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第358話 スペシャルゲスト

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 今日も放課後はロボット部の活動だ。ひかりたち部員の面々は、授業が終わるとすぐに部室とも言える学食に集合していた。

 両津が立ち上がって、皆を見回す。

「えーと、ほんなら今日も部活を始めます。でも、今回はいつもとちょっとばかし違ってるんやで!」

 両津はひとつうなづくと、学食の入り口に向かって右手をさっと上げた。

「すぺっしゃるなゲストをお招きしてまんねん!ほな、ゲストの方の入場や〜!」

 両津が示した扉がゆっくりと開き始める。ドアをおごそかに開くのは正雄である。奈々が肩をすくめて言う。

「あのバカ、何やってるんだか」

 奈央も同様に肩をすくめた。

「まぁ、両津くんの演出なんでしょうけど、大げさですわね」

 愛理も少々呆れ顔だ。

「でも、せっかくやるなら音楽とか流せばいいのにぃ。ジャジャーンとか」

「同感」

 奈々が同意を示した。

 ひかりが開いていく扉を見つめながら首をかしげる。

「ゲストさんて誰なんだろ?」

「誰なんだろ?」

 マリエが復唱した。

 開いた扉から現われたのは、日本人女性の平均より少し小柄な大人の女性だ。地味だが真面目そうなグレーのスカートスーツの上に白衣を羽織っている。黒髪ボブ、キレイな直毛が美しい。まだ二十代後半に見えるが、ひかりたちにとって大人の年齢を当てることはなかなか難しい。つまりその予想はあまりアテにはならないということだ。

 奈々があっと声を上げた。

「トクボの田中さん!」

 警視庁機動隊特科車両隊所属のロボットチーム、トクボ部の技術主任、田中美紀だ。奈々にとっては、姉の夕梨花の同僚でもある。

 ひかりとマリエがパッと立ち上がり、サッと敬礼した。

「田中技術主任!お久しぶりでありまする!」

「ありまする!」

 美紀は少し顔を赤らめて軽く右手を上げた。

「なんだか大げさな登場になっちゃったわね。私、遊びに来ただけなのになぁ」

 奈々が両津と、ひかりたちの元に戻ってきた正雄を一瞥する。

「ちょっと、田中さん困ってるじゃないの!」

「せっかくやし、派手な方がオモロイかなぁ思て」

 両津が頭の後ろをポリポリと掻いた。

 正雄は全く悪びれていない笑顔を見せている。

「でもすごいですわね」

 奈央が両津に視線を向ける。

「両津さんに、田中さんをここへお呼びするほどの甲斐性があったなんて」

「かいしょうってなんですかぁ?」

 愛理が可愛く小首をかしげた。

 ひかりがさっと愛理に向き直る。

「それはね愛理ちゃん、愛する二人にとってすごく大事なことなんだ」

 もちろん奈々が突っ込んだ。

「それは相性!」

「アブラカタブラ〜♪」

「詠唱!」

「両津くんのお家が燃えてる〜!」

「類焼!」

「セクハラ両津くんに請求します!」

「賠償!」

「両津くんて、小さい男よねぇ」

「矮小!」

 そしてひかりとマリエが並んで両津に手を合わせた。

「なむ〜」

「合掌!」

 この子たち、相変わらずね。

 美紀がフフッと小さく笑う。

 その時、心音がハッとして顔を上げた。

「もしかして、例のすごいことについてお話を聞けるってことかしら?!」

「あ、それボクも聞きたかったんだ」

 大和の顔も明るくなる。

「私も!」

「わたしも」

 ひかりとマリエも後に続いた。

 両津が得意げな顔を見せる。

「もちろんや!そのためにお呼びしたんや!今日はたっぷりあの話、しよやないか!」

 もちろん、美紀をここへ呼んだのは両津ではなかった。

 先日の地下トンネル探索で機動隊の電波中継機が発見されたことについて、美紀を含めてのミーティングが開かれていたのである。そのついでにロボット部に顔を出した、というのが真相であった。

 奈々がいぶかしげな声で言う。

「両津くん、南郷教官から田中さんが今日ここに来ること、聞いたんじゃないの?」

 図星である。

「何のことやろなぁ?」

 すっとぼける両津。

 美紀がニッコリと笑って奈々に視線を向けた。

「そうね。私をここへ呼んだのは陸奥教官ね。会議が必要だったから」

 ほら見ろ、とばかりのニヤリとした笑顔を両津に向ける奈々。

「まぁそーやけど、田中さんがここへ来はるって聞いて、例の話聞けるんちゃうかな?って思ったんはボクやで、ボク!」

「まぁ、それはお手柄と言ってもいいかもしれないわ」

 奈々の柔らかな声に、両津はホッとしていた。

「それで、あの話ってなんのことなの?」

 美紀の質問に、一同が沈黙に包まれる。

 全員の目が両津に圧をかけていた。

 あなたが仕掛けたんだからちゃんと話しなさいよ、と言う。

 両津はごくりとつばをひとつ飲み込むと、美紀に向き直った。

「実はですね、ホンマにすごいことが分かったんです」

「すごいこと?」

「ええ」

 両津は自分の頭を整理して、話し始めた。

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