第349話 ただの偶然?
「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。
【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】
「そうか。彼らも気付いてしまったか」
都営第6ロボット教習所の地下、ストラタム09の対袴田素粒子防衛中央指揮所に、雄物川の重々しい声が響いた。
「いつか気付くとは思っていましたけど、こんなタイミングだなんて」
久慈の声は少し苦しげだ。
指揮所には、所長の雄物川の他に教官の陸奥、久慈、南郷、美咲、そして学食チーフの福田幸代の姿があった。学食の営業を終えた幸代からたった今、生徒たちが見つけた「すごいこと」についての報告が終わったばかりである。
幸代が教官たちに視線を向ける。
「皆さん、ご存知たったんですか?」
雄物川を含め、幸代以外の全員が静かにうなづいた。
その「すごいこと」とは、この教習所に集まった生徒たちの家族に、不思議なつながりがあったことだ。
遠野ひかりの母・遠野あかりは、今から約8年前に行方不明になった国連宇宙軍の調査宇宙船ハーフムーンの情報システム部で主任を務めていた。あかりには二人の部下がいた。野沢結菜と田中正明である。結菜は、野沢心音の姉であり、正明は機動隊ロボット部の技術主任・田中美紀の兄だという。そしてハーフムーンの船長・館山俊彦は館山大和の父なのだ。こんな偶然があるのだろうか?
幸代は、理解できないという表情で皆を見つめる。
「これって、ただの偶然なんでしょうか?」
陸奥が難しそうな顔を幸代に向けた。
「最初は俺たちも、なんらかの理由があるのではないかと考えていたんだ。だが、色々と調べてみたが何も見つからなかった」
南郷が肩をすくめて言う。
「ほんで、恐らく偶然ちゃうか? てことになったんや」
「親戚関係をたどっても交友関係を探っても、何も出なかったわ」
久慈も南郷同様に肩をすくめた。
そんな久慈に、幸代が顔を向ける。
「それで、さっき久慈さんが言った、こんなタイミングと言うのは?」
「それについては私から説明します」
美咲の説明はこうである。
今からおよそ3年前、美咲がまだ袴田素粒子に感染していない頃のことだ。彼女が副長を務める惑星調査船サン・ファン・バウティスタ号は、一路火星へと向かっていた。ある時、サンファン号の長距離スキャナーが、長さ300メートルを超える葉巻型の影をキャッチした。はるか遠い冥王星軌道上のそれは、あまりに遠いため像が歪んでしまい、ハッキリとした正体を掴むことはできなかった。だが、その影をデータベースと照合した所、8年前に行方不明となった調査船ハーフムーンと酷似しているとの結果が出たのである。美咲の記憶はそこまでだった。その影を発見したのと前後して、サンファン号に宇宙病の感染が広がったのだ。つまり、それどころではなくなったのである。サンファン号はその発見を地球司令部に報告はしたものの、その後は宇宙病の対応に追われることとなってしまった。
「その記憶が蘇ったのが、つい最近のことなんです」
美咲の真剣な眼差しが幸代を見ていた。
幸代は目を丸くした。
「それで、こんなタイミングってことですか……」
「そうです。この数日、指揮所でハーフムーンの影について調べていた所に、福田さんの話でしょ? 驚いてしまって」
美咲が少し笑顔を見せた。
「それでこの3年で、その影について何か分かったんですか?」
幸代の疑問に陸奥が答える。
「冥王星はあまりにも遠い。国連宇宙軍でも調査は続けられてはいるが、たいした進展は見せていないんだ」
「そうなんですか」
がっかりした様子の幸代に、南郷が微笑みかける。
「でも、新事実がないっちゅーわけでもないんや。それはやなぁ……」
南郷の微笑みが、ニヤリとした笑顔に変わった。




