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第32話 閑話・職員室

「超機動伝説ダイナギガ」が今年(2023年)なんと25周年とのこと。四半世紀です。時の流れの恐るべき速さに呆然としてしまいます。そんなわけで、当時色々と書き溜めていたプロットや設定を元に、小説化してみようと思い立ちました。四半世紀前にこんなものがあった、そんな記録になれば良いなあなどと考えています。とりあえずのんびり書き進めますので、よろしかったらのんびりお付き合いくださるとありがたいです。更新情報は旧TwitterのXで。Xアカウントは「@dinagiga」です。

「失礼します!」

 男子生徒が二人、都営第6ロボット教習所の職員室から出ていく。

「そのプリント、ふたクラスの全員に配ってや!」

 南郷が二人の背中にそう叫んだ。

「は〜い!」

 少し廊下を進んだところで、生徒たちは大きく返事をしてペコリと頭を下げた。南郷がガラガラと、職員室の引き戸を閉める。

「あいつら真面目やなあ。俺が高校生ぐらいの頃は毎日はっちゃけてたけどなあ」

「南郷さんがはっちゃけるとどうなるんですか?」

 ひとりごちた南郷に、久慈が聞いた。

「こんな感じやで〜!」

 南郷は両手と片足を挙げ、わけの分からないポーズをとった。久慈はそれを無視する。

「お茶でもいれましょうか」

 昼休みの職員室。昼食を終えた三人はくつろいでいた。南郷、久慈、陸奥の3人である。

「あかんあかん!久慈さんにそんなことさせたら俺、雄物川さんにめっちゃ怒られてまうわ。俺がやりますからそのまま座っていてください」

 そう言うと南郷は、職員室奥の棚へと向かった。

「ティー?オアコーヒー?」

 陸奥が少し考えて言う。

「紅茶かな」

「私も」

 南郷は二人の返事を聞いたにもかかわらず、コーヒーメーカーのポットに落とされているコーヒーを、紙コップに注ぎ始める。三人分だ。それをお盆に乗せて陸奥と久慈の所へ戻ってきた。

「はいこれ。ちょっと前までここは、もっとのんびりしとったよなあ。今じゃこんな風にティータイムを楽しむことも滅多にあらへん」

 二人に紙コップを渡しながら南郷がうなづいた。

「これ、ティーじゃなくてコーヒーだけど?」

久慈がいぶかしげな顔を南郷に向ける。

「紅茶のティーバッグが切れとってん。これをティーだと思って楽しんでくれ。

しかし、もしバッグやなくてバックやったら、」

「南郷さん」

 南郷の言葉を陸奥の低い声がさえぎった。

「あ、失礼」

 久慈がふふふと笑う。

「その先を言ったら、雄物川さんにもっと怒られますよ」

「分かった!お詫びにとっておきのクッキー食べさせたるわ!めっちゃ高級なんもろたから、隠しといてん!どこやったやろ?」

 南郷が戸棚のあちこちを探し始める。

 おかしいな、確かにこのへんに隠したはずやけど……。まあ無いもんはしゃーない!

 そう開き直った南郷はくるりと振り向き、箱からクッキーを取り出すような仕草を始めた。そのまま右手を口へもっていき、食べた……ような動作をした。

「うまいな〜!実はこのクッキー、空気〜で出来てるんや!まさにエアクッキー!」

 それを見て久慈が笑う。陸奥も少しニヤついている。全くタイプの違う三人だが、結構仲がいいのである。

「ところで」

 久慈が真面目な顔になり、南郷に問いかけた。

「南郷さんは、どうして両津くんにあそこまでこだわるんですか?」

 エアグッキーをむさぼっていた南郷の手が止まった。

「そうやなあ、久慈さんはここに戻ってまだ日が浅いから分からんかもしれんけど……陸奥さんは気付いてるんちゃう?」

 陸奥がゆっくりとうなづいた。

「彼は、他の男子とくらべて、少しだけ共鳴率が高いんや」

「それだけ?」

 袴田素粒子は、左脳の細胞の中にあるX染色体と共鳴する。その原理はハッキリとはしていないが、その共鳴率の高さが重要なのである。

「普通男子の性染色体はXY、一方女子はXX、そのために女子の方が共鳴率が高くなりやすいと言われてるやろ?」

 久慈がうなづく。

「実は……両津の共鳴の波形は、きわめて女子に近いんや」

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