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第76話 冒険者ギルド長の入場です!

「こんにちはー!」


 俺が冒険者ギルドの扉を開くと、ソフィーが元気よく中に入った。

 時間は午後二時で、冒険者ギルドの中は閑散としている。


 受付カウンターに座るモナさんが、俺とソフィーに気付き笑顔で手を振る。


「あら~! ソフィーちゃん、こんにちは! リョージさん、いらっしゃい!」


「モナおねーちゃん、こんにちは!」


「モナさん、こんにちは。ガイウスから『冒険者ギルドが俺に用がある』と聞いてお邪魔しました」


 今朝、ガイウスから電話があったのだ。

 スマートフォンの便利さを実感するとともに、『おはようございます。豪腕のガイウスです』と、激シブ声で朝から笑わせにくるガイウスに困ってしまった。


「あっ! その件ですね! じゃあ、こちらへどうぞ!」


 モナさんは立ち上がり、冒険者ギルドの奥にある応接室に俺とソフィーを案内した。


 応接室……と、一応認識しているが、無骨で頑丈そうな木製のソファーとこれまた頑丈そうな木製のゴツイローテーブルが置かれた部屋だ。


 どのくらい頑丈そうかというと、プロレスラーが大暴れしても壊れなさそうな、空手チョップやブレーンバスターをしても壊れなさそうなソファーとローテーブルなのだ。


 木製ソファーとローテーブルの位置関係から、『ここは応接室なんだろうな、多分……』と、かろうじて認識できるだけで、『取調室』と紹介されれば納得してしまうレベルだ。




「はい。お水です」


「どうも……」


「ありがとー!」


 モナさんが、飲み物を持ってきてくれたが、ゴツイ木のカップに入ったお水だ。

 お茶じゃないんだなと思ったが……。

 恐らく、この部屋で冒険者たちが乱闘になった時のことを考えると、割れるコップや熱いお茶は危険ということなのだろう。


(何だろう……? 逃げ場のない金網デスマッチだろうか?)


 俺が冷や汗をかいている横で、ソフィーはゴクリゴクリと喉を鳴らして水を飲んでいた。

 俺の娘は大物だな。


 ドッパーン!


 大きな破裂音。

 応接室(?)の扉が開いた。


 扉の方を見ると、ドア枠があって、ドア枠の向こうに人が立っている。

 立っているのだが……。


 ドア枠の中に人間らしき足と腰のベルト、服の上からでも厚すぎると分かる胸板が見えている。

 熱すぎる胸なら大歓迎だが、厚すぎる胸板は嬉しくない。


(あ~~~~~~~~。なんか、大巨人的な人がいるぞぉ~~~~~~~。あれと話すのかぁ~~~~~~~)


 俺は既に疲れてしまい、真っ白に燃え尽きてしまい、肘をついて頭を抱えた。


「ちょっと! ギルド長! まだドアを壊したんですか! そっと開けて下さいよ!」


 モナさんの叱りつける声。

 ああ、やはりこの『ミスター・ドア枠ガイ』がギルド長なのか……。


「いやあ、ごめん、ごめん。直しておいてよ」


 ノンビリとした野太い声が、二階の方から聞こえた。

 ドアの方を見る。

 どうやらギルド長の顔は、ドア枠の上に隠れているようだ。

 それで二階から声が聞こえたと錯覚したのだ。


 ドア枠をくぐるように巨人が入って来た。

 俺は思わず腰を浮かせ巨人を見る。


(デカイッ!)


 身長は、二メートルは余裕で超えている。

 二メートル五十センチありそうだ。


「大きくてビックリしたでしょう?」


 モナさんが、壊れたドアを片付けながら俺に話しかけるが、俺は驚いて声が出ない。

 モナさんが、俺に気にせずギルド長を紹介する。


「こちらが冒険者ギルド長のババさんです。現役冒険者の時はババ・ザ・ジャイアントなんて呼ばれたんですよ」


 俺はあまりのデカさに声が出なかった。

 ランニング・ネックブリーカー・ドロップとか、河津落としとか、絶対に止めて欲しい!

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― 新着の感想 ―
デカいババだったか… 喋り的にフドウ・オブ・マウンテンかと思った…
テンプレでドアを壊す人は居るけど、自分のギルドのドアを壊すバカはあり得ない!  壊すぐらいなら布カーテンや西部劇のアレを付ければイイだけだし、(声もデカそうだからドアを閉めても音もれしそうだし) 昔か…
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