそよ風が森の奥へ向かって吹き出した。


 ソフィーが不思議がる。


「あれ? 風が戻ってきたよ?」


 本当だ!

 そよ風が森の奥から吹いてきた。


 ハインリッヒさんは、杖をかざす方向を変え、そよ風をコントロールした。

 右、左とそよ風が吹いては、戻ってくる。


 俺は戻ってきた風の中に嫌な臭いを感じた。


「なんか獣臭いな……」


 俺のつぶやきをフレイルさんが拾う。


「ハインリッヒは、風魔法で魔物の位置を探るのだ。この臭いはオークの臭いだ。いるぞ……」


 俺たちは、じっと息をひそめる。

 ハインリッヒさんは、杖の方向を調整して、オークの正確な位置を探っている。

 やがて十時の方向へ真っ直ぐ腕を伸ばした。


「フレイル団長。左斜め前方、この方向にオークの集団がいます。それほど遠くない距離でしょう。臭いからしてかなりの数です。恐らく百を超えます」


 ハインリッヒさんの風魔法のコントロールは凄い!

 左にいるということは、風が運んでくる臭いで俺もわかるのだが、正確な方向はわからない。

 数は臭いの強さで判断しているのだろう。


「凄い……」


 後ろからつぶやきが聞こえた。

 振り向くとアシュリーさんが、両手をギュッと握って感動していた。

 マリンさんも、ほうっとため息をついている。


「こんな風魔法の使い方があるとは知りませんでした。微細なコントロールが出来るから、実現する技ですわ……」


 魔法の指導役を務める二人が感動していることでも、ハインリッヒさんが凄腕だとわかる。

 さすが聖サラマンダー騎士団!


「よし! ハインリッヒが示した方向へ進むぞ!」


「了解!」


 俺が引き続き先頭を引き受ける。

 森の中を十分ほど歩く。


 木々の間からオークの集落が見えた。


(いた!)


 俺は手を上げて隊列を止める。

 振り返り口元に指をあて全員を黙らせてから前方を指さす。


 そっとフレイルさんが前へ進む。


 俺も木々の間からオークの集落を観察する。


 掘っ立て小屋……。

 たき火……。

 地べたに寝転んでいるオーク……。

 座り込んで何かしているオーク……。


 俺の位置からでは、木が邪魔して全体を見ることは出来ない。

 それでもかなりの数のオークがウロウロしているのが見えた。


(森の入り口から、かなり近いよな……。ヤバイよな……)


 フレイル団長が戻ってきて、ハンドサインで『後退』を指示した。

 俺たちは音を立てないように、そっと後退した。

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