表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

337/508

第337話 新しい検査

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「はい、紅茶です」

 ナースの相原恵美が、各医師の前にカップを置いていく。

 今日の茶葉は、研修医の三田大輔のリクエストでダージリンだ。と言っても、ティーバッグなのだが。

 UNH国連宇宙軍総合病院素粒子内科の医師三人は、新しく得られたデータを持ち寄りその検討会を行なっていた。メンバーは三人。このフロアのチーフドクター牧村陽子、研修医の三田大輔、そして大輔の指導医・長谷川潤子である。実は数日前、検査室の袴田素粒子センサーに改良が加えられた。これまでの検査機に、東郷大学袴田研究室が新開発したY型素粒子センサーが組み込まれたのである。三人にとって、待ちに待っていた改良だ。

 大輔が手持ちのパッドを操作し、スクリーンに検査データを表示する。

「これが、ここ三日間の診察データです」

 牧村と長谷川が、食い入るようにスクリーンを見つめた。

「患者数は37人。その中で、例の症状が出ていたのは26人でした」

 長谷川が大輔に視線を向ける。

「で青年、君の所見は?」

 大輔は自分のパッドに目を落とす。

 例のとは、この数ヶ月で激増している謎の症状だ。

 共通しているのは、皆口を揃えてこう言うことである。

『機械が何かを語りかけてきた』

『ロボットの声が聞こえる』

 大輔がパッドから顔を上げた。

「この26人全員に微弱な素粒子反応が出ていました。ですが、声が聞こえるような気がすると言うだけで、他には特に症状は出ていません」

 牧村と長谷川が大輔に視線を向ける。

「この場合、これまではワクチンによる免疫反応ではないか、と診断して来ました。でも、これを見てください」

 大輔がパッドを操作すると、スクリーンの画面が切り替わった。

「これが新しいセンサーによる検査結果です」

 牧村と長谷川がほんの少しだが目を見開く。

「26人全てにY型素粒子の反応が出ました」

 長谷川が牧村に目を向けた。

「私たちの予想通りですね」

 うなづく牧村。

「そうね。それで三田くんはどう思ったの?」

「これはまだ予想と言うか、僕の推理みたいなものなのですが……」

 長谷川がうながすように言う。

「どうせ青年の所見はいつも推理みたいなものじゃないか。いいから言ってしまえ」

 またこの人は俺をあおるんだよなぁ。

 そう思いながらも、大輔は口を開いた。

「もしかすると……山下さんのアイくんは、Y型なのではないかと」

 大輔の推論に、牧村も長谷川もうなづいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ