表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

327/508

第327話 ストラタム00

「超機動伝説ダイナギガ」がなんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。なお、当時の作品をご存知無い方も楽しめるよう、お話の最初から進めていきたいと思います。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

【この作品は原作者による「超機動伝説ダイナギガ」25周年記念企画です】

「しかし、大変なことになったよなぁ」

 コンソールのTVモニターに視線を向けながら、草野悠真がぼそりと言った。

 ガッシリとしたスポーツマンタイプ、髪型は短く刈り上げている。まだ36歳の若さで構造設計一級建築士の資格を持つ彼は、建築業界のエリートと言っていいだろう。構造設計一級建築士は一級建築士の上位資格であり、一級建築士として5年以上の業務経験が必要だ。そのため平均年齢も約43歳と少々高い。

「そうだよね。まさかいきなり大統領とか総理大臣が発表するなんてなぁ」

 悠真のつぶやきに返事をしたのは朝比陸斗31歳、彼は建築技術士だ。

 悠真とは違いスリムな体型で、作業着をスマートに着こなしている。髪は明るいブラウンに染めていた。建築技術士は一級建築士と名前は似ているが、より広く建築に関わる資格だ。大規模土木事業や施工業務に関しての監理や指導など、建築士ではカバーできない分野のアドバイスもこなす。やや知名度は低いが、建設業界をしっかりと支えている資格である。

 二人が見つめる画面では、建築用ロボットたちが黙々と作業を続けていた。

 現在の建築現場に人間の数は少ない。作業のほとんどはロボット達がこなし、人はそれを管理、コントロールしていれば良い。特にこの場所はロボットに関して最新技術を保有しているため、このフロアに人間は彼ら二人だけである。

 ここはstratum00(ストラタムゼロゼロ)と呼ばれる都営第6ロボット教習所の最深部だ。ここではまだ、より深い地下への建設が続いている。

 現在悠真と陸斗が担当しているのは、実際の建築前に行われる地盤調査だ。ロボット達に内蔵された各種センサーを使い、土質、地盤の強度、地下水位などを調べている。

 ロボット達のいつもの動きを目で追いながら悠真が言った。

「守秘義務契約を結んでる俺たちは前から知ってたけど、何も知らなかったうちの家族は大パニックだよ。特に親父。親父、SF映画とか大好きだから、驚きながら喜んでたけどね」

 陸斗がフフッと笑う。

「俺んちはあんまり驚いてなかったなぁ。て言うか、まだピンと来てない感じ」

 それを聞いた悠真が肩をすくめた。

「そうだよね。ワイドショーとかで大騒ぎしてるけど、世間の人には現実味ないだろ、きっと」

 苦笑する二人。

 その時、センサー画面に赤い表示が現われた。

 ロボットたちの動きが遅くなる。何かを発見した場合、詳細調査のためにゆっくりとした動きになるのだ。

 その表示に視線を向ける悠真。

「なんか出たみたいだ」

 センサー画面をじっと見つめる二人。

 陸斗が不思議そうに首をかしげる。

「この下に何かあるみたいだけど、まだよく分かんないな」

 二人が見つめる画面に、いくつもの数字が並ぶ。

 悠真の目が丸くなる。

「これって……」

 顔を見合わせる二人。

 陸斗が小さくうなづいた。

「空洞があるかも」

 二人は再びセンサー画面を見つめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ