第501話 良心回路
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。アカウントは「@dinagiga」です。毎週木曜更新を予定しています。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「特注の回路かぁ」
感心したようにそう言うと、両津は奈央に視線を向けた。
「で、良心回路って何やねん?」
それには岸田教授が勢いよく突っ込んだ。
「そっちかーい!」
「教授の回路にも興味はありますけど、良心回路ってめっちゃ謎ですやん?」
確かにと、生徒たちがうなづく。
そんな彼らを見渡して、奈央がすっくと立ち上がった。
「では、わたくしからご説明してさしあげましょう!」
だが、そこにひかりとマリエが駆け戻ってきた。それぞれ両手に人数分の食券を握っている。もちろん全てカレーライスである。
「ちょっと待ったぁ!」
「待ったぁ」
「何か楽しい話してるでしょ!? 私たちもまぜて欲しいな!」
「まぜて干し芋」
「干し芋まぜちゃダメだよ、マリエちゃん。干し芋じゃなくて“欲しいな”だよ、い・な!」
「い・ね?」
「それは稲作の稲」
「米が高い」
ひかりがうんうんとうなづく。
「そうだよねぇ、5キロで4000円越えてるなんて、もう地獄だよねぇ」
「地獄の沙汰も?」
「金次第!」
二人でそう叫ぶと、ウッヒッヒと下卑た笑いを漏らした。
たまらず奈々が突っ込みを入れる。
「あんたたち何の話してるのよ!?」
ひかりがキョトンとした目を奈々に向けた。
「話をしてるのはみんなだよ? 何の話で盛り上がってたの?」
あ、話が元に戻った!
両津は内心でニヤニヤしていた。
岸田が南郷に耳打ちをする。
「南郷くん、このめっちゃキレイな子も、火星大王と繋がっとるんじゃないかね?」
「はい、その可能性も十分あるかもしれまへん」
その時、奈央が背筋を伸ばし皆を見回した。
「はい、話がキレイに戻ったので、わたくしから良心回路の説明をさせていただきます」
それを再びぶった切ったのはひかりである。
「お父さん! お母さん!」
もちろん突っ込むのは奈々だ。
「それは両親! 奈央が言ったのは、良い心と書いて“りょうしん”!」
さぁ始まった!
両津が内心ではなく、表情に出してニヤリと笑う。
そして今度は、南郷が岸田に耳打ちをした。
「センセ、始まりまっせ! これからが遠野くんの真骨頂ですわ!」
「うむ、見せてもらおうかのぉ」
ひかりが右の二の腕あたりをポリポリとかく。
「奈々ちゃん、かゆいよぉ!」
「それは湿疹!」
「両津くん!」
「は、はい!?」
ひかりに突然名前を呼ばれ、目をパチクリさせる両津。
「君は自分の部屋から出ないように!」
「それは謹慎!」
「なんで僕が謹慎やねん!?」
「両津くんがいつも悪いこと、考えてるからだよ」
「それは邪心!」
「そんなこと考えてへんわ!」
「ホントかなぁ……だってこの前、ほら……あの時も」
「それは意味深!」
「あの時っていつやねん!? そんなん知らへんで!」
「トボケるヤツは、こうだぁ!」
と、ひかりがズバッと縦一文字に刀で斬り捨てる動作をする。
関西人の両津は、思わずそれを受けて倒れてしまう。
「やられたぁ!」
「それはアサシン!」
倒れかけた両津が、それをごまかすようにヒザを何度か曲げ伸ばしして立ち上がった。
「それは屈伸!」
奈々の突っ込みが両津にも爆発する。
ひかりが右手で自分のお腹をさすり、キッと両津を睨みつけた。
「この責任、どう取ってくれるのよ!?」
「それは妊娠!」
「ヤマト!」
「発進!」
岸田が再び南郷に耳打ちする。
「これ、いつまで続くんじゃ?」
「たぶん、誰かが止めない限りいつまでも」
「この流れに付き合うとは、みんないい友達なんじゃのぉ」
「私もそう思いますわ」
それからしばらくの間、このやりとりが続いたのであった。
いつまでたっても回路の説明に入れない一同(笑)
良心回路とは?
笑心回路とは?
次回こそ解説できる……といいなぁww




