真っ暗な閉鎖空間の中で
どう続けたら良いでしょう?宜しく御願い申し上げます!
副島克子は、今年で二十八歳になるOLだ。 都内の一流大学を卒業してすぐに、この国内有数の商事会社への入社を果(は、得意の真面目さと、日商の簿資格を活かして経理畑を歩んできた。年齢を感じさせない容姿の端正さも持ち合わせているのだが、結婚もしておらず、気ままに独身生活を謳歌しているといった次第なのである。 さて、そんな克子が、車内のフロアの離れた別の課に書類を届けなければならないという用事の為に、エレベーターに乗った時の御話なのである。 彼女は、三階にある自身の所属する部署である経理課から三十二階にある庶務(庶務部)を目指したのである。エレベーターの扉の脇にある上昇ボタンを押して待った。暫く書類を手にしたまま待つと、カゴ室が降りてきて、三階に到着した。彼女は、乗り込み、三十二のボタンを押した。ドアが閉まるのを待ち、カゴ部屋の中の重力が一瞬すうと無くなり、上昇を開始するのがわかった。「ふう。なんだかこの頃暖かい日が続くわね。身體の匂いが気になっちゃうわ。わたし匂い的に、大丈夫から?」などと、他に人がいないカゴ室の中で独り言を呟いたその時、であった。ふとカゴ室が止まる感覚があり、エレベーターは止まった。 ドアが開いた。何者かが乗り込んで来るらしい。十二階であった。そのフロアにどこの部署があるかなど克子はすべて知っている訳ではなかったが、確か本部/事業部や総務部など、比較的に企業の中核を為すような重要な部、課が配置されていたような気がした。 そこで、開いた扉から入ってきたのは、アッザムであった。そのあまりの図体の大きさで社内でも有名であり、一目置かれた存在である。彼がモビルアーマーであることも既に知れ渡っているのだった。 克子とても彼の噂を耳にしなかったわけではない。社内で何かの折に目にしたのだって一度や二度ではない。 肩(?)が触れ合うような距離でカゴ室の中で並んで立って、克子は思わずひょいと頭を下げて会釈した。
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