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第449話 殲滅せよ!

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「袴田素粒子の加速、止まりました!」

 指揮車内に美紀の声が大きく響いた。

 機関砲で崩落させた土砂や瓦礫が、加速する素粒子の進行を止めたのである。

 こうなれば、キドロを素粒子で狙い撃ちされることはない。

 白谷の口元にニヤリとした笑みが浮かぶ。

「よし、キドロ各機に告ぐ!地上での機関砲の使用を許可する!暴走ロボットを殲滅せよ!」

「了解!」

 世間的には不発弾の処理と発表されている現場だ。そんな場所に突然大穴が開き、中から暴走ロボット三機が現われた。世間もマスコミにとっても、寝耳に水の事態である。であれば、駆けつけたキドロが早急にこれに対処せねばならないだろう。白谷は、街への被害防止より暴走ロボットの速やかな制圧を選んだのだ。それに、暴走ロボットをこれ以上野放しにすれば、より多くの被害が出るとも考えられる。苦渋の決断であった。

 美紀が白谷に視線を向ける。

「部長、泉崎さんたちは最高のパイロットです。きっと速やかに処理を終わらせてくれますよ」

「そうだな」

 白谷がふっと息をついた。


「お嬢ちゃん!これを受け取れぇ!」

 そう無線に告げると後藤は、背中に回していた何かを夕梨花に向かって放り投げた。キドロ専用の30ミリ機関砲だ。それを片手でガシッと受け止める夕梨花。そのままグリップを握ると、まるで宇宙船のドッキングシステムのようにガッチリと右手に固定される。

「ゴッド、すまない」

「お嬢ちゃんなら、欲しがると思ってよぉ」

 分かってるわね!

 そんな表情をカメラに向けると、夕梨花が叫んだ。

「一気に終わらせるわよ!いいわね?!」

「了解!」

「了解だぁ」

 夕梨花、後藤、そして沙羅の三機のキドロは、まるで打合せをしていたかのように、それぞれ別の暴走ロボットに機関砲を向けた。そして引き金を引き絞る。

 ズガガガガ!

 ヒューズ・ヘリコプターズがアパッチ等の軍用ヘリコプターのために開発したM230機関砲を、手持ち武器としてカスタムしたキドロの機関砲はチェーンガンだ。一般的な機関砲のようにガス圧、反動などを利用して動作するのではなく、チェーンで連結された電動モーターが機関部を動かし、薬きょうの排出、次弾装填を行う。一般的な機関砲であれば銃弾が不発になると当然動力も失われ、その動作が止まってしまう。だが、外部から動力が供給されるチェーンガンではその心配はなく、動作不良が大幅に減る。キドロの標準装備に選定されたゆえんである。

 だが弱点もある。戦闘車や艦船に搭載されている機関砲ならば、弾丸はベルトによりほぼ無尽蔵に供給が可能だ。だがキドロではそうはいかない。キドロの機関砲には、60発の弾丸が装填されたカートリッジが採用されている。連射では、たった五秒で撃ち尽くしてしまう弾数である。

 だが夕梨花、後藤、沙羅は優秀なキドロパイロットだ。一発も外すことなく、60発全弾をそれぞれの前に立ちはだかる暴走ロボットに命中させた。

 三機の暴走ロボットは、文字通り木っ端微塵にバラバラになっていた。

「やった!」

 沙羅機に同乗している春樹の声が無線から聞こえた。

「無人ロボット兵って、どんな技術なんだろ? バラバラになっちゃったけど、部品か何か見つからないかな? 沙羅、近くに寄ってよ」

 春樹の言葉に、沙羅のキドロが一歩前へ出る。

 それを後藤の声が制した。

「ちょっと待てよ、お姉ちゃんとアンちゃんよぉ」

「ゴッドさん、何ですか?」

「相手はブラックアイビスのロボットだぜぇ? 自爆装置が残ってるかもしれねぇ」

 後藤の言葉に、一瞬ビクッと春樹が震えた。

「まさか……あんなにバラバラになってるんですよ?」

「分かんねぇぜ? 装置はバラバラでも、爆薬は残ってるかもよ?」

「脅かさないでくださいよ!」

 そんな春樹を落ち着かせるように、無線から夕梨花の声が聞こえる。

「ゴッドの言う通りね。少し距離を開けて、しばらく様子を見ましょう」

 だが、夕梨花の言葉が終わらない内に、指揮車の美紀からの叫びが届いた。

「ダイナレーダーに高温高圧の反応!一機の自爆装置が生きています!」

 その瞬間、破壊された暴走ロボットの破片を取り囲んでいた三機のキドロが後方へジャンプ、一気に距離を取った。

 そして大爆発。

 様々な破片が、カンカンとキドロの外装に当たって音を立てる。

「私の執事喫茶がぁ」

 指揮車内に、美紀の悲痛なつぶやきが響いていた。

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