表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

334/508

第334話 修学旅行の報告会

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「やっぱり泉崎先輩ってすごいですぅ!」

 学食に、愛理の嬉しそうな声が響く。

 ロボット部では、修学旅行の報告会で盛り上がっていた。現在は、暴走軍用ロボットとの戦闘話の真っ最中である。

 奈々が少し顔を赤らめる。

「そんなことないわ。私だけじゃ、多分勝てなかった」

 奈々が視線をひかりとマリエに向けた。

「ひかりとマリエがいてくれたから」

 愛理がひかりに視線を向ける。

「遠野先輩は何をしていたんですかぁ?」

「私の活躍はすごかったよ!えーとえーと……何したっけ?」

 ズッコケる両津。

「複座の後ろに座っとったんやろ?!」

「うん」

「ほんなら、索敵とか照準とかちゃうか?」

 ひかりが首をかしげる。

「ビフテキ?」

 マリエが続く。

「も〜」

「トンテキ!」

「ぶ〜」

「テンテキ!」

「今夜が山場」

「ブッテキ!」

「証拠」

「キンテキ!」

「痛い」

 両津があわてる。

「なんやなんや?! マリエちゃんまでボケを重ねて来よるやん!どーなってんの?」

 奈々が肩をすくめた。

「マリエ、最近どんどんひかりに似てきてるのよ」

「ホンマかいな?」

「ええ。前からその兆候はあったけど、ここ何日か、特に修学旅行の間にすごく進んだみたい」

 今度は愛理が首をかしげる。

「進むって、病気みたい。ひかり病?」

 奈央が愛理に強い視線を向けた。

「あらあら愛理ちゃん、その言い方は良くないですわ。それではピカピカ光るみたいです。まぁわたくし、スキンヘッドは嫌いじゃありませんけど」

 ナゼかニッコリと微笑む奈央。

 そこに両津が突っ込んだ。

「いやいや、突っ込むとこ、そこやないやろ!病気やないで!って突っ込まな!」

 そんなやり取りにはお構いなしに、正雄が突然割り込んでくる。

「ライバルさんだけじゃなく、俺の活躍もすごかったぜベイビー!」

 両津が正雄に振り返った。

「棚倉くんはスマホの着信音、はよ変えてくれ!」

 正雄がスマホをいくつか操作すると、学食に連続する爆発音が轟いた。

「腹にどんと来る、いい音だぜベイビー」

「みんなどう思う? こんなんいきなり鳴ったらびっくりするやん?!」

 首をかしげるひかり。

「花火かな?」

「太鼓ですぅ」

「怪獣の足音でしょうか?」

「ちゃうちゃう!なんかが爆発する音や!」

「陸自の12式地対艦ミサイルだぜ」

「なんでもええからはよ止めてくれ!」

 正雄がスマホをタップすると、ピッという音と共に爆発音が消えた。

 なぜかはぁはぁと息を切らしている両津。

 その時、奈央が一同を見渡した。

「これで、修学旅行中に何があったのか、大体は把握できましたわね」

 皆、うんうんとうなづく。

「他に、修学旅行中に何か気になったことはありませんか?」

 う〜んと考え込む一同。

 ひかりがパッと顔を上げた。

「ほら!あれ!うーんと……ダイナなんとかって言うの!あれがよくわっかり〜ませ〜ん!」

 マリエが続ける。

「わっかり〜ませ〜ん」

 ISSで教官たちから聞いた話だ。

 大統領と総理が言っていた素粒子の侵略に対抗するため、人類が開発している技術がダイナギガ。そして、それをコントロールできる可能性があるのは、ここにいる生徒たちだけなのだと。あまり時間が無かったため、それ以上の詳細は聞けなかったが、確かに大切なことだと思われる。なにしろ、このメンバーが危険にさらされる可能性のあることなのだから。

「ダイナなんとかって、何だっけ?」

 心音が右手をアゴに乗せてそう言った。

「大和、私に教えてくれても良くってよ」

 ひかりがバッと心音に視線を向ける。

「ツンデレさんだ!ツンデレさん!可愛い〜」

 マリエもそれに続く。

「ツンデレ!ツンデレ!」

 心音の頬が少し赤くなった。

「何よそれ。まぁ可愛いんならそれでもいいけど」

 そんな会話に大和がフフッと笑ってから言う。

「ダイナギガのことだよ。何のことなのかは、僕にも分からないけど」

 それを聞いたひかりが楽しそうに叫んだ。

「大中小!」

 奈々がひかりを見る。

「それってどういうこと?」

「大ナギガ!中ナギガ!小ナギガ!」

「何よそれ。親ガメ子ガメ孫ガメみたいに言わないの!」

 ひかりが首をかしげた。

「奈々ちゃん、それなぁに?」

「私が幼稚園の頃、お父さんが私を背中に乗せてよく歌ってくれた歌よ」

 ひかりの目がキラキラと輝く。

「奈々ちゃん!その歌聞きたいな!今ここで聞きたいな!」

「え? そんなの、恥ずかしいじゃないの!」

 ひかりの目がうるうると子犬のようにうるんでいる。

「わ、分かったわよ。歌えばいいんでしょ、歌えば」

 一同の目が奈々に集まった。

「え〜……親亀の背中に子亀を乗せて〜♪

 そのまた背中に孫亀乗せて〜♪

 そのまた背中にひ孫亀乗せて〜♪

 親亀こけたら、子亀孫亀ひ孫亀こけた〜♪」

 子亀孫亀ひ孫亀こけた、の部分は早口言葉になっているようだ。ものすごい速さで唄い切る。

 満場の拍手である。

 とても嬉しそうなひかりとマリエ。

「じゃあ、私も歌ってみる!」

 そう言うとひかりが立ち上がる。

「え〜……親ナギガの背中に子ナギガを乗せて〜♪

 そのまた背中に孫ナギガ乗せて〜♪

 そのまた背中にひ孫ナギガ乗せて〜♪

 親亀こけたら、皆こけた〜♪」

「最後、遅くなってるじゃない!」

 そこは突っ込むところじゃないやろ。ナギガって何やねん?

 両津は再びそんなことを考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ