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第426話 近接格闘戦

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 指揮車から各キドロに伝えられた作戦は以下の通りである。

 まず大前提として、可能な限り発砲は避け、近接格闘戦に持ち込みたい。なぜなら、アイアンゴーレムの20ミリ機関砲やキドロの30ミリ機関砲は、都心で使うには威力が大きすぎる。地下トンネルの周りには水道管を始め、様々なインフラ用配管や各種ケーブル用チューブがギッシリだ。万が一それらを傷付けでもしたら、この一帯の復旧に数日を要してしまう。その間の経済損失は想像以上に大きい上に、実際は不発弾の処理では無かったことが明らかになる可能性も高くなる。そんな事態は避けたいのだ。

 ダイナレーダーとCCTVの情報によると敵のロボットは六機。内三機は有人で、残り三機が無人ロボット兵だ。そして機関砲を所持しているのは有人機の内の二機。

 まずは門脇が乗るキドロ03と倉敷春樹のキドロが、機関砲の単射でその二機、もしくは二機が持つ機関砲を無力化する。そしてそのまま近接格闘戦に持ち込むのである。

「キドロ03と倉敷機、タイミングを合わせて同時に単射してください。こちらでカウントします」

 トクボ指揮車の田中美紀技術主任から、警察無線で各キドロのコクピットに的確な指示が飛ぶ。この緊迫した状況下にあっても、彼女はいたって冷静である。

「03了解。準備はできている」

 門脇進の声は冷静だが、この現場を楽しんでいるようにも聞こえた。

 彼は根っからの陽キャであり、どんな状況でも楽しんで対処に当たることができる。緊張の走る事案現場では、そんな彼の性格に救われることも多い。

「倉敷機、了解!」

 春樹の乗るコクピットに、後藤の声が無線で届く。

「俺ぁ飛び道具が苦手なんでねぇ、お兄ちゃんよぉ、頼りにしてるぜぇ」

「だから、ボクはゴッドさんのお兄ちゃんじゃないですって!」

 キドロが持つ機関砲は30mmの大口径だ。しかも連射だけではなく一発撃ちの単射が可能なスグレモノである。陸自の用語に「ア・タ・レ」というのがある。「ア」は安全装置、「タ」は単発、「レ」は連発で、銃に付いている小さなレバー操作で切り替えが可能だ。キドロが右腕に持つ大型機関砲にも、同様の機能がある。以前のキドロなら、左マニピュレータ、つまり左手で機関砲に付いているスイッチを切り替えねばならなかった。だがつい最近、機動隊の主流になった新型キドロでは少し勝手が違う。右手のひらに装備された、まるで宇宙船のドッキングシステムのようなコネクターで機関砲と接続されるのだ。そうしてしまえば機関砲の全ての操作を、コクピットのスイッチやタッチ操作で行なうことが可能となる。

 春樹は震える手で、機関砲を単射モードに切り替えた。

 そしてメインスクリーンの中央に、照準モードのワイプを表示する。

「こちらも準備完了しています!」

 春樹の声に、一瞬警察無線に沈黙が訪れた。

 それを破ったのは美紀の冷静な声である。

「それでは、カウント0での発砲を許可します」

 春樹は、自分が緊張のあまり飲み下した唾液の音を聞いていた。

「10秒前、9、8、7、6、5秒前、4、3、2、1、発砲!」

 と同時に、コクピットの引き金をぐっと引き絞る。

 バヒュン!

 銃から発せられたとは思えない大きな音を地下トンネルに響かせて、二発の機関砲弾が敵めがけて発射された。

 命中だ!

 その単射は見事に敵が保持する20ミリ機関砲に命中、ひとつは粉々に砕き、もうひとつは大きく跳ね飛ばした。

 ガガン!

 と大音響を立て、跳ね飛ばされた機関砲は地下トンネルの床を数メートル先まで転がっていく。その銃身はぐにゃりと曲がっていた。

「では、近接格闘に入ってください」

 美紀の言葉が終わらないうちに、キドロ各機は岩陰を飛び出していた。

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