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左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!  作者: 武蔵野純平
第六章 スタンピード

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第100話 誇り高き我が娘ソフィーを讃えよ!

 ダンジョンで魔物が大発生!?

 ババさんの言葉に周囲がザワつく。

 俺は真剣な表情のババさんに確認する。


「ババさん。スタンピードが始まったのでしょうか?」


「ああ! 始まった! 魔の森より先にダンジョンから魔物が溢れる!」


 俺の問いかけにババさんが答えた。

 周囲の空気が一気に緊迫した。


 ババさんが次々に指示を出す。


「オマエは領主に伝えろ! スタンピードが始まったと! 誰か他の門へ走ってくれ! 門を閉じるように言え! 森にいる冒険者たちに声をかけて引き上げさせろ! 急げ!」


 ババさんの指示を受けて、若い冒険者たちが次々に走り出した。

 ババさんは聖サラマンダー騎士団のフレイル団長に視線を移した。


「聖サラマンダー騎士団さん。始まりました。町の防衛に協力をお願いします」


「無論だ。団員に壁の防御につくように伝えよう。ダンジョンの救援はどうする?」


「精鋭を送ります。ガイウス! 『豪腕』で救援を頼む!」


「任しとけ!」


 ババさんがガイウスたち『豪腕』を指名した。

 数ではなく、少数精鋭でダンジョンにいる冒険者たちの脱出を支援するようだ。


 大丈夫なのかな?

 俺は漠然とした不安を感じた。

 スタンピードは話でしか聞いてないが、大量の魔物が出現するらしい。


 ダンジョンは広大なスペースだが、地上へ向かうには転移陣を経て一階層から地上へ向かう階段を使わなければならない。


(階段が魔物に抑えられたら逃げ場がなくなるよな……)


 俺もダンジョンへ応援に向かった方が良いんじゃないか?

 移動販売車を使えば、魔物の中を強行突破することが出来る……。

 俺が迷っていると、ソフィーが声を上げた。


「ソフィーもダンジョンへ行く!」


 小さな女の子が手を上げたことに、周囲から驚きの声が上がる。

 俺は慌ててソフィーを止めた。

 ひざまずきソフィーと視線を合わせ、ゆっくりと言い聞かせる。


「ソフィー。ダンジョンは魔物が沢山出て危ないんだよ。ソフィーは壁の中で町を守れば良いんだよ」


 だが、ソフィーは首をブンブンと振る。


「リックお兄ちゃんとマルテお姉ちゃんが、ダンジョンにいるの!」


「えっ!? リックとマルテが!?」


 リックとマルテは孤児院の年長組で新人冒険者だ。

 俺からスタンピードの情報を聞き出し、状況を気にしていた。

 今日はダンジョンに潜っていたのか!


「ソフィーが助けに行く!」


「ソフィー! 待ちなさい!」


 俺は飛び出そうとするソフィーを抑える。

 ソフィーは俺の手を振りほどこうと、ブンブン上下に手を振る。


「いや! ソフィーは行く!」


「ダメだよ! 危ないよ!」


 俺とソフィーが押し問答をしていると、聖サラマンダー騎士団団長のフレイルさんが割って入った。


「リョージ殿。ソフィーは、小なりといえども誇り高き魔法使いなのだ。危機にある者を放ってはおけないのだろう」


「フレイルさん! しかし――」


「ソフィーの魔法は強力だ。作戦の一助となることは間違いない。もちろん、私も同行しよう! 速やかにダンジョンに至り、取り残された冒険者を救出するのだ!」


「うん!」


 フレイルさんが力強く宣言し、ソフィーが同調する。

 父親としては、非常に悩ましい。


 ソフィーを危地へ送り込むようなことはしたくない。

 だが、フレイルさんの言うこともわかる。

 ソフィーの魔法攻撃は強力で、ここサイドクリークの町では一番だろう。

 オークの集落を攻撃してから大分時間も経っているので、魔力も回復している。


 もしも、ここでソフィーを止めたとする。

 そして、リックとマルテがダンジョンで死んだらソフィーは心に大きな傷を負うだろう。

 ならば、俺も同行してダンジョンの応援に向かい、ソフィーを守りながら戦ってみては?

 それに移動販売車の【障壁】があれば、生存確率は大きく向上するのではないか?


 俺は勝算ありと見て、ソフィーに伝えた。


「わかった! じゃあ、お父さんもソフィーと一緒に行くよ! リックとマルテを助けよう!」


「うん! ソフィーがんばる!」


「では、私も行きます」


 俺が決意を固めると背後から声が掛かった。

 振り向くと杖を持ったシスターエレナが、いつもの笑顔でたたずんでいた。


「シスターエレナ! 危険ですよ!」


「承知の上です。私もパーティーメンバーですから、置いてきぼりは嫌ですよ。それに回復役は必要でしょう?」


 シスターエレナは穏やかに微笑んでいるが、目の奥に強い意志を感じた。

 ああ、この人もシスターメアリーと同じく、心の奥に熱い気持ちを持っているのだ。

 ならば断らずにシスターエレナに助力をこうのが良いだろう。


「シスターエレナ。ありがとうございます! お力をお貸し下さい」


「はい。喜んで!」


 続いて王都から来た若い神官マリンさんとアシュリーさんも手を上げてくれた。


「私もお忘れなく。臨時とはいえパーティーメンバーですからね」

「私も参加する。ソフィーに魔法を指導したのは私。弟子の行くところ師匠も行く」


「マリンおねーちゃん! アシュリーおねーちゃん! ありがとう!」


 ソフィーがマリンさんとアシュリーさんに抱きつく。


 これで後衛は強力になる。

 俺は迷いなく、冒険者ギルド長のババさんに告げた。


「ババさん。俺たち『ひるがお』もダンジョンへ向かいます!」


「頼んだぞ!」

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― 新着の感想 ―
こんばんは。累計100話到達おめでとうございます(^_^) いよいよダンジョン氾濫ですか…数の暴力は一番怖いですからねぇ。
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