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第437話 プロトタイプ

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「キドロ到着まで、おそらくあと十数分程度だと思われます」

 霧山グループ総帥・霧山宗平の第二秘書、小池葵がそう報告すると、無線から意外な返事が返ってきた。

「プロトタイプは、最悪廃車になっても構わない」

「廃車ですか?!」

 葵が目を丸くする。

 今回のプロトタイプは、霧山グループとしても持てる最高の技術で作り上げた傑作だ。それを廃車にしてもいいとは、彼女にとっても驚きだったのだ。

「ダスクの無人兵との比較データが重要だ。こんな事態に巻き込まれたのも、神のお導きに違いない。せっかくの機会だ、可能な限りデータを集めてくれ」

「了解しました」

 ここまでの観察で分かってきたのは、ダスクの無人ロボット兵の動きは、霧山グループ傘下の業務用ロボットメーカー「花菱工業」のAIモジュール「ファコム」と似た動きをすることだ。もちろん、まだ本格的に戦闘していない現状での推測なので、あまり信憑性があるとは言えないのだが。これからの戦いで、それがハッキリすると言えよう。

 だが、葵には疑問があった。

 花菱の自立型ロボットAIコントロールユニット・通称ファコムは、霧山自身の判断でダスク共和国へ秘密裏に技術提供されたのだ。誰あろう、その作戦の中心になって動いたのは葵本人なのである。相手に渡した技術により作られた無人ロボットと、その後自社の開発で完成した無人機を戦わせてデータを取る。それにいったいどんな意味があるのか? 葵には理解できなかった。

「霧山様は何をお考えなのか……」

 葵は思わずそうつぶやくと、ハッと気を取り直す。

 今はそんなことを考えている時ではない。

 自分に与えられた任務を全うせねばならないのだ。

 そう思い直すと、葵は目の前のコンソールから、無人機へのコマンドを入力し始めた。


「円と素粒子の関係に注目すべき、か。うむ、そうだね。こちらで結論をまとめてみるよ。ではまた」

 そう言うと、袴田はスマホをトンとタップして通話を切った。

「雄物川さんですか?」

 助手の遠野拓也の問いに、袴田がうなづく。

「ああ」

 同じく袴田の助手、小野寺舞が首をかしげた。

「円と素粒子の関係に注目すべき、って雄物川所長の言葉なんですか?」

 袴田が首を横に振る。

「いや。アイくんからの伝言だそうだ」

 アイは、なぜか地球人類に味方をしてくれている袴田素粒子のことだ。

 袴田のその言葉に、拓也がなるほどとうなづいた。

「やはりそうですか」

 舞も同様にうなづいている。

「と言うことは、やっぱり私達の推論が当たっている可能性が高いですね」

「うむ、そうなるね」

 袴田もうなづくと、拓也と舞に視線を向けた。

「では、各方面に発表できるよう、その推論をまとめようじゃないか」

「分かりました」

「了解です」

 拓也と舞が、そう同時に返事をした。

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