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第336話 敵の正体は?

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 ストラタム09の中央指揮所では、暴走アービン事案分析会が引き続き行なわれていた。

 雄物川が難しい顔で言う。

「君たち技術者の視点から見て、今回の事案をどう思うかね?」

 健太、亮平、久美子が顔を見合わせる。

 恐らく三人の中では統一見解が出ているのだろう。代表するように、健太が口を開いた。

「デブリ、暴走したアービン、それから敵衛星の画像などを関連付けて考えると……」

 健太はそこで口ごもる。

「関連付けると?」

 雄物川が健太をうながした。

「えーと、僕らとしては二つの可能性があるんじゃないかと考えています。じゃあ、亮平頼む」

 指名された亮平が、手持ちの大型パッドにいくつかの写真を表示させ、教官たちの方へ向ける。

 デブリ、アービン、敵衛星、それぞれの写真だ。

 亮平が画面を指差す。

「こうして見てもらうとよく分かると思うんですが……特にアービンとこの衛星、立脚してる技術があまりにも違いすぎます」

 アービンはもちろん地球製である。

 だが、敵衛星は地球の技術がどこにも見られない不思議な形状をしていた。それは不気味とも言い換えられるぐにゃりとした曲面の組み合わせである。

「断言はできませんけど、この衛星は恐らく地球のものでは無いと思われます」

 南郷が首をかしげる。

「てことはや、地球外から来た衛星っちゅーことは、これって宇宙人の乗り物ってことになるん?」

 亮平が首を横に振る。

「宇宙人と言っていいかどうかはよく分かりません。ただ、形状から判断すると地球外のものじゃないかな、と」

「歯切れ悪いなぁ。まぁ簡単に、宇宙人のメカやとしよや、ほんで?」

 南郷の言葉に、亮平が苦笑して続ける。

「じゃあ、あれは宇宙人のメカだとして、あれにも袴田素粒子が感染していた可能性があると思っています」

 陸奥がパッドの写真を見つめながら言う。

「つまり、地球外生物のメカを、袴田素粒子が感染して乗っ取っている、と」

 三整備士がパッと顔を上げた。

 健太がパッドの衛星を指差して言う。

「この、地球の製造技術では作るのが難しい曲線の船体、デブリの材質が地球ではまだまだ開発途上のプロテウスであること、以上からその可能性が最も高いと僕らは考えています」

 久慈がふと何かに気付いたように三整備士に顔を向けた。

「袴田素粒子が地球外生命体のメカを乗っ取っている、て言うのは衝撃だけど、その前に宇宙人の存在が確実だってことも、衝撃じゃないですか?」

 整備士たちはうなづいた。

 素粒子整備の久美子が久慈に視線を向ける。

「そうなんです。もうひとつの可能性、というのがその問題にも関わってくるんですけど……」

 三整備士が視線を交わす。

 この話、本当に言ってもいいのかな?

 そんな雰囲気だ。

 意を決したのか、健太が口を開いた。

「もうひとつの可能性ですが、この衛星の中に、動く何かが見えましたよね?」

 パッドの映像をズームする。

「これです。これは素粒子にコントロールを奪われている宇宙人のロボット、もしくは船外服を着た宇宙人そのものの、どちらかだと思われます」

 教官たちは食い入るようにパッドの画像を見ている。

「もしこれがロボットではない場合、つまり宇宙人だった場合ですが……」

 健太は一瞬息を呑んでから、再び話し始めた。

「この宇宙人が袴田素粒子を使って地球を侵略してきている可能性もあるかと」

 そうなると話が大きく変わる。

 素粒子レベルの侵略者なのか。

 地球外の知的生命体が袴田素粒子を武器として侵略を計っているのか。

 その生命体が、袴田素粒子と手を組んでいるのか。

 場合によっては、地球防衛のプランを大幅に変えねばならなくなる。

 雄物川が美咲に目を向けた。

「山下くん」

 パッドから顔を上げ、雄物川を見る美咲。

「はい」

「我々がたどり着いた疑問について、アイくんに尋ねることは可能だろうか?」

 逡巡する美咲。

 数秒の後、ニッコリと微笑んだ。

「彼、調べてくれるそうです」

「頼む」

 再びその顔をパッドに向ける雄物川。

「衛星の中のこれだが、ロボットなのか、宇宙服なのか、分析すれば分かると思うかね?」

 再び顔を見合わせる整備士たち。

 健太が雄物川に顔を向けて言う。

「絶対とは言えませんが、努力します」

 他の二人もうんうんとうなづいている。

「分かった。では引き続き分析を頼む」

「了解です!」

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