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第331話 データ解析

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

 都営第6ロボット教習所の所長、雄物川が落ち着いた声で言う。

「君たちからの報告は見せてもらった。今日はそれに関して、このメンバーとの質疑応答を頼みたいと思う」

 日々の業務を、ストラタム03の都営第6ロボット教習所整備センター分室でこなしている蒲田健太、勝浦亮平、中尾久美子は、珍しくストラタム09の対袴田素粒子防衛線中央指揮所に呼ばれていた。三人はロボット整備士であるとともに、ダイナギガプロジェクト開発チームの一員でもある。三人を取り囲んでいるのは、陸奥、久慈、南郷、美咲というここの教官たちだ。

 まず雄物川が三人に視線を向け、その役職に似つかわしい重々しい声で言う。

「報告書にはあったが、かいつまんで端的に言って欲しい。トクボの運用試験の結果はどうだったと言えるのかね?」

「はい、少々お待ち下さい」

 健太が手持ちの大きなPadに目を落とす。

 トントンと何度かタップしていく。

「トクボからもらった運用試験のデータですが、全ての分析は終わっています。ひとことで言うと、マーク2の性能は予想を上回っていました」

 マーク2とは、新型キドロの通称だ。整備部ではいつもそう呼んでいるらしい。

 南郷が感心したような声を出す。

「すごいでんなぁ。で、例の件はどうなっとります?」

 三整備士が揃って首をかしげた。

 亮平が南郷に首をかしげたまま視線を向ける。

「例の件って?」

 急に南郷が声をひそめる。

「あれやん。ダイナギガ技術のことですやん」

 ああと、三人がかしげていた首を元の位置に戻した。

 小声で三人に言った南郷に、雄物川が苦笑する。

「南郷くん、ここは中央指揮所だ。部外者に聞かれる心配は無い」

 雄物川に顔を向けた南郷がバツが悪そうに言った。

「いやぁ、この方が雰囲気出ますやん」

 陸奥と久慈が呆れたように肩をすくめた。

 そんな南郷を無視して、亮平が安心したような表情で説明を始める。

「テストパイロットの泉崎警部は、特に素粒子との共鳴率が高いわけではありません」

 キドロパイロットの三人、夕梨花、沢村、門脇については、定期的に行われる警察の健康診断時に、極秘で素粒子に関するいくつもの数値が測定されている。半分部外者とも言えるゴッドこと後藤に関しての検査は行われていないのだが。

「ですが、現在主力として使用されているマーク1を遥かに超える機動力を引き出してくれました」

 南郷が少し驚いたような表情になる。

「やっぱりキドロのチーフパイロットさんはすごいでんなぁ。さすがや」

 実は整備士の三人には不安があった。

 マーク2には、少しだがダイナギガ技術が使われている。この機体の動力源は通常のバッテリーだけではなく、素粒子発振と共鳴による電力、通称ダイナパワーが用いられているのである。つまり、素粒子との共鳴率の高い者ほど、その力をフルに発揮できるように設計されていた。それがどの程度の差になるのか。心配のタネはそれであった。

 亮平が続ける。

「なので、僕らの心配は杞憂でした。しっかりとした操縦テクニックを持ったパイロットであれば、これまでのキドロ以上の活用が可能だと思われます」

 なるほど、とうなづく教官たち。

 陸奥が亮平に質問する。

「偶然ですが、あの暴走事案で生徒たちが新型に乗ることになりましたよね。その結果と比較するとどうなんでしょう?」

 急に整備士三人がカラダを前に乗り出した。

 久美子が少し顔を上気させて言う。

「それがすごいんですよ!」

 久慈が手を挙げて三人を制した。

「まぁ落ち着いて」

 ふうっと息を吐く三人。

 健太がサッと顔を上げる。

「ダイナパワー、僕らの予想を超えていたんです」

 とびきりの笑顔であった。

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