第481話 検証テスト
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「なんやこれ、前にも体験したような気がするわぁ」
火星大王の前に立つ両津が、首をひねりながらそう言った。
「何度もやってるじゃない、これ」
奈々も、火星大王を見上げている。
ロボット部の生徒たち一同は職員室を後にして、各自の教習用ロボットが収容されている格納庫に来ていた。他には陸奥と南郷の顔も見える。久慈は、まだ眠り続けている美咲の付き添いで職員室に残っていた。
奈央が両津に視線を向ける。
「既視感、というやつですわ」
ひかりが嬉しそうな顔を奈央に向けた。
「股に塗るやつ!」
「それはキンカン!奈央が言ったのは既視感!」
例によって奈々が突っ込む。
「キシカン塗って〜♪股に塗って〜♪」
「それに股に塗るんじゃなくて、又塗って、よ!」
そのやり取りを聞いていた奈央が首をかしげる。
「どう説明すればいいのでしょう? 今現在のことを、以前にも体験したように感じる、それが既視感ですわ」
それに奈々が追加する。
「デジャブよ!」
ひかりが即座に切り返す。
「デブじゃ!」
「太ってないわよ!」
そんな会話が無かったかのように、奈央が両津に言った。
「以前、遠野さんが本当に火星大王さんと会話ができるのかどうか、調べる時もこんな感じでしたわ」
「あー!あの時か!」
両津がポンと手を叩く。
奈々が呆れたような顔を両津に向けた。
「あんた、ホントに忘れてたの?!」
両津がペロッと舌を出す。
「てへぺろ」
「あんたがやっても可愛くないわよ」
奈々はそう言うと、諦めたようにため息をひとつついた。
そんな中、正雄が一歩前に出る。
「それじゃあ今ココでやってみようじゃないか!ベイビー!」
ひかりがパッと心音の顔を見た。
「ココちゃんが何かするの?」
不思議そうに首をかしげている。
心音も首をかしげる。
「私が何かするの?」
「うん。だって今棚倉くん、今ココがやってみるって……」
「今ココで!よ!」
奈々の突っ込みに、そろそろ青筋が立ち始めた。
ビシッとポーズを決めている正雄に、奈央が質問する。
「棚倉さん、今から何をするのか分かっていらっしゃるの?」
「もちろんさ!遠野くんの言動がどうして古いのか、それを火星大王から聞き出そうってことだ!」
「正解ですわ。でも……」
「でも?」
「どうすればそれを証明できるのでしょう?」
確かにそうである。
ひかりに何か質問をしたとして、その答えが古い何かだったとする。だが、それが火星大王の考えだと、どうすれば分かるのだろうか?
一同は途方に暮れていた。




