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第47話 ロボットジムカーナ

「超機動伝説ダイナギガ」が今年(2023年)なんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

「さぁ、第一回チキチキロボットバトルロイヤル飛んで走って底抜け脱線栄光のゴールへまっしぐら〜レース大会じゃーっ!」

 南郷の声が広大な敷地に響き渡った。

 都営第6ロボット教習所第2教習コース。相模湾の、茅ヶ崎と大島のほぼ中間地点に作られた埋立地だ。東京湾にあるメイン教習コースの数倍の広さを誇っている。

 ひかりたちいつもの面々は、陸奥、南郷、久慈の三教官に連れられてここへやって来た。もちろん自分のロボットもいっしょである。

「チキチキってなんですかぁ?」

 愛理が小首をかしげる。

「とってもおいしいよ!フライドチキチキ!」

 ひかりが嬉しそうに笑う。

「それはフライドチキンでしょ!」

 相変わらず奈々が突っ込む。

「みなさん静かに。陸奥教官から説明があります」

 久慈の一言で皆静かになった。

「今日の授業ではロボットジムカーナを行いたいと思う」

 ロボット内の無線機から陸奥の声が聞こえる。

 ジムカーナは、舗装路面で行われるモータースポーツのひとつだ。コースに設置されたスラロームやS字コーナーのクリア時間を競うタイムトライアル。180度ターンや360度ターンなども必要だが、基本的には初心者に優しいレースと言われている。

「みんなが立っているのは、この埋立地の外周をぐるりと回っているサーキットコースだ。直径約10km、一周約30kmになる」

 陸奥の声に続いて、久慈の声が届く。

「ここを一周するタイムトライアルです。ぐるっと走ってもらって、一番にゴールした人には?」

「豪華賞品をプレゼントや〜!」

 南郷の声に一同がざわめいた。

「何がもらえるんですか?」

 ひかりの目がキラキラしている。

「それはなぁ」

「それは?!」

「またヒ・ミ・ツ、ちゃうんですか?」

 両津がうんざりしたようにそう言った。

「今回はちゃうで〜!」

 一同が静かになる。

「ひとつだけ、何でも願いをかなえたる!」

「何でもいいんですか?!」

 ひかりが思わず問いかける。

「まぁ、俺ら教官ズができることに限るけどな」

 うわ〜、何にしようかな?!と一同がザワザワし始める。

「教官ズてなんやねん。漫才師みたいやん」

 両津だけは苦笑している。

「女生徒のみなさん全員の髪型をチョンマゲにする、というのはいかがでしょう?もちろん私以外の、ですけど」

 奈央が楽しそうな笑顔で言う。

「私と泉崎先輩の愛の巣が欲しいですぅ」

 愛理が夢見るようにそう言った。

「いらないわよ!」

 また奈々の突っ込みだ。

「俺はロボット用の葉巻がいいぜ」

 奈々ははぁっとため息をついた。

「両津くんの賞品は賞金にしよ」

 南郷の言葉に両津が驚きを見せる。

「センセ、ええんですか?」

「次の試作機の予算がちょっと足りへんねや」

「なんでじゃ〜っ!」

 何度目かのなんでじゃ〜が、全ロボットの無線機から響いた。

「ただし!」

 南郷の大声に再び静かになる一同。

「どこかにトラップが仕掛けてあるかもしれんから、じゅうぶん気をつけてや」

 意地悪そうに笑う南郷。

「トラップって何ですかぁ?」

 愛理が小首をかしげる。

「愛理ちゃん、あれのことだよ」

 ひかりが指差した先、埋立地の中心あたりに数台のトラックが停まっている。

 サーキットコースは完成しているものの、他の施設はまだ建設中なのだ。

「あれはトラックでしょ!教官が言ったのはトラップ!」

 また奈々の眉毛が三角になる。

「じゃああれかな、ババ抜きとかする、」

「トランプ!」

「俺の愛のトラップにかかってみないかい?」

 正雄はいつものマイトガイスマイルだ。

 棚倉くん、毎度毎度よく付き合うよなぁ。

 両津は呆れ顔だ。

「ジムカーナの注意点だが、」

 陸奥は真面目に説明を続ける。

「途中パイロンが置いてあるところに差し掛かったら、そこでは何をすればいいか、ディスプレイにオーバーレイで表示される。その指示に従ってくれ」

 ジムカーナではパイロンの周りをターンするなどの運転が必要なのだ。

「では、スタートラインに横一列に並んでくれ」

 ガシガシと歩き、スタート位置に並ぶひかりたちのロボット。

「ほんならいくで〜、よーい……スタートやっ!」

 全員がいっせいに飛び出した。

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