第389話 トクボの基地?!
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
後藤が新宿の星乃サロンで、ダスク共和国のドルジと旨いコーヒーを楽しんでいた頃、ひかりたちロボット部の面々はトクボ部の会議室に集められていた。トクボの本部は、自衛隊市ヶ谷駐屯地と隣接する市ヶ谷警察総合庁舎内の警視庁特科車両隊にある。そんな場所に入るなんて初めての経験である彼らは、ちょっと浮足立っていた。
「ここ、トクボの基地みたいなもんやろ? なんか興奮するわぁ」
両津のそんな言葉に、生徒たち全員がうんうんとうなづく。
会議室にいるのは戸山公園で黒いロボットに襲われた生徒たち全員と、彼らの付き添いとして都営第6ロボット教習所の久慈教官、そして特別に奈央付きメイドの三井良子の同席も許されていた。
「それで、広域地下調査で都内のあちこちにいたはずのみんなが、どうして戸山公園に集まっていたの?」
質問したのはキドロのチーフパイロット・泉崎夕梨花警部だ。
つまり、生徒たちの事情聴取中なのである。
ひかりがパッと手を挙げて明るく言う。
「両津くんのアイデアで〜す!」
「え? そうやったっけ?」
「きっとそうだよ。いつも両津くんの言う通りにしたら、ろくな事にならないもん」
ひかりはなぜか満面の笑顔だ。
「そんなことあらへんわ!」
両津vsひかりのトークバトルが始まろうとした時、奈々が苦笑しながら手を挙げた。
「ひかり、なんでもかんでも両津くんのせいにしたらダメよ」
「あれ? 違ったっけ?」
奈々が夕梨花に向き直る。ちになみに夕梨花は奈々の姉である。
「お姉ちゃん、いや警部さん、私のアイデアなんです」
「どんな?」
「みんな、大規模トンネル探査は終了したんですけど、せっかく都内に出てきているので一度みんなで集まろうって」
それに奈央が続ける。
「わたくしたちは普段東京湾の埋立地に閉じ込められているので、滅多に街なかに出ていないのですわ。なので、せっかく都内で運転可能な仮免許が支給されているのだし、もうちょっとだけ遊んでもいいのではないかと」
「で、どうして戸山公園に?」
正雄がニヤリとした笑顔を夕梨花に向けた。
「そこに山があるからさ!」
「箱根山のこと?」
「そうに決まっているぜベイビー!」
奈々が慌てて、正雄と夕梨花の間に入った。
「お姉ちゃん、いや警部さん、こいつの言うことは真に受けないでください!いつもデタラメばかり言うので!」
「ひどいぜ、俺のライバルさん!俺がいつデタラメなんか言ったんだい?」
正雄が、白い歯をキラリと光らせて奈々を見る。
「あんたの名前は棚倉正雄でしょ?!」
「いや、俺の名はジョニーさ!」
「じゃあジョニーと呼ぶわね!」
「いや、俺のことはマイトガイと呼んでくれ!」
「ジョニーのどこがマイトガイなのよ?!」
「細かいことを気にしていたら、大きな人物にはなれないゼ」
「別に大きな人物になんてなりたくないわよ!」
「俺はなりたいぜ!特にこのあたりが…」
「シモネタ禁止ーっ!」
奈々がゼイゼイと息を切らして夕梨花を見た。
「ほらね」
「確かに」
夕梨花が呆れたようにうなづいた。




