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第440話 敵か味方か

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「おい!新しく出てきたヤツ、最初のロボットと戦い始めたで!」

 学食の大画面テレビでは、予想外の展開が繰り広げられていた。

 新たに現われた二機のロボットは、正雄も、そしてテレビに出演している専門家でさえ知らない謎のロボットだ。だがその二機は、陥没した穴から出現した、恐らく暴走していると思われる三機と戦闘を始めたのである。

「専門家のオッサン、テロリストかもて言うとったけど、もしかすると警察のロボットちゃうか?」

 だが、両津の言葉を奈々が即座に否定する。

「キドロの新型は両津くんも知ってるでしょ? あれ、ぜんぜん違うわよ」

「確かにそうやなぁ」

 生徒たちは、修学旅行に出かけた国際宇宙ステーションで、新型キドロの操縦を体験していた。暴走した米軍正式採用の軍事ロボット、アービンと戦ったのである。

「ほんなら何者や? 敵やないとは思うけどなぁ」

 首をかしげる両津。

「暴走ロボットを止めるのは市民の義務だぜ!敵じゃなければ味方ってことだぜベイビー!」

 正雄はワクワクしているように興奮した声音だ。

 だが、奈々が難しい顔を正雄に向けた。

「でも、機動隊でも陸自でもないロボットで戦闘可能な機種って、あるのかしら?」

 少し考え込んだ正雄だったが、何かを思いついたのか視線を奈々に向ける。

「消去法で考えると、テレビで言ってたようにテロリストのロボットか、もしくはまだ公表されていない新型の軍用ロボット、と言うことになると思うぜ」

 その会話に、両津が割り込んできた。

「ちょっと待って、最初に出てきた三機の暴走ロボット、箱根山でボクらを襲ってきた黒いヤツに似てへん?!」

 一斉にテレビに目をやるロボット部の一同。

 奈央がうなづきながら言う。

「そう言われると、そんな気もしますわ」

 愛理も同様にうなづいた。

「私にも、似てるように見えるですぅ」

「ということは、あいつらが敵で間違いないってことね」

「ボクらを襲った奴らの仲間ってことか」

 心音と大和も、テレビに大写しされている黒い暴走ロボットを見つめていた。

「じゃあやっぱり、新しい二機は味方ってことになるやん」

 両津の言葉に、うーんとうなったまま黙り込む生徒たち。

 話がどんどんややこしくなってくる。

 だが、ひかりがあっけらかんとした声を上げた。

「とりあえず最初に出てきた三台を敵ロボ、新しい2台を味方ロボって呼ぼう!」

 マリエも調子を合わせる。

「呼ぼう!呼ぼう!」

 そしてそこから、ひかりとマリエのボケ合戦が始まった。

「よぼうと言えば、予防接種!」

「予防接種は副反応!」

「副反応は福神漬!」

「福神漬はカレーライス!」

「カレーライスは今食べたい!」

「今食べたい!」

 そう言うとひかりとマリエが立ち上がる。

「おばちゃん!カレーライス、まだ食べられる?!」

「今食べたい!」

 食堂の厨房から、学食チーフの福田幸代がひょっこりと顔を出した。

「お姉ちゃんでしょ!」

 ひかりがペロッと舌を出す。

「しまった!学食のお……ねえちゃん!」

「おばちゃん改めお姉ちゃん!」

 マリエもひかりを真似て舌を出した。

「食券買ってらっしゃい!」

「はーい!」

 ひかりとマリエが、食券の券売機へ向かって駆け出した。

 それを視線で見送った奈々が、ふうっとひとつため息をつく。

「でも結局敵ロボも味方ロボも、正体が分からないってことよね」

「その呼び方使うんかーい!」

 あまりにも奈々が自然に使ったので、思わず両津からそう突っ込みが飛んだ。

 そんな平和なやり取りの中、テレビ画面では三機の暴走ロボットと一機の謎のロボットの戦いが続いていた。

「味方ロボすげーな」

 思わず正雄がそうつぶやく。

「三対一で、互角に戦っとるもんな」

 両津も感心の声を上げた。

 先端にかけて歪曲している刀、シャムシールを振るう敵ロボに対し、味方ロボは小刀のようなもので応戦している。

 心音と大和が並んで首をかしげた。

「あれって日本刀かしら?」

「小太刀? それとも脇差しかなぁ?」

 そう言って奈央に視線を向ける。

「ロボットの身長に対してあのサイズ……守り刀、かもしれませんわね」

「守り刀って、護身用ちゃうん?」

「もちろんそれもあります。けど、神道や仏教、武家社会の習わしなどによって色んな意味を持っている刀ですわ」

 また話がややこしくなりそうだ。

 そう思い、皆で顔を見合わせる一同であった。

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