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第380話 出撃準備

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「事案の詳細を説明します」

 警視庁機動隊のロボット部隊・トクボ部のブリーフィングルームに、板東保則捜査主任の声が響いた。

「現在、所轄の戸塚警察署に、市民からの通報が殺到している状態です」

 板東はリモコンを操作し、壁際に設置された巨大なディスプレイにマップを表示する。

「事案の発生場所は新宿区戸山公園の箱根山地区、通報の大半は、謎のロボット達が公園内で乱闘している、と言うものです」

 マップ上の箱根山周辺で、赤いポイントが明滅している。

「市民からの通報を整理すると、民間の自家用ロボットが9台、真っ黒なボディの謎のロボットが6台、合計15台がこの地区で戦闘を繰り広げていると」

 説明を聞いていた中の一人、190センチを超えそうな上背がある大男が缶コーヒーをひと口すすると目を上げた。皆からゴッドと呼ばれているトクボ部付きの後藤警部だ。

「そいつら、飛び道具は持っているのかぁ?」

 坂東が首を横に振る。

「いや。ロボット用の拳銃や機関砲などは目撃されていない。ただ、ロボット用のナイフのような長めの刃物を装備しているとの通報はある」

「長めの?」

「目撃者によると、恐らく50センチ以上はあるようだ」

 トクボ部の主要ロボット・キドロのチーフパイロット、泉崎夕梨花がディスプレイの赤い光点から目を離さずに言った。

「ロボット銃刀法違反になりますね」

「その通りだ」

 坂東が深くうなづく。

 日本には銃刀法、正式名称銃砲刀剣類所持等取締法という法律がある。

 銃砲や刀剣類などの所持や使用に関する規制を定めた法律で、日本国内では銃砲や刀剣類の所持や使用は原則として禁止されている。この法律により、銃砲を所持するには狩猟や有害鳥獣駆除などの特定の用途に適合する銃砲ごとに、許可証を取得する必要がある。また、美術品等にあたる刀剣類は、都道府県教育委員会の登録を受ける必要がある。そして刃物の場合、刃渡り6センチを超えるものは、業務その他正当な理由がない場合携帯することが禁止されている。ロボット銃刀法は、この人間対象の法律にならい作られたもので、刃物の場合刃渡り30センチを超えるものの携帯が禁じられているのである。

 そのやりとりをじっと聞いていた白谷部長が、ニヤリと笑う。

「と言うわけで、状況次第だが最低でもロボット銃刀法違反でとっ捕まえて来い」

「相手をぶっ壊してもかまわねぇかぁ?」

「まぁそれも状況次第だな」

 今度は後藤がニヤリと笑った。

「分かったぜぇ」

「それで、メンバーは?」

 坂東の問いに、白谷が夕梨花に視線を向ける。

「泉崎と……そうだな、最近名コンビになってきたゴッド、二人に担当してもらう」

「名コンビだってよぉ、お嬢ちゃんよぉ」

 後藤のちょっとおどけた言葉に、夕梨花が苦笑する。

 その時白谷が、全員をぐるりと見渡して指示を出した。

「到着までにドローンでマルタイの武器を確認。飛び道具なしの場合、こちらも白兵戦での近接戦闘でいく。ただし、沢村と門脇が二人の後方で待機、いざと言う時は機関砲での援護を行なうこととする」

「了解!」

 室内に全員の揃った返事が響き、皆出撃準備に動き始めた。


「奈々ちゃん、あのロボットさんでっかいナイフ持ってるよ? ステーキでも食べるのかな?」

 ひかりが首をかしげてそう言った。

「私たちのこと、ステーキだとでも思ってるんじゃないの?」

 皮肉な奈々の答えに、ひかりが再び首をかしげる。

「私たちがステーキ? ……あ!もしかして、素敵ってことかな?」

「私たち、ステキ」

 マリエが復唱する。

 そんな会話に、大和が割り込んできた。

「ステーキでもステキでもいいけど、あれちょっとヤバいんじゃないかな? ボクたち武器とか持ってないよ?!」

 奈々がニヒルに笑う。

「そうね、丸腰ね」

「ん? まるごしって……」

 ひかりがさらに首をかしげるが、何かを思い出したのかパッと顔を上げた。

「丸ゴシデパート!」

「ひかり、何よそれ?」

 そこに奈央の解説が入る。

「永井豪先生原作の映画、ハレンチ学園に登場するデパートですわ。学園の教師、丸ゴシ先生が自分のフンドシに「お買い物は丸ゴシデパートへ」と広告を入れて家計の足しにしている描写が有名ですわね。ちなみに丸ゴシデパートのモデルは、永井先生の出身地石川県の老舗、丸越百貨店です」

 へぇと、一同感心の声を上げたロボット部の面々だった。

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