第484話 ローワーデッキ
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「それで、船長たちの居場所は分かっているのですか?」
美咲の問いかけに、正明がうなづいた。
「船長とドクターは、予備の船室に監禁されています」
美咲たちは場所を移動していた。あかり、正明、結菜の本来の居場所である情報システム部だ。情報セキュリティー保護の目的もあり、ここでの会話や情報は外部に漏れることはない。ブリッジからですら、この部屋の内部を探ることはできないのだ。つまりレジスタンスにとって、ここまで好都合な場所は他には無いのである。
正明がコンソールを操作すると、美咲の前のモニター画面にハーフムーンの船内マップが映し出された。その中の一区画が赤く点滅している。ローワーデッキの船尾付近だ。
「こことは違いクルー用の個室なんですが、予備なのであまり回線が接続されていなくて、連絡は取れないんです。ただ、」
そう言って正明は点滅する区画に光る二つの光点を指差した。
「これが船長とドクターだと思われます」
その光は、部屋の中をゆっくりと移動している。
「ご無事なんですね」
「はい。毎日観察していますが、部屋の中を元気そうに動き回っています」
「良かった」
安堵の息を漏らす美咲。
結菜がわずかに微笑んだ。
「お二人共、確か筋トレが趣味だと聞いたことがあるので、毎日トレーニングしてるんだと思います。多分、ですけど」
部屋の空気がわずかに緩む。
だが、真相は分からない。脱出の方法を探って、毎日部屋の中を調べている可能性もある。どちらにしろ元気であることに間違いはなさそうだ。
「それで、どんな計画を?」
彼らによると、二人を助け出す作戦を考えているという。美咲には、それを補強して欲しいのだと。
正明が点滅する部屋の一角を指差した。
「ここにフードプロセッサーがあります」
美咲が目を凝らすと、確かに部屋の壁にそんな表記が見つけられた。
「この部屋には、他に電子機器が全く無いんです。もちろん無線も電話もありません」
その言葉に、美咲がゆっくりとうなづく。確かにマップに表示されている機器は、フードプロセッサーのみのようだ。
「それで?」
美咲が先をうながした。
「だから、フードプロセッサーにメッセージを送ろうと思うんです!」
正明の言葉に、目を丸くする美咲。
「それって、どういう?」
「実は、いい方法を思いついたんです!」
正明の目は、新しい玩具を見つけた子供のようにキラキラと輝いていた。




