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第436話 ネコババ

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「あのロボット、なんや変な刀持っとるで!」

 両津の叫び声が、学食に響き渡った。

 ロボット部の面々が、それぞれ学生寮の自分の部屋へ戻っていないのにはちゃんとした理由があった。学食のテレビが大画面なのである。家具付きでいたれりつくせりの学生寮ではあるが、備え付けのテレビは27インチでPCと兼用になっている。だが学食に設置されているテレビは、恐らく60インチを超えているだろう大画面だ。しかも液晶と有機ELのいいとこ取りをしたと言われる「ミニLEDディスプレイ」なのである。メカ好きの両津や正雄が夢中になる最新技術なのだ。

「あれはペルシアのシャムシールか、インドのタルワールですわね」

 奈央がテレビ画面のロボットを見つめながらそう言った。

「なんだかアラビアンナイトみたいじゃない?」

「ホントだ。円月刀って言うんだっけ?」

 心音と大和が首をかしげる。

 それを聞いたひかりがパッと立ち上がった。

「或るババァと40人の低俗!」

 すかさず奈々も立ち上がる。

「アリババよ!しかも低俗じゃなくて盗賊!」

「両津くんがよく行きたがる」

「風俗!」

「行きたがってへんわ!」

 そのツッコミに、一同が両津に視線を向けた。

「いや……行きたくないとは言ってへんけど」

「どっちやねん!」

 ひかりの無茶苦茶イントネーション突っ込みが炸裂する。

 すると今度は愛理が首をかしげた。

「アリババって誰ですかぁ?」

 ひかりの左手がぐっと突き上げられ、その人差し指がピンと立つ。

「それはね愛理ちゃん、アラビアンナイトというお話に登場するキャラクターだよ」

 おおっ?!遠野さんがまともなことを言った!

 驚きに目を見開いて、一同がひかりを見つめた。

「とっても意地悪なおばぁさんなんだ」

「それは鬼ババ!」

「意地悪な上に性格も最悪なの」

「クソババ!」

「両津くんがいつもやってる」

「ネコババ!」

「やってへんわ!」

「ネコババと40人の盗賊!盗賊だけにネコババって!」

 自分で言って一人でケラケラと笑うひかり。

「ネコババ!」

 マリエもなぜか嬉しそうにはしゃいでいる。

「そう言えば、こっそりいただいちゃうことを、どうしてネコババって言うのかな?」

 今度は心音が首をかしげた。

「そりゃあ汚いことやからちゃうか?」

「さすが両津くん!ババに詳しい!」

「詳しないわ!」

 すると奈央がすっと立ち上がる。

「これは私の推測ですけど、ネコさんはフンをした後、砂をかけて隠しますわよね?」

 ひかりが両津に視線を向けた。

「え?ボク?」

「両津くんはどうするのかなぁって」

「もちろんボクも後ろ足で砂を……かけへんわ!」

「てへぺろ」

「てへぺろ」

 ひかりとマリエが並んで舌をペロっと出した。

「だから自分でやった悪事を隠すことをネコババと言うようになったのではないでしょうか?」

 いつも奈央には感心させられる。

 さすが「ロボット部のハカセ」の異名を持つだけのことはある。

「おい!また俺の知らないロボットが登場したぜベイビー!」

 正雄の言葉に、一同急いでテレビに注目する。

 そこには、正雄の言う通り新たな二体のロボットが現われていた。

「どっから出て来たんや?!」

「多分あそこ、サンシャインシティの駐車場からだぜ」

「ほんなら一般車?」

「いや、暴走ロボットと同じで、俺でさえ知らない機種だ。普通の市販車ではないと断言できるぜベイビー」

 奈央が「ロボット部のハカセ」なら、正雄は「ロボットのハカセ」なのである。

 正雄が知らないなら、この二機も謎のロボットと言っていいだろう。それを裏付けるように、テレビ中継のアナウンサーの声が響く。

『こちら現場です!正体不明のロボットが再び現われました!今度は二機です!しかも、隣の高層ビルの駐車場出口から出てきましした!車種は……私には分かりません!スタジオさんはどうですか?!』

 するとそれを受けたスタジオで、ロボットの専門家らしきコメンテーターが発言した。

『あれは……私にも分かりませんな。恐らく新開発のプロトタイプか……もしくは、テロリストの違法ロボットかもしれません』

『お聞きになりましたか皆さん!テロリストの可能性ありです!ロボットの足なら、規制線の突破も時間の問題かもしれません!近隣住民の皆さんは報道から目を離さないように!』

 なんだか大変なことになってきた。

 テレビを見つめるロボット部の面々の表情は、少し青ざめている。

 ただ一人、奈々だけは違っていた。

 南郷が言ったことが本当なら、もうすぐ新型キドロに乗った姉・夕梨花の活躍が見られるのだ。

「お姉ちゃん、早く来ないかな」

 奈々の胸は高鳴っていた。

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