表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!  作者: 武蔵野純平
第一章 異世界転生したオッサン(サイドクリークの町編)
7/107

第7話 貨幣価値

「ソフィー! ありがとう! 俺はこの国の通貨がわからないから、とても助かったよ!」


「本当?」


 ソフィーがパァッと笑顔になる。

 嬉しいことがこちらにも伝わってきて、俺はとてもホッコリした気持ちになった。

 よし! もっと褒めよう!


「ああ、本当に! ソフィーは価格交渉が上手だね! 感心して見ていたよ!頭が良いんだね! 凄いよ!」


「えへへへ! そうかな!」


 ソフィーは俺に褒められてとても嬉しそうだ。


 お世辞抜きでソフィーは、頭の良い子だと思う。

 俺が十歳の頃は、小学校へ行って、友だちとサッカーして、家でゲームして……と、遊んでばかりだった。

 ソフィーのように大人を相手に価格交渉など、とても出来なかっただろう。


 俺はソフィーに興味が出て来ていた。


「ソフィーは、価格交渉をどこで覚えたの?」


「あちこちのお店で手伝いをしているうちに覚えちゃった! 真似っこしてるだけだよ!」


 ソフィーは、事もなげに言う。

 門前の小僧習わぬ経を読むなのだろうが、それにしても上手な価格交渉だった。

 ソフィーは商売センスがあるのかもしれない。


「あの女性のお客様……、えっと……、クロエさんは知り合い?」


「うん! クロエお姉ちゃんは、仕事をくれるの。洗濯とか、片付けとか」


「そうか。クロエさんは、冒険者なのかな? 魔物と戦うの?」


「そうだよ! クロエお姉ちゃんたちは、銀級冒険者なんだよ! 銀翼の乙女っていうパーティーなんだよ! 強くて、凄くて、お金持ちなんだよ!」


「へえ! 凄いな!」


 やっぱりいるんだな。冒険者。

 俺はいきなりゴブリンに襲われた。

 物騒な世界だから、荒事が得意な人たちが活躍する世界なのだろう。


 クロエさんたち銀翼の乙女は、稼ぐ冒険者らしい。

 ツテが出来たのはありがたい。

 ソフィーに感謝だな。

 ソフィーと会えたのは幸運だった。


 俺はソフィーに感謝しながら、俺自身の行動を反省する。


 今日は異世界初日で仕方のない面もあるが、もうちょっと調べてから値付けをするとかやりようはあった。


 俺はこの世界のこと、ここサイドクリークの町を知らなすぎる。

 習慣の違い、常識の違いを早く埋めなければ……。


 先ほどソフィーがやっていた値引き交渉も、商習慣の違いだ。

 かなり高い値段を吹っかけて、最終的にお互い納得出来る価格に落ち着かせる。


 それから、物の価値がわからない。

 大銀貨を受け取ったけれど、大銀貨一枚にどの程度の価値があるのだろう?


 果物ナイフとティーシャツが売れたことで、俺は気持ちに余裕が出てきた。

 隣に座るソフィーに、硬貨についてたずねてみる。


「なあ、ソフィー。この国の硬貨って、どんなのがあるんだ?」


「うーんとね……」


 ソフィーによると、この国の硬貨は六種類あるそうだ。


 ・銅貨

 ・大銅貨

 ・銀貨

 ・大銀貨

 ・金貨

 ・大金貨


 銅貨十枚で大銅貨一枚という具合に、十枚で上位の硬貨一枚になっている。


 ただ、庶民が使うのは大銀貨までで、金貨や大金貨は商人が大きな取り引きに使う硬貨らしい。


 ソフィーから色々話を聞いてみるうちに貨幣価値が分かってきた。


 定食屋で定食を食べると大銅貨五枚から六枚。

 高いところで銀貨一枚。

 日本円で考えると定食一食は、五百円から千円くらいだろうか?


 ソフィーから物の値段を色々教わる。

 どうも食料や食事関係は手頃な値段で、鉄製品や布製品など工業製品系は、値段が高いようだ。


 だんだん貨幣価値が分かってきたぞ。

 俺はポケットから小さなメモ帳を取り出して、貨幣価値の目安を書き込んだ。



 ・銅貨  十円

 ・大銅貨 百円

 ・銀貨  千円

 ・大銀貨 一万円

 ・金貨  十万円

 ・大金貨 百万円



 そうすると、先ほどのクロエさんたちとの取引は、大銀貨七枚だから七万円相当!?

 果物ナイフもティーシャツも日本では千円で販売していたんだが……。

 ボッタクリすぎじゃないか!?


 俺は密かに動揺した。

 良いのかな?


 だが、ソフィーは、がんばってくれたのだ。

 小さな女の子が一生懸命仕事をした成果にケチをつけてはいけない。


 まあ、お互い納得した取引だったし、クロエさんたち銀翼の乙女は稼いでいるそうだから、ありがたくいただいておこう。


「ソフィー。今日はもう店仕舞いにしよう。それで、俺は門番に入場料を払わなくちゃならないんだ。大銀貨はどこでくずせるかな?」


「商業ギルドでくずしてもらえるよ! ソフィーも一緒に行ってあげる!」


「案内してくれるのか? 助かるよ! ありがとう! じゃあ、あとでクリームパンと一緒に何か飲み物をあげるね」


「やったー!」


 クリームパンなら牛乳だろうか?

 子供ならコーヒー牛乳の方が良いかもしれない。


 俺は、喜ぶソフィーを見て笑顔になった。

 ソフィーに色々買ってあげるダメなおっさんになりつつあるな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★☆★ランキング参加中です!★☆★

クリック応援よろしくお願いします。

小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
[気になる点] 貢献度に対してクリームパンと牛乳って報酬安くね?
[一言] その乗り物に悪意,敵意のある人物が近付くと結界が張られる仕組みなのかな
[良い点] 売ったらなくなるという原理がすれば、高く売れるに越したことないのにな。 ビビってる場合じゃないっしょ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ