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第398話 地下施設

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「こちらキドロ02沢村、ここからはライトを消して、センサーのみで進みます」

 このまま進行すれば、照明の明るさでやつらに気づかれてしまう可能性がある。そう判断した沢村は、無線でそう本部の指揮所へ連絡した。なにしろキドロのライトは強力だ。もちろん光量調整は可能だが、たとえ明るさを抑えたとしてもやつらに発見されてしまうだろう。その点、今のキドロには強い味方がある。ダイナレーダーだ。プロトタイプとはいえそのセンサー能力はすさまじく、地下トンネルの壁の向こう側であっても空間や存在するものの形さえ把握可能なのである。

 無線から、関心したような門脇の声が聞こえた。

「こいつ、ホントに便利なセンサーだよなぁ」

 沢村と門脇が見つめるそれぞれの前面ディスプレイには、緑色に着色されたセンサーからの映像が映っている。そこには、何事かで忙しく動いているロボットや人らしき形が見えていた。

 沢村が指揮所、そして門脇に聞かせるように報告する。

「何かの建造物がある。ロボットは……判別できるのは三機。人間も何人か動いている。03も見えているか?」

「ああ、ハッキリとセンサーに映ってる。何やってるのかは、まだよく分からないが」

「もう少し、接近してみよう」

「了解」

 暗闇の中、二機のキドロはダイナレーダーの映し出す映像だけを頼りに、ゆっくりと前進を続ける。しばらく進むと、前方に光が見え始めた。

「やつらの照明が見えてきたぞ。もう少しだ」

 そんな門脇の声に、沢村が待ったをかける。

「いや、一旦ストップしよう」

「どうした?」

 門脇のいぶかしげな声に、沢村は少し思案するように答えた。

「このまま進むと、やつらにこっちを視認される恐れがある」

「なるほど。とりあえず停止する」

 二機のキドロは、地下トンネルの壁に身を隠すように停車した。

「指揮所へ、02、FCを起動します」

 そう言うと沢村機は、右手の中指を伸ばし、ゆっくりとトンネルの壁から突き出していく。キドロの中指の先にはフィンガー・カメラ、略してFCが装備されている。キドロ自身が入り見込めない場所などの確認に使われるカメラである。

 突然ディスプレイに、センサー画像とは違う明瞭なカラー映像が映し出された。

 黒いペイントのロボットが三機、忙しげに動いている。それは数時間前、箱根山で生徒たちを襲ったものと同型だ。

 二機のキドロからダイナ通信システムを使って送られてくる映像を、白谷と美紀は本部の指揮所で食い入るように見つめていた。

 白谷が腕組みをしたまま美紀に視線を向ける。

「どう思う?」

「後ろの建造物は、格納庫のように見えます」

「私もそう思う。見えている三機以外にも、あの中に他の機体が隠されているのかもしれん」

 白谷がそう言ったのとほぼ同時に、格納庫の扉がゆっくりと動き始めた。シャッター式で、上に向かって次第に開いていく。

 そしてそれが開ききると、中からゆっくりと何かが一歩を踏み出した。

 ロボットだ。外にいる三機と同様に真っ黒にペイントされてはいるが、その形状は全くと言っていいほど違っている。

「あれは? 私は、見たことがないように思うが」

 白谷がいぶかしげな声を出す。

「形状をデータベースとマッチングさせているんですが、該当するものは無いようです」

「また新型か?」

 その時美紀が、無線でキドロに指示を出した。

「キドロ02、今出てこようとしているロボットを、ダイナレーダーで詳細スキャンしてください」

「了解!」

 沢村から気持ちのいい返事が返る。

 沢村機から送られてくるセンサー画像を見つめていた美紀が、白谷に振り向いて言った。

「どうやら無人のようです。パイロットの反応がありません」

「やはりそうか。黒き殉教者だけじゃないということか」

 沢村から、緊迫した声で指示を乞う無線が入った。

「どうしましょう?!」

 この場所は池袋の直下、ちょうどサンシャイン60やアニメイトのある繁華街の地下だ。

 うかつに手を出すわけにはいかない。

 白谷の額に、薄く汗がにじんでいた。

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