第476話 恋愛の真実とは?
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「恋愛って言うのは、」
正雄がマリエに熱い視線を向ける。
それをまっすぐに受け止めるマリエ。
静まり返る職員室。
誰かの、つばを飲み込むゴクリという音が聞こえた。
「恋して愛することなのさ!ベイビー!」
「そのままじゃないの!」
奈々の突っ込みが炸裂する。だが、正雄は不思議そうな顔を奈々に向けた。
「違うと言うのかい? お嬢さん」
正雄は真顔だ。
「いや、そういうわけじゃないけど」
しどろもどろになる奈々。
「それも間違ってないけど、なんて言うか、こう、もっと本質的なことが知りたいのよ!」
「お嬢さんもかい?」
奈々が生徒たちを見回す。皆、うんうんとうなづいている。
「そ、そうよ!」
「簡単さ。君自身が恋愛してみればいいのさ」
「誰とよ?」
正雄がキラリと光る歯を見せて笑う。
「あんたと恋愛なんかする気なんて無いわ!」
「あんたじゃない、俺はジョニーさ!」
「何度も言うけど、棚倉正雄のどこがジョニーなのよ?!」
「ジョニー? 俺のことはマイトガイと呼んでくれ!」
「今自分でジョニーって言ったじゃない!」
「オイラはドラマ〜♪ ヤクザなドラマ〜♪」
正雄の歌に、今度はひかりが突っ込んだ。
「それはマイトガイじゃなくてタフガイだよ、石原裕次郎!」
両津の目がキラキラと輝く。
また遠野さんの古い話が始まったで!
これでやっと話がもとに戻りまっせ!
「マイトガイって言うのはね……今日は棚のチョコ、全部買っちゃうぞ〜!」
「それは大人買い!棚倉くんのはマイトガイ!」
「よし!コミケに行って、売れそうな漫画家を探すぞ!」
「青田買い!」
「相打ちになっても、あいつを倒してやる!」
「差し違い!」
「あいつは普通のやつじゃない!とってもすごいのだ!」
「規格外!」
正雄がニヤリと、マイトガイスマイルを見せる。
「俺のことだぜ」
「そのすごさは半端ないのだ!」
「桁違い!」
「やっぱり俺のことだぜベイビー」
両津は心中で頭を抱えていた。
結局いつものパターンになってしもた!
遠野さんが、古い言葉やダジャレばっかり言う理由って話はどうなったんや?!
その時、奈々が二人の間に割り込んだ。
「マイトガイはもういいから!恋愛の話に戻しましょう!」
奈々の言葉に、ひかりがキッパリと言い放つ。
「奈々ちゃん、私知ってるよ!」
「はいはい、さぁもう一度人差し指立てなさいよ!」
ひかりは奈々に言われた通り左手を高く上げ、人差し指をピンと立てた。
「マリエちゃん、恋愛と言うのはね、」
マリエが真剣な眼差しをひかりに向ける。
「我々は賃上げを要求する!」
「それは組合!マリエちゃんが聞いてるのは恋愛!」
「まぁそう言わずに、お互い様ってことで!」
「馴れ合い!」
「両津くんのギャグはどこか間違ってるよなぁ」
「不具合!」
「なのに両津くんは自分が大好き!」
「自己愛!」
「両津くんのいい所は全部はぶかせていただきます!」
「割愛!」
「両津くんには汚い格好が!」
「お似合い!」
「と言うわけで両津くんは?」
「変態!」
「もう恋愛から離れすぎとるやないかーい!」
両津がすかさず突っ込む。
「ここからは若いお二人にまかせましょ」
「お見合い!」
「それの反対は?」
「恋愛!」
戻った!
その場の全員から、おお〜、と言うどよめきが巻き起こる。
今のラリーはすごかったなぁ。
そう関心しきりの皆だが、よく考えれば恋愛の何たるかはサッパリだ。
「おお〜、やあらへん!結局恋愛が何なのか、全く分からへんやん!」
両津の叫びを聞き、マリエがポツリとつぶやいた。
「まるで哲学ね」
「それやーっ!」
その場の全員がうんうんと激しくうなづいていた。




