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第395話 特殊部隊の目的は?

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「こちらデーヴァダーシ、どうやらキドロがブラック・アイビスの地下施設を見つけたようです」

 ひかりたちがロボットで戦闘を繰り広げた戸山公園の箱根山地区から、明治通りをはさんで反対側、高田馬場駅方面にある大久保地区の緑地に、二機のロボットが立っていた。

 霧山グループ総帥・霧山宗平の第二秘書、小池葵が乗るP5だ。もう一機は、美紀の見立てでは無人機である。

「詳細はまだ彼らも把握していないようですが、我々の得た情報通り、ブラック・アイビスの地下基地だと思われます」

 その報告は、葵がこの場に留まりながら警察無線を傍受して得た情報である。

 彼女たちの予想では、キドロの到着にはもう少し時間がかかるはずであった。だがさすが優秀なトクボチームである。葵たちがブラック・アイビスの地下施設を確認する前に、箱根山に到着したのだ。そこで彼女は、トクボチームにそれを探させることにした。なにしろ彼女には最初から戦う意志はなかったのだ。その正確な場所さえ分かれば、今回の任務は完了である。

 ただ誤算だったのは、ブラック・アイビスの一団が都営第6ロボット教習所の生徒たちを襲ったことだ。その情報は、葵たちも得ていなかった。それ以前に、箱根山に生徒たちがロボットで集合していることも予想外の出来事だったのだ。

 はたして、ブラック・アイビスの目的は何だったのか?

 襲った相手が、なぜあの生徒たちだったのか?

 それは、葵たちにとっても謎である。とっさの判断で生徒たちに加勢したのは、生徒たちの中に、葵の所属する組織にとって非常に重要な人物が混ざっていたからだ。

 あの時はあれが最善策だった。

 葵はそう感じていた。

「このままもう少し留まり、事の成り行きを見守ります」

 そして葵は、無線に向かいキリッと顔をひきしめる。

「もしキドロと彼らが戦闘状態に入ったら、我々はどうしましょうか?」

 数秒の後、何らかの返事が返ってきたようで、葵は大きくうなづいた。

「了解しました」


「おうよぉ、どうして場所を変えたんだぁ?」

 後藤が首をかしげながらドルジに問いかけた。

 後藤たちがいるのは、実にレトロな喫茶店だった。小さなカウンターがあり、フロアには緑のソファーと白いテーブルが何組も並んでいる。壁に掛けられた短冊に書かれたお品書き、窓には障子、神棚、そして寄席文字で書かれた額などが飾られた壁。まるで昭和の時代にタイムスリップしたような雰囲気である。

 ここは、先ほどまで後藤たちがいた星乃珈琲店新宿東口店から徒歩数分、新宿三丁目の交差点を少し奥に入った所にある喫茶店・楽屋だ。「楽屋」と書いて「がくや」と読む。

「よく分からねぇが情緒あるって言うか、雰囲気のいい店だなぁ」

 そう言うと後藤は、壁にかかっている赤白青の三色と白い短冊を見上げた。

 ズラリと横に並んだ品書きだ。

「そうでしょ? 私、好きでよく来るんですよ。あのお品書き、寄席文字って言うんですってね。日本らしい文化ですよ」

 寄席・新宿末廣亭は、昔ながらの風情を残す木造建築の建物だ。その末廣亭から路地を入り、ぐるりと回るとちょうど真裏にあるのがここ、楽屋である。

 開店は1958年とのことなので、なかなかに長い歴史を誇っている。新宿末廣亭の初代席亭が一人娘のために作った喫茶店で、末廣亭の楽屋だった場所に作ったためにこの名が付けられたという。

 後藤が見つめる品書きにも秘密があった。

 なんと、寄席文字を産み出した橘右近とその一番弟子・橘左近の手書きなのだ。橘左近は、テレビ番組「笑点」の文字を書いたとして有名である。

「で、どうしてここに移りたいって言ったんだぁ?」

 後藤の問いに、ドルジが店内をキョロキョロと見回した。

「さっきの喫茶店で、スマホにデータを受信しまして」

「ああ、ピーピー言っとったわなぁ」

「それで、同じ場所で続けて話すのは危険だと判断したのです」

 後藤が不敵な笑顔になる。

「ほぅ、そりゃあ大した情報ってことかぁ?」

「まぁ、とりあえず注文してからにしましょう」

 そう言うとドルジは、ニッコリと笑った。

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