表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

500/508

第500話 特注品

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。アカウントは「@dinagiga」です。なお、毎週木曜日に更新していく予定です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「おばちゃ……やっば……お姉ちゃ〜ん!何か食べた〜い!」

 昼休みの学食に、ひかりの元気な声が響き渡った。

 腹ペコの生徒たちが、全員揃って到着したのである。

 今日に限っては、教官の南郷とスペシャルゲストの岸田教授も一緒だ。

 厨房から、学食チーフの福田幸代がひょっこりと顔を出す。

「あら南郷教官も? 珍しいですね」

「いやぁ、授業が中途半端なとこで終わってしもたんですわ。ほんで、みんなで飯でも食いながら、続きやろ思いまして」

 頭の後ろをボリボリとかきながら南郷がそう言った。

「それで、そちらの方は?」

「わしじゃーっ!」

「岸田センセ、ワシじゃ分かりまへんですわ」

「ほんじゃ、鷹じゃーっ!」

 南郷が深い溜め息をつく。そんな彼に目も向けず、岸田が再び叫ぶ。

「いや、鷹と言うよりトシじゃーっ! タカアンドトシじゃーっ!」

「センセの場合タカトシと言うより、もう歳じゃーっ!のトシでしょ!」

 あの南郷でさえ、呆れ顔になっていた。

 そんな会話が耳に入っていないのか、ひかりが目をキラキラとさせて幸代に言う。

「カレー食べたい! おば……オバケちゃん!」

「誰がお化けよ!」

 そんなひかりに、岸田がサッと視線を向ける。

「ほほう……南郷くんの言う通り、彼女のギャグにはキレがあるのぉ」

「キレ、ありまっかねぇ?」

「あるある! なんじゃそりゃーってぐらいある!」

「それもしかして、“呆れ”でっか?」

「お! よく気付いたのぉ、南郷くん!」

「いや、そのキレやないんですけどねぇ」

 ひかりが幸代に向けて、ペロッと舌を出す。

「てへぺろ♡」

「てへでもぺろでもいいから、早く食券買ってらっしゃい!」

「はーい!」

 幸代の言葉に、ひかりとマリエが券売機へ向かって駆け出した。

「ほんならみんな、適当に座ってくれるか」

 食券購入組を横目に見ながら、南郷が生徒たちにそう声をかけた。

 それぞれ思い思いの椅子に腰を下ろす生徒たち。

「実はや、遠野くんと火星大王について、岸田教授にお話したんや」

「センセ!」

 両津が慌てて突っ込みを入れる。

「なんや?」

「火星大王“さん”て言わな、遠野さんにどやされまっせ!」

「あ、そうやったな」

 エヘンとひとつ咳払いをする南郷。

「遠野くんと、火星大王さんの関係について、今日のスペシャルゲスト岸田センセにお話をしたんや。ほんなら、ひとつ心当たりがある、言うてはるんや。ね、センセ?」

 岸田は、それまで見せていたふざけた表情をぐっと押さえ、生徒たちを見渡した。

「みんなは、ひかりちゃんと火星大王が何らかの形でつながっている、そう考えているんじゃな?」

 うんうんとうなづく生徒たち。

「量子テレポーテーションで、素粒子レベルのつながりがある、その仮説にはワシも賛成じゃ」

 いきなり核心に入った!

 そう感じた生徒たちは、静かにその続きを待った。

 券売機のある少し離れた場所からは、ひかりとマリエの会話が小さく聞こえている。

「カレーと言えば誰〜?」

「キレンジャー」

「ブッブー! カレーなる一族でした!」

「暴走族?」

「カレーは暴走しないよ? 暴走なんかしたらカレーショットになっちゃうよ」

 相変わらず不思議な会話を繰り広げている。

 そんな二人をチラリと見てから岸田が重々しく口を開いた。

「実はな、あの火星大王にはワシが特注して作らせた、特別な回路が組み込まれているのじゃ」

「特注品でっか?」

「そうじゃ。ワシの研究室がある城南大学のロボット工学科の友人に頼んで作ってもらったんじゃが……その名も、Laugh Systemじゃ!」

「ハーフ・システム?」

「それじゃ半分になるじゃないか!」

「ハーブ?」

「そうそう、いい香りじゃのぉ……って、ちがーう! ラーフじゃラーフ! 笑いじゃ!」

「英語は苦手でんねん、できるだけ日本語で言ってくれまへんか?」

「日本語で言うと、笑う心と書いて“笑心回路”じゃ!」

 それを聞いて突然奈央が立ち上がる。

「良心回路ですか!?」

 続いて愛理も立ち上がった。

「人造人間キカイダーの!?」

「それは良心回路! ワシが作らせたのは笑心回路じゃ!」

 一斉に全員が首をかしげる。

 笑う心の回路って……なんだ?

「簡単に言うと、面白かった出来事やダジャレなどの笑いにまつわることを、どんどん記憶していくAIによる記録回路、と言ってもいいじゃろう」

 なるほど!

 ひかりとつながっているのは、その回路なのか!

 またひとつ謎が解けたと、生徒たちの顔がパッと明るくなった。


ついに明らかになったひかりのダジャレの秘密!

でも……笑心回路ってなに!?(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ