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第393話 火星大王は頑丈だ!

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 美紀はゆっくりと火星大王を眺めると、南郷に向き直った。

「この機体は棚倉くんのMG5みたいに、装甲が強化されていたりはしないんですよね?」

 その問いに、南郷が感心したように火星大王を見上げながら言う。

「これ、オリジナルのまんまなんですわ。強化どころか、正規品のパーツ以外ほとんど使われておりまへん」

「それで現役と言うのも、なかなか凄いですね」

「まぁ、すでにメーカーにも無いパーツがあるんで、そういうのはウチの整備チームがフルスクラッチで作ってくれますんや」

 美紀がへぇと言う表情で目を丸くした。

「それも凄いですね」

 南郷がニヤリと笑う。

「ウチの整備士たち、めっちゃ優秀なんですわ。て言うか、あいつらロボットが好きでたまらんらしくて、遠野くんが大切に乗ってるこいつに愛情を持ってるみたいで」

 南郷の顔は少し誇らしげである。

「それ、素敵ですね」

 美紀も笑顔で火星大王を見上げる。

「でも……だとすると、重機や軍用ロボットと格闘するなんて、やっぱり普通じゃないですね」

 南郷が真顔になる。

「確かにこいつは、普通の自家用ロボットと比べるとめっちゃ頑丈にできとります。当時もそれが売り文句でした。テレビCMで見たことありまへんか? 象が踏んでも壊れない!とか、100人乗っても大丈夫!とか」

 美紀の顔がパッと明るくなる。

「それ、見たことあります!結構話題になりましたよね!」

「そうでんな、当時の流行語にもなったぐらいですわ。多少ぶつかっても凹みもしない、それどころか衝突した相手のロボットの方が全損になってまう」

「そんなに丈夫なんですか?!」

「はい。なので自家用だけでなく、工事現場とかで重機にはできない細かい作業のために、よう働いてましたわ。そういう現場で酷使しても、滅多に故障しないって評判やったんです」

 美紀が感心したようにうなづく。

「その頑丈さと遠野さんの才能が合わさって、高い戦闘能力を見せた、と」

「恐らくそうやと思います」

 二人は再び、火星大王の勇姿をゆっくりと見上げた。

「それで、ダイナギガ計画のことは、生徒さんたちも知ってるんですよね?」

「ええ、例の大統領と総理の発表があったんで、予定を繰り上げて彼らに話しました。ちょうど修学旅行中だったんで、どないしよかなぁと悩んだんですけど、まぁ潮時かなって」

 美紀の顔に、少し心配げな影がさした。

「その場合、遠野さんが乗る新型機はどうなるんでしょう?」

 南郷が困ったような表情を美紀に向けた。

「そこなんですわ。遠野くん、操縦は上手いわけではないんです。て言うか、ハッキリ言って下手っぴです。ポンコツと言ってもええかもしれまへん。いまだに突然暴走したり、逆走したり」

 苦笑する南郷。

「でも、火星大王はかろうじて運転できている……」

 美紀が続きをうながすように南郷の顔を見つめる。

「ほんで今、新型機のコクピットを、火星大王をベースに開発できないかって、鋭意検討中なんですわ」

 美紀がなるほど、といった表情になった。

「うまくいくといいですね」

「そう願っとります」

 その時突然、美紀のスマホが鳴った。トクボ部員用に改造され、警察無線の送受信も可能なスグレモノだ。

「あ、失礼」

 そう言うと美紀は急いで応答する。

「はい……はい……分かりました。すぐに戻ります」

 そう言うと美紀はスマホをタップして通話を切った。

「どうやら戸山公園で何か見つかったようです。私は戻ります」

「じゃあ、ボクも生徒たちのところへ戻りますわ」

 二人は急ぎ足で格納庫の出口へと向かった。

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