第412話 袴田研究室では
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
その頃、東郷大学の袴田研究室でも、対袴田素粒子防衛線中央指揮所から送られてきたデータの解析を進めていた。だが、研究室のメンバーが注目したのは、地質の年代測定ではなかった。
「先生、これってやっぱり不自然ですよね」
袴田教授の助手、小野寺舞がディスプレイを見つめながらそう言った。
彼女と同じ袴田教授の助手・遠野拓也も同じデータを眺めながら首をかしげている。彼はひかりの兄だ。
「ボクもそう思います」
二人が見つめているディスプレイには、東京のマップに重ねられた円形が見える。対袴田素粒子防衛線中央指揮所で作られた、地下トンネルの予想図だ。それは東京23区を取り囲むほどの大きさの真円である。
拓也が袴田に視線を向ける。
「普通トンネルの掘削は、硬い地盤をよけたり、地下水脈を避けたりするものです。なのにこのトンネルは真円です。掘りやすい所を選んで進んだわけじゃない」
袴田は大きくうなづくと、フッと息をついた。
「ということは?」
拓也と舞が顔を見合わせる。
「といいますと?」
「ひと言で言うなら、なぜそんな困難なことをしたのか、と言うことだ」
拓也と舞は、ふたたび首をかしげた。
「どう思う?」
「うーん、キレイな図形が好き、とか?」
「それはオノマイじゃない」
拓也がフフッと笑う。オノマイは小野寺舞のあだ名であり、きれい好きの彼女は研究室がキチンと片付いていることを好んでいた。拓也が使った機材が少しでも歪んで置かれていると、自分からさっさと直してしまう。そんな几帳面な彼女こそ、幾何学図形の中でも真円が最も好きだといつも公言していた。
そんな二人を見て、袴田も小さく笑う。
「それだけの理由で、こんなに困難な工事をするだろうか?」
地下の掘削は大変な工事である。穴を掘りながら崩れないように補強していく。しかも、掘った土をどうにかして外に出さなくてはならない。そんな大変な作業だからこそ通常は、掘るのが困難な場所を避けて通るのだ。もちろん、新幹線や自動車道のトンネルの場合、ある程度の直線やゆるやかな曲線を保つために、避けて通れない場所はある。だが、ここまでキレイな真円のトンネルを掘るなんて、並大抵の困難さではないだろう。そこまでする理由はいったい何なのか?
「あれ? これって、どこかで見たことあるような……」
ディスプレイを見つめたまま、拓也が眉を寄せる。
「そう言われと、私もそんな気が」
そう舞が言った時、拓也があっと驚きの表情を見せた。
「まさか、これって?!」
二人の後ろに立っている袴田が、険しい声を出した。
「そのまさかの可能性がある」
「ちょっと待ってください! まさかヤツら何千年もかけてそんなことをたくらんでいると?!」
舞がキョトンとした目を二人に向ける。
「なになに? どういうこと?」
拓也と袴田が顔を見合わせた。
そして袴田がゆっくりと舞に視線を向ける。
「これはまだ予想の範疇を出ていない。もう少しデータを集めて確証を見つけなければ、口外はできないことだ」
拓也も、その通りだと言うようにうんとうなづいた。
「説明しよう」
袴田の重苦しい声に、舞はごくりとつばを飲み込んだ。




