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左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!  作者: 武蔵野純平
第四章 冒険者たち(ダンジョン編)

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第59話 ダンジョン内での通話調査

 ――二日後。


 俺は冒険者ギルドに依頼をだした。

 冒険者ギルドには、『ダンジョン内の調査』と説明をした。

 スマートフォンについてアレコレ説明するのが面倒なのだ。


 ガイウスたちの冒険者パーティー『豪腕』とサポート要員として孤児院年長組のリックとマルテを指名した。

 指名依頼を受けると、冒険者ギルド内でリックとマルテの評価が上がるらしい。


 オッサンからのささやかな援護射撃。

 二人の実績になるのなら、これに勝る喜びはない。


 午前中、精霊の宿で掃除をしていると、早速スマートフォンに着信がきた。


「はい。もしもし」


「おう! オッサン! リックだ! もしもしって何だ?」


 そうか、『もしもし』が通じないのか。

 確か『申し、申し』、『これから申しますよ』という意味だ。

 異世界では通じないな。


「俺の国で使う言葉だ。スマートフォンに出る時の挨拶みたいなものだよ」


「へー、そうなのか! もしもし!」


「ふふ、もしもし。それで何階層からだ?」


「今、一階層だ! ガイウスさんに代るぜ」


 少し間が開き、スマートフォンの向こうで何やら声が聞こえる。


『えっ? これで良いのか? 話すのか? 大丈夫なのか? ダメージは? ない? 本当か?』


 ガイウスがスマートフォンを滅茶苦茶警戒している。

 スマートフォンで通話しても、ダメージは入らないよ。

 安心して話してくれ。


 リックが大丈夫だとなだめて、やっとガイウスが電話に出た。


「豪腕リーダーのガイウスです」


「ぶっ!」


 ガイウスが物凄いフォーマルな口調と声で話し出したので、俺は思わず吹き出してしまった。

 何をかしこまっているんだ!


 俺は爆笑しそうになるのを堪えて応対する。


「ガイウス。こちらリョージだ。ご苦労様。一階層に到着したんだな。音質はクリアーだ。問題ない」


「左様でございますか。では、引き続き調査を行います」


「よろしく。あと、いつもの調子で話して大丈夫だからな」


「本当ですか? このスマホンが怒りませんか?」


 スマホンって何だよ!

 ゾマホンかよ!


 俺は心の中でツッコミながら、必死に笑いを堪える。

 ドスの効いた声でボケをカマスのは勘弁してくれ。


「ガイウス。大丈夫だ。スマートフォンは怒ったりしない。乱暴に扱うと壊れるが、普通に使っている分には大丈夫だ。あと水に濡れると壊れるから、水に気をつけてくれ」


「わかりました。スマホンの調査を続行します」


 俺はスマートフォンを切ると同時に笑い転げ、ソフィーがタタタと駆け寄ってきた。


「おとーさん。どうしたの?」


「ふふふ、ソフィー! 聞いてくれよ!」


 ガイウスとのやり取りをソフィーに聞かせると、ソフィーは飛び跳ねて喜んだ。


「ガイウスのおじちゃん! 面白い! 次はソフィーも話したい!」


「わかった! 次はスピーカーフォンにしてみよう!」


 俺たちは、早く電話がかかってこないかなとワクワクした。


 宿の掃除を終らせて、中庭のガーデンベンチに座り一休み。

 俺は缶コーヒー、ソフィーは桃の飲料を飲みながら、ボーッと空を見上げる。


 ダンジョンには転移の魔法陣が一階層にあるそうだ。

 つまり一階層がビルのロビーのような役割で、一階層から転移の魔方陣を使って他の階層に行き来できる。


 今回の依頼は、一、五、十、十五階層へ行ってもらうが、転移の魔方陣があるから大した手間ではないそうだ。

 最後の十五階層では、奥の方まで行って通話できるか確認してもらう。



 スマートフォンが鳴った!


 俺はすかさずスピーカーフォンにする。


「もしもし、リョージです」


「マルテだけど、五階層に着いたよ」


「マルテおねーちゃん! ソフィーだよ!」


「ソフィー! 聞こえるよ! このスマートフォンって道具は凄いね!」


 ソフィーとマルテが電話越しにキャッキャッとはしゃぐ。

 ああ、女の子は賑やかで良いな~。


「マルテ。ガイウスに代ってくれるかな?」


「わかった。ちょっと待って」


 俺とソフィーは、ワクワクしながらガイウスが話し出すのを待った。


「えー、もっしもっし、豪腕のリーダーのガイウスです。お元気ですか?」


「ぶはっ!」


「ぷー!」


 ガイウスは激シブな声で『もっしもっし』、『お元気ですか?』と極めて真面目に話し出した。俺とソフィーは吹き出してしまった。


 だが、ゲラゲラ笑うわけにもいかない。

 俺とソフィーは笑いを堪える。


「ガイウスのおじちゃん! ソフィーです!」


「ソフィーさん。ガイウスです」


「プー! ガイウスのおじちゃん、普通に話して大丈夫だよ!」


「そ、そうですか。スマホンは、噛みついたりしないですか?」


「噛みつかないよ!」


 ガイウスはスマートフォンを何だと思っているのだろう。

 俺とソフィーは、一生懸命真面目に話そうとするガイウスが面白くて仕方がなかった。



 結局、スマートフォンは十五階層まで通話可能だと確認が取れた。

 ダンジョンの奥へ入っても問題ない。

 謎テクノロジーのおかげで、地図機能もバッチリ使えるそうだ。


 ただ、問題が一つ。


『豪腕のリーダーのガイウスです。スマホンでお話ししています』


 ガイウスの口調だけは直らなかった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] インターネットの使用は不可能でお願いしたいです。GPSぐらいは良いのだが?
[一言] ガイウス、いいやつ、真面目で天然。
[良い点] 機械オンチガイウス!草ァ(*´ω`*)
感想一覧
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