第363話 今世紀最大の謎
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
両津は集まっている全員を見渡すと、もったいつけるように言う。
「このすごいことには、とんでもない謎、今世紀最大の謎があるんや」
奈々が海外ドラマの出演女優のように、両手を上げて肩をすくめた。
「大げさなのはもういいから、さっさと言いなさいよ」
「言いなさいよ!」
「なさいよ」
ひかりとマリエが復唱した。
だが、正雄が再び話の腰を折る。
「その謎が今世紀最大と言うことは、今世紀最小の謎は何なんだい?」
一同が沈黙した。
それを破ったのはひかりだ。
「多分それって、成績最低の両津くんがこの教習所のA級ライセンスコースに合格したことじゃないかな?」
生徒の全員がひかりに視線を向ける。
そして代表して奈々が突っ込んだ。
「それはひかりのことでしょ!」
あ、そうだった!
「てへへ」
ひかりが頬を少し赤くしながら頭の後ろをポリポリとかく。
と、突然両津が大声を上げた。
「そう!それも謎のひとつなんや!」
今度は全員が両津を見る。
「それって今世紀最大の謎に関係あるんですの?」
奈央の質問に、両津がうんうんと首を縦に振った。
「ボク、気付いたんや!修学旅行でセンセたちから、ここの本当の役目とか、ボクらのこととか聞いたやん?」
生徒たち全員がうなづく。
彼らは、先日修学旅行で訪れたISSで、教官たちから聞いたことについて思い出していた。大統領と総理が言っていた宇宙からの侵略について。それに対抗するため、人類が開発している技術がダイナギガと呼ばれていること。そして、それをコントロールできる可能性があるのは、ここにいる生徒たちだけなのだと。もちろん、その中で考えられる危険についても、である。
「その、ダイナなんとかっちゅーやつ……なんやったっけ?」
「ダイナギガ。何回聞けば覚えるのよ?」
奈々がまた大げさに肩をすくめた。
「それそれ!そのなんとかギガってやつをコントロールするのに必要な要素、と言うか素質? それがボクらの共通点やろ?」
確かに両津の言う通りだ。陸奥の話によれば、全国規模で極秘裏に行なわれた健康診断の結果で、彼らはここに集められたのだと言う。
「だとするとや、その共通点と、今回見つけたすごいことって何か関係あるんとちゃうかな?」
奈々が目を丸くして両津を見た。
「あんたにしてはいい意見じゃない。確かにその可能性はありそうね」
「えーと、そのダイナなんとかをコントロールできる要素って何なんやろ?」
皆の目が美紀に向けられる。
あわてて両手を振る美紀。
「いやいや、それを私に聞かれても知らないわ。もちろんダイナギガプロジェクトのことは聞いてるけど、それとあなたたちの関わりまではね」
美紀も奈々のように肩をすくめた。
「あひゃー!」
突然声を上げたひかりに、一同が目を丸くする。
「ひかり、どうしたのよ?!」
「その話、学食のおばちゃん、じゃない、お姉ちゃんに聞けば何か分かるんじゃないかな?」
確かにそうだ。福田幸代の仕事は、学食チーフであると同時に対袴田素粒子防衛指揮所の職員でもあるのだ。
「私、聞いて来る!」
ひかりはぴょこんと跳ねるように立ち上がると、調理場へ駆けだした。




