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第348話 地下トンネルの探索

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「指揮車、マルタイのマーカーは?」

 夕梨花が無線で、指揮車に呼びかけた。

 すぐさま美紀の声が返ってくる。

『残念ながら、空洞に落下して以降捉えられなくなっています』

 ついさっきまでハッキリと受信できていた暴走ロボットの発信電波が途絶えている。

 そんなに距離を離されてしまったのか?

 それとも、何らかの理由で破壊されたのか?

 後藤の、のんびりとした声が夕梨花に届く。

『やっぱりアイツ、北へ行っちまったのかねぇ』

 その可能性もあるだろう。だが、夕梨花はあの暴走ロボットよりも、現在キドロで進んでいる地下トンネルの存在が気になっていた。

 自然の空洞なのか?

 誰かが意図して作った人工物なのか?

『お嬢ちゃんよぉ』

 後藤が、前面スクリーンのワイプの中で首をかしげる。

『最近都内のあちこちで、謎の地下空洞が見つかってるらしいじゃねぇか。こいつも、その仲間だったりするのかねぇ?』

「それはまだ分らないわ。私たちはこれがどこまで続いているのかを、見きわめましょう」

『了解だぁ』

 二機のキドロは両肩と頭部のライトを光らせながら、慎重にトンネルを進んでいった。


「ゴッドの話、どう思う?」

 指揮車では、キドロから送られてくる前面カメラの映像を見つめながら、白谷と美紀が考え込んでいた。

 美紀がうーんと、唸り声をあげた。

「泉崎チーフの言う通り、今の段階では何とも言えません」

 白谷もひと声唸る。

「まずは、我々が見つけたこいつの正体を探ってからだな」

「そうですね」

 だがその時美紀が、何かに気付いたようにコンソールを操作し始めた。

 スクリーンに東京の地図が映し出される。

「これは?」

 白谷がいぶかしげに聞く。

「現在報告されている地下空洞の発見場所を……赤くオーバーレイさせてみます」

 数秒後、東京のマップ上に数箇所の赤いラインが現われた。

「ポイントではなく線なのは、その方向にトンネル状に伸びているという意味です。その長さについては、まだどの地点でも未調査のままです」

 白谷がマップをじっと見つめる。

 美紀がその中からラインのひとつを指差した。東京湾のど真ん中だ。

「これは先日、都営第6ロボット教習所の地下で発見されたトンネルです。今キドロが進んでいるのと同様に南北に伸びています」

 ふむとうなづき、白谷が後ろを振り向いてトクボ部員の一人に聞く。

「で、空洞の調査はどうなっている?」

「それが、道路の陥没なら国土交通省の管轄なんですが、道とは関係のないところの地下にも空洞が見つかっているので、市区町村とどちらが調査するかで揉めているとのことです」

 白谷が苦笑する。

「お役所仕事だな。まぁ、俺たちもお役人だけどな」

「部長……」

 美紀が不安げな顔を白谷に向けた。

「どうした?」

「これは、可能性としてですが……」

「何か気になることがあるのか?」

「発見されているトンネルって、つながってたりしませんかね?」

 白谷の目が驚きに丸くなる。

 もしそうなら、さっき後藤が言っていたことも、ただの冗談では無くなってくる。

 素粒子たちは東京の下に地下鉄を作っている?

 いや、地下鉄ではないにしても、東京の地下を自由に動き回れる通路なのかもしれない。そんなものが完成したら、いつどこで感染事案が発生するのか把握が難しくなる。いや、それ以前に、東京中のインフラを破壊するための地雷敷設用のトンネルなのかもしれない。白谷の背中に、ひとすじの冷たい汗が流れた。

 その時、指揮車内にアラーム音が響き始めた。

 美紀がコンソールを操作して、ディスプレイに何かを表示させる。

「キドロからの電波が途切れ始めました!」

 キドロとの連絡を取るため、縦穴の入り口や下へ降りた地点など数箇所に、電波中継用のブイを設置している。だが、なぜかキドロからの電波が急激に弱まったのである。

「どうした?」

 美紀がいくつかの数字に目を走らせて言う。

「このトンネル、ゆっくりとカーブしているようです!なので電波が減衰してしまって。しかも、すでに5キロ以上を進んで、まもなく東京湾の下に到達します!」

 このトンネルの強度は分からない。だが、海の下のトンネルとなればその危険度は数倍にも高まってしまう。

 白谷が残念そうにうめく。

「残念だがここまでだ。キドロに帰還命令を出してくれ」

「了解しました!」

 このまま引き下がるわけではない。すぐに装備を整え、しっかりとした作戦を立ててから出直しだ。

 白谷はぐっと唇を噛み締めていた。

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