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第477話 恋と愛の違い

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「確かに、恋愛って哲学かもしれへんわなぁ」

 両津が納得したようにうなづいた。

 正雄が両手を広げて皆を見回す。

「じゃあ俺が結論をまとめてやるぜ!恋愛とは!」

「恋愛とは?!」

 皆の声が揃った。

「恋して愛することなのさ!ベイビー!」

「やっぱりそのままじゃないの!」

 ダメだこりゃ。

 生徒たち全員が肩をすくめる。

「あ!」

 その時、ひかりが何かに気付いたように声を上げた。

 皆が注目する。

 ひかりは、なぜかもじもじしながら教官ズを見た。

「そう言えば、陸奥教官と久慈教官はアッチッチなんですよね?」

 突然話を振られた二人は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔でひかりを見つめた。あまりにも唐突だったからだ。しかもその話が出たのは、ISSへ出かけた修学旅行以来のことである。

「どうなんですか?!」

 奈々が陸奥と久慈に詰め寄った。他の生徒たちも、期待に満ちた目で二人を見つめている。なにしろここまで話し合っても全く答えの出ない問題だ。一番確かなのは経験者に聞くことである。

 陸奥がポリポリと頭をかく。

「今は、アッチッチ……ではないかな」

「じゃあ何なんですか?!」

 奈々の質問に、ひかりが大声で答えた。

「モンチッチ!」

「それは猿!」

「じゃあ変態だ」

「変態じゃなくて恋愛!」

「へんたーい、止まれ!」

「うきーっ!」

「ほら、猿だよ」

 再びいつもの流れに入りそうな会話に、奈央が割って入る。

「では、恋愛経験者のお二人にお聞きしますわ。恋愛のお話をする前に、恋と愛って違うものなのでしょうか?」

 両津がパッと顔を奈央に向けた。

「それ!ボクも前から知りたかってん!」

「じゃあ俺が結論をまとめてやるぜ!」

「あんたは黙ってなさい!」

 正雄の言葉を奈々が制止した。

「難しいこと聞くなぁ」

 陸奥が首をかしげる。

「南郷さんはどう思います?」

 久慈が南郷に話を向けた。

「恋と愛でっか? 僕にもよく分かりまへんけど、愛は二人で育むもので、恋は一方通行……ちゃいますかなぁ」

「一方通行?」

 ひかりが不思議そうにそう聞いた。

「そうや。恋ってのは誰かのことを好きになって、その感情を相手に向ける。一方の愛は、そんな感情を受け止めて、二人で育てていく。そんな感じちゃうかと思うんや」

 生徒たちの表情が変わる。

 まさかあの南郷からこんな言葉を聞くなんて!

 この人もしかして、ちゃんとした大人なのではないか?

 その時ひかりが右手を上げた。

「南郷センセ!」

「はい、遠野くん」

「ほんじゃ、好きと恋は同じなんですか?」

 南郷がうーんと考え込む。

「また難しいこと聞くなぁ。でもよく言うやろ? 恋愛としての好きは「LOVE」で、それ以外は「LIKE」やって」

 ポカンと口を開けるひかり。

 彼女は英語がとことん苦手なのだ。

 そんなひかりを奈々がフォローした。

「ひかり、英語の成績最低なので、それじゃあ分からないと思います」

 全くフォローになっていない。

「てへぺろ」

 ひかりだけでなく、なぜかマリエも舌をぺろりと出した。

 奈々が驚いてマリエに聞く。

「マリエちゃんは英語できるでしょ?」

「私が分かるのは日本語とオランダ語」

「誰んだ? オラんだ!」

 ひかりのひと言を無視して、久慈が生徒たちを見渡して言った。

「みんな、好きな人ができたらどうなるかしら?」

 愛理が一番に手を挙げる。

「はいですぅ!」

「伊南村さん」

「近くにいるだけでドキドキしたり、うれしくなったりしますですぅ!」

 愛理の目は奈々を見つめている。

「はい!」

「遠野さん」

「その人のこと、もっともっと知りたくなります!」

 ひかりは奈々を見つめている。

「はい!」

「館山くん」

「いつもその人が頭に浮かんできます」

 大和はそう言うと、心音に目をやった。

 久慈がマリエに視線を向ける。

「マリエさん、これで分かったかな?」

 マリエがひかりをじっと見つめる。

「ドキドキして、知りたくなって、頭に浮かぶ……うん、分かったと思う」

「良かった」

 久慈が優しく微笑んだ。

「やった!問題がひとつ解決や!これで本題に戻れるで!」

 両津が嬉しそうにそう叫んだ。

 そんな彼に、奈々がいぶかしげに聞く。

「本題って何なの?」

 両津はパッと顔を奈央に向ける。

「宇奈月さん、さっき言っとったやん!遠野さんが古いことやダジャレばっかり言う理由が分かったとかなんとか!」

「奈央、そうなの?」

 その場の全員が奈央の顔を見た。

「これはあくまでもわたくしの予想ですけど」

「それでもええから聞かせてくれ!」

「もしかすると、火星大王さんのせいではないでしょうか?」

 どういうことだ?

 その場の全員が首をかしげていた。

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