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第468話 覚悟

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「みなさんは、本当に私のことを知っていますか?」

 美咲の言葉に、あかり、結菜、正明の三人が首をかしげた。

 正明が苦笑いに近い笑顔を美咲に向ける。

「えーと、この船の副長で、フルネームは山下美咲さん、です」

 そんな正明の目を、美咲がじっと見つめる。その眼差しは真剣そのものだ。

「え? ボク、何か変なこと言いました?」

 少し怯えたような顔の正明から顔を上げ、美咲はあかりと結菜に目を向けた。

「お二人どうですか?」

 顔を見合わせる二人。

 あかりの顔に、正明同様の苦笑が浮かぶ。

「それって、何かのクイズですか?」

 美咲がゆっくりと顔を横に振る。

「では質問を変えましょう。ガブリエル・アルノー少佐のことはご存知でしょうか?」

「もちろんですよ」

 そう答えたあかりだったが、その顔が不思議そうに歪む。結菜と正明も同様だ。

「アルノー少佐は、どんな方ですか?」

 美咲の問いに、結菜が首をかしげながら答えていく。

「フランス宇宙軍の方で、背が高くてサラサラの金髪で……」

 正明が続ける。

「確かパリに住んでいて……そう、サンラザール駅の近くとか言ってました」

「アルノー少佐は、この船でどんなことをされているんですか?」

 美咲の質問に、あかりが小さくつぶやいた。

「副長……です」

 結菜と正明がハッとして美咲に顔を向けた。

 正明の顔に、みるみる不安が広がっていく。

「そうです……この船の副長は、アルノー少佐です」

 結菜の顔色も、見るからに悪くなっていた。

「では副長は……いえ、山下さんは?」

 美咲は、優しく微笑むと言う。

「私は山下美咲中佐、惑星調査船サン・ファン・バウティスタ号の副長です」

 カフェテリアに重い沈黙の幕が降りた。

 聞こえているのは、ずっと流れ続けているボサノバのゆったりとしたメロディだけである。そんな中、自動食洗機から終了を伝えるブザーの音が小さく聞こえた。そして再び沈黙が広がっていく。

 それを破ったのはあかりだった。

「山下中佐、説明していただけますか?」

 いったいどこまでを話せばいいのだろう?

 美咲は、心中で葛藤していた。

 全てを話せば、このシミュレーション自体が破綻してしまうかもしれない。そうなれば、これ以上の情報を、過去ログから得られなくなる可能性もある。

 はたしてそれはアイの意図するところなのか?

 だが自分の正体を明かした以上、ここでの時間の流れはすでに過去の歴史から外れてしまっている。ならどうする?

 美咲は三人をゆっくりと見渡した。

「私の話を聞けば、皆さんはもう後戻りできなくなります。その覚悟はありますか?」

 正明から、ごくりと唾液を飲み下す音が聞こえた。

 そしてうなづく三人。

「分かりました。これからお話しすることは、皆さんにとって信じられないことだと思います。ですが、現状を打開するには、必要なことだと考えます」

 あかりが、真剣な眼差しを美咲に向ける。

「聞かせてください」

 ゆっくりとうなづく美咲。

「私は……未来からここへやって来ました」

 カフェテリアが、まるで時間が止まったかのような沈黙に包まれた。

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