第382話 大乱闘
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
正雄機と奈々機は、相手の黒ロボと互角に渡り合っていた。黒ロボの繰り出す巨大ナイフの一撃をかわし、パンチやキックを命中させる。日頃の教習だけでなく、二人にはロボット格闘技の素質があるようだ。
「奈々ちゃん、怖いよーっ!」
一方のひかりは、ナイフ攻撃をひたすらよけている。黒ロボの振るう巨大ナイフを、全て間一髪でよけていた。マリエのリヒトパースは、まるで曲芸のような動きで全ての攻撃をかわしている。大和は堅実な戦い方をしていた。教習で習った通りの動きで、正確に相手の攻撃をよけている。そして格闘技に自信のない愛理、奈央、心音は、箱根山頂上広場の中心に集まり、状況を見守っていた。
心音が大和に発破をかける。
「大和、頑張りなさい!あなたには私を守る義務があるんだからね!」
「そんなこと分かってるよ!でもこの黒いヤツ、動きが早くてボクのパンチが当たらないんだ!」
「じゃあ、もしこのピンチを切り抜けることができたら、私から大和にとってもステキなご褒美をあげてもいいわ」
「どんな?」
「それは秘密よ!知りたければ絶対に勝ちなさい!」
「了解!」
大和は元気百倍、目の前の黒ロボに突っ込んだ。
「うひゃあ!このロボットさんたち危ないよ〜!これじゃあ私たち、ホントにステーキみたいに切られちゃうよ〜!」
ひかりはそう言いながらも、全ての攻撃を間一髪でよけていた。
愛理が目を丸くする。
「遠野先輩すごいですぅ!どうしてそんな風によけられるんですかぁ?!」
スクリーン下方のワイプの中で、愛理が首をかしげている。
「あのね愛理ちゃん、ナイフが右から来る時はヒュン!左からならヒュイン!上からならギュン!って音が聞こえるんだよ」
ひかりはナイフが切り裂く空気の音を聞いていた。
常人には判別できない微妙な音の違いを、的確に捉えているのだ。
「私にはおんなじに聞こえますぅ!宇奈月先輩はどうですかぁ?」
「わたくしにも同じに聞こえますわ」
「遠野先輩、すごいですぅ!」
「てへぺろ」
「テヘペロ」
マリエが、黒ロボの攻撃を回避しながら復唱した。
「棚倉くん、このままやとヤバいんちゃうか?!」
両津の問いに正雄が問いで返す。
「何がだい?」
「こっちは誰も武器とか持ってへんし、バランスが崩れたら一気にやられてまうんちゃうか?!」
「恐らく、体力勝負だぜベイビー」
「体力勝負?」
「ああ、疲れて動きが鈍くなったら、あのナイフでグサッとひと突きの可能性が高いぜベイビー」
「それあかんやつやん!なんとかせぇへんと!」
「両津くんは上に昇って宇奈月くんを守ってくれないかい?」
「宇奈月さんを?」
「そうさ。こいつらの目的は恐らく宇奈月くんの誘拐だ。頼んだぜベイビー!」
「了解や!」
そう叫ぶと、両津は頂上めがけて突進した。
「いいかげん、しつこいのよっ!」
奈々はそう叫ぶと、思いっきりパンチを繰り出した。
「奈々パァ〜ンチ!」
グゴン!と黒ロボのアゴに下から命中。そのはずみで、黒ロボは箱根山のふもとめがけて転がり落ちていった。
「よし!ひかり、加勢するわ!」
「火星大王さんだけに!」
「その火星じゃないわよーっ!」
奈々はツッコミと同時に、ひかりが相対していた黒ロボにパンチをぶちかます。
ドゴン!と鈍い音を立てて黒ロボの腹に命中。そのはずみで、こちらの黒ロボも転がり落ちていった。
「奈々ちゃん、ありがとう!」
「マリエの加勢に行くわよ!」
「ええーっ?!火星に行くなら宇宙服着ないと息吸えなくなるよ?!」
「それはいいから早く!」
「テンフォー!」
奈々機とひかり機が、マリエの元に向かった。




