表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

367/508

第367話 CCTVシステム

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「ですが……」

 そう言いながら、続けて指揮車のコンソールを操作した美紀が白谷に顔を向ける。

「あの場所、ちょうど上小岩遺跡の真下です!」

 上小岩遺跡は、江戸川区内で最も古く大規模な遺跡だ。北小岩6、7丁目付近で発見された古墳時代前期の集落の跡地である。この地域は、昔の上小岩村にあたることからその遺跡名が付けられた。

 江戸川区は約5000年前、いわゆる縄文時代の頃は海の底だった。それが約3000年前頃から地盤が隆起したり、川から土砂が流れ込むなどして次第に陸地となっていった。そして今から1600年ほど前、古墳時代の前期に人々がこの地に集落を築いたのである。その跡こそが上小岩遺跡だ。

 1952年、小岩第三中学校の生徒が自宅裏の用水路から土器片を発見、同校の教諭に知らせたことからその存在が明らかになった。その後、多くの人びとの努力により発掘調査が進められ、区内最大の集落跡だと判明したのである。

 ここからは食料を貯蔵する壺型土器や煮炊き用のカメ型土器、祭祀用の盃型土器などが多数出土している。その採集遺物はなんと3万点以上。それらから、ここに住んでいた住民たちは稲作や漁業を行なっていたと考えられている。

 今回の発掘現場がちょうど上小岩遺跡の真下だとすると、全くの無関係だとは思えない。であれば地下の遺跡も、古墳時代のものなのかもしれない。

 美紀がそんなことを考えていると、白谷がうなるように言った。

「今は攻撃してこない相手を変に刺激はしたくないな」

 白谷が美紀に視線を向ける。

「どうすべきだと思う?」

 美紀は少し考えると、前面ディスプレイに映る暴走ロボットを見つめた。

「部長のお考えは正しいと思います。とりあえず監視カメラを設置して、常に状況を把握するのがいいかと」

 うむとうなづく白谷。

 そして無線に向かって指示を出した。

「キドロ01、04、とりあえそいつらは放っておけ。その代わりにCCTVシステムを設置するんだ」

『了解!』

 無線から夕梨花の声が聞こえた。

 それに続いて、後藤の脳天気な声も指揮車に流れてくる。

『CCTVって中国のテレビ局のことかぁ?』

『違うわ。ClosedCircuit Television Camera、監視カメラのことよ』

 再び後藤が呆けたような声で聞いた。

『俺ら、そんなもん持ってきてたっけぇ?』

 夕梨花がひとつ、大きなため息を漏らした。

『大丈夫。私のキドロに積んであるから』

『ほんじゃお嬢ちゃん、頼んだわ』

 それには返事をせず、夕梨花は二台の暴走ロボットから少し離れた位置にCCTVシステムを設置していく。その電波は、一番近くの中継ブイにまで届けば指揮車や本部で観察が可能だ。そのため発信出力は最低限ですみ、最大三日間の発信が可能となる。

『設置完了。そちらに届いていますか?』

 夕梨花の言葉に、美紀がコンソールを操作する。

 指揮車の前面ディスプレイに、暴走ロボットによる発掘の様子が映し出された。

「大丈夫です。確認できました」

『了解。では、こいつらのことはそちらにおまかせします。私たちは西方向の探査を続けます』

「了解です。引き続き、二機一緒に行動してください」

『了解です』

 二機のキドロは発掘現場を後にし、これまでと反対方向に伸びるトンネルを西へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ