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第383話 助太刀

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「棚倉くん!オレ、上まで行かれへん!」

 両津機が、箱根山の中腹あたりで黒ロボの攻撃を受けていた。

 黒ロボが繰り出すナイフ攻撃をかろうじてよけながら、どうにかパンチかキックを振るおうとしている両津だったが、なかなかうまくいかないのだ。

「それに頂上の方、めっちゃヤバそうや!」

 そう言って両津機が指差した先には、まるで虫の群れのようにわらわらと頂上に這い上がっていく黒ロボたちの姿があった。そこからは、格闘技戦の轟音が響いている。

「そうは言っても、こいつなかなか手ごわいぜ!」

 正雄のパンチは、その数発が黒ロボにヒットしていた。だが装甲が厚いのか、あまりダメージを受けているような気配はない。しかも相手はナイフを振り回してくるのだ。そう簡単に懐に飛び込んで攻撃するわけにもいかない。

 ガキン!

 轟音を響かせて、正雄機が右腕で黒ロボのナイフを受け止めた。さすが豪快な設計のアメ車だ。多少の傷はついたものの、ナイフをしっかりと受け止めている。

 だがこのままではお互いに一進一退である。正雄の言う通り持久戦になるかもしれなかった。だがそうなれば、余計に武器を持っている方が有利になっていく。

「棚倉くん!なんかええ方法はないん?」

 両津の叫びのような問いに、一瞬考えてから正雄が言う。

「ない!」

「ないんかーい!」

 その時だった。正雄機と相対している黒ロボの顔面に、瞬速のストレートパンチが食い込んだ。その威力はすさまじく、拳を受けた黒ロボは転がるように吹き飛んでいったのである。ままりにも意表を突かれ、攻撃の手が止まる両津機。だがそれだけでは無かった。両津が戦っていた黒ロボの背後から、目にも止まらない速度で回し蹴りがくらわされたのだ。腰のあたりから折れ曲がるような姿で吹き飛ばされて転がる黒ロボ。

「だ、誰や?!」

 両津の問いに、聞き覚えのない女性の声が無線から聞こえた。

「助太刀しますわよ、坊やたち」

 ちょっと色っぽい大人の女性の声だ。その声色には少しの笑みが含まれている。

「ぼ、坊やたちって……ボクらのこと?!」

 急いで前面ディスプレイにワイプを探す両津。だが、通常のロボット標準無線では表示されるはずの発信者の顔が、画面のどこにも見当たらない。恐らく相手はカメラをオフにしているに違いない。

「他に誰がいるのかしら? 坊やたち」

 その声は再びウフフと笑う。

 しかもその声は、なぜ知っているのか、都営第6ロボット教習所と同じロボット標準無線のチャンネル22を使っていた。

 正雄の少し驚いたような声が響く。

「助けてくれるのはありがたいが、いったい誰なんだい?ベイビー」

「それはたいした問題ではないわ。今はこの黒いやつらを何とかする方が先でしょ?」

 確かにそうである。今まさに、頂上広場の危機なのだ。

 両津が無線に叫ぶ。

「どこの誰か分からへんけど、今は力を貸してくれまへんか?! 上で友達がピンチなんですわ!」

「そのために来たんです。よろしくね」

 その声にはハートが含まれているような色気があった。

 なぜか頬が赤くなる両津。

「頼んだぜ、お嬢さんたち!」

 正雄の言葉に、女はまた笑う。

「あなた、レディの扱い方を知っているみたいね、棚倉くんだっけ?」

 驚きに目を見開く正雄と両津。

「どうして俺の名前を知っているんだい?! それに、お嬢さんたちが乗っているそのロボット、この俺にも見覚えが無いんだが?」

 正雄はロボット部で一番のロボット博士だ。その彼が知らないと言うことは、普通の市販車では無いのかもしれない。いや、正式採用されているものなら軍用ロボットですら網羅している知識である。彼女たちはいったい何者なのか?

「その話は後にしましょう」

 女の声が急に真剣なモノに変わった。

「じゃあ行くわよ!私について来て!」

 そう言うと謎の加勢ロボはダッシュで斜面を駆け上り始めた。

「了解ですわ!」

「分かったぜ!」

 両津と正雄もすぐにその後を追った。

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